2025-014M 「敵」☆☆☆★★
邦題:敵
時間:108分
公開:2025-01-17
製作年度:20223
製作国:日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ、ギークピクチュアズ
製作総指揮:小澤祐治
製作:
監督:吉田大八
脚本:吉田大八
原作:筒井康隆
撮影:四宮秀俊
音楽:千葉広樹
出演:長塚京三、瀧内公美、河合優実、黒沢あすか、中島歩、カトウシンスケ、高畑遊、二瓶鮫一、高橋洋、唯野未歩子、戸田昌宏、松永大輔、松尾諭、松尾貴史
筒井康隆の同名小説を、「桐島、部活やめるってよ」「騙し絵の牙」の吉田大八監督が映画化。穏やかな生活を送っていた独居老人の主人公の前に、ある日「敵」が現れる物語を、モノクロの映像で描いた。
大学教授の職をリタイアし、妻には先立たれ、祖父の代から続く日本家屋にひとり暮らす、渡辺儀助77歳。毎朝決まった時間に起床し、料理は自分でつくり、衣類や使う文房具一つに至るまでを丹念に扱う。時には気の置けないわずかな友人と酒を酌み交わし、教え子を招いてディナーも振る舞う。この生活スタイルで預貯金があと何年持つかを計算しながら、日常は平和に過ぎていった。そんな穏やかな時間を過ごす儀助だったが、ある日、書斎のパソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。
主人公の儀助役を12年ぶりの映画主演になる長塚京三が演じるほか、教え子役を瀧内公美、亡くなった妻役を黒沢あすか、バーで出会った大学生役を河合優実がそれぞれ演じ、松尾諭、松尾貴史、カトウシンスケ、中島歩らが脇を固める。2024年・第37回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、東京グランプリ/東京都知事賞、最優秀監督賞(吉田大八)、最優秀男優賞(長塚京三)の3冠に輝いた。
箱入りの初版原作本に、とある番組ゲストで来局した筒井康隆さんにサインを入れてもらったのは、相当に昔の思い出だ。
小説と同じで、老いてボケてゆくインテリ教授の、ボケの『無自覚な進行の主観』を客観的に描いている。原作では、ボケとの対比で、様々な情景や行動描写が、狂気に近いほど細密に表現されていた。その緻密な文章が映画でどこまで再現できるかに、興味があった。結論として『映画は映画として』在るに過ぎない、ということだ。