2023-124M 「ラ・ジュテ」☆☆☆★★

Slajute 原題:LA JETEE
邦題:ラ・ジュテ
時間:29分
公開:2000
製作年度:1962
製作国:フランス
配給:アップリンク
製作:アナトール・ドーマン
監督:クリス・マルケル
脚本:クリス・マルケル
撮影:ジャン・チアボー
音楽:トレヴァー・ダンカン
出演:エレーヌ・シャトラン 、ジャック・ルドー 、ダフォ・アニシ

2006年にDVDで観て以来の17年ぶり。ゴールデン街の店名にもなっている名作実験映画。Netflix配信の奥深さかな。

「12モンキーズ」がこの映画にインスパイアされたっていうけど、リメイクって言ってもいいくらいかも。30分くらいのスチール構成っていう超実験的アート映画がブルース・ウィリスのSF活劇になってしまうんだから商業映画って凄い。ただ、この「ラ・ジュテ」の方がイメージを観客にほとんど委ねた作り方になってるから、映画のもつ不条理やテーマ性が緊張感をもって伝わってくる。特に「記憶」っていう曖昧な「脳ニューロンの気ままなスイッチング現象」にまつわる部分。仏教でいう「解脱」にちかいものを目的にしながら永遠に同じ「時間」を繰り返す宿命への諦観が、「実存」の不確定性という結末として描かれるから観客の「不安」を極限まで高めていく。映画そのものに説明されるわけじゃなくて(スチールだけなんだものね)、観客の脳内でイメージが増幅するっていう暴力性で、ホラー映画に近い傷がのこってしまいそう。

近未来、廃墟のパリを舞台に少年期の記憶に取り憑かれた男の時間と記憶をめぐる、静止した膨大なモノクロ写真の連続(通常どおり撮影したフィルムをストップモーション処理している)で構成された、“フォトロマン”と称される短編。95年、のテリー・ギリアム監督の「12モンキーズ」は本作を原案にしている。特殊上映の形で何度か上映はされてきたが、正式な劇場公開は今回が初めて。監督・脚本・撮影はヌーヴェル・ヴァーグ期、アラン・レネ、ジャック・ドゥミ、アニエス・ヴァルダら左岸派(ゴダール、トリュフォーらの活動拠点の“カイエ・デュ・シネマ”編集部がセーヌ右岸にあったため、比較してこう呼ばれた)の代表格の映画作家、クリス・マルケル(「ベトナムから遠く離れて」「サン・ソレイユ」ほか)。製作はアナトール・ドーマン。音楽は「脱出者を追え」(54、ジョゼフ・ロージー監督)「プラン9 フロム・アウター・スペース」(59、エド・ウッド監督※ノンクレジット)のトレヴァー・ダンカン。編集は「帰らざる夜明け」「銀行」のジャン・ラヴェル。美術はジャン=ピエール・シュドル。写真はジャン・シアポー。朗読はジャン・ネグロニ。出演はエレーヌ・シャトラン、ダヴォス・ハニッヒほか。

 

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2023-118M 「レッド・ロケット」☆☆☆★★

Sredrocket原題:Red Rocket
邦題:レッド・ロケット
時間:130分
公開:2023-04-21
製作年度:2021
製作国:アメリカ
配給:トランスフォーマー
製作総指揮:アリソン・コーエン ベン・ブラウニング グレン・バスナー ジャッキー・シェヌー ミラン・ポペルカ
製作:ショーン・ベイカー アレックス・ココ サマンサ・クァン アレックス・サックス ツォウ・シンチン
監督:ショーン・ベイカー
脚本:ショーン・ベイカー クリス・バーゴッチ
原作:
撮影:ドリュー・ダニエルズ
音楽:
出演:サイモン・レックス(マイキー)、ブリー・エルロッド(レクシー)、スザンナ・サン(ストロベリー)、ブレンダ・ダイス(リル)、イーサン・ダーボーン(ロニー)、ジュディ・ヒル(レオンドリア)、ブリトニー・ロドリゲス(ジューン)、マーロン・ランバート(アーネスト)

「タンジェリン」「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」で支持を集めた米インディペンデント界の俊英ショーン・ベイカー監督が、口先だけの元ポルノスターの男を主人公に、社会の片隅で生きる人々を鮮やかに描いたヒューマンドラマ。

2016年のアメリカ、テキサス。元ポルノスターでいまは落ちぶれて無一文のマイキーは、故郷である同地に舞い戻ってくる。そこに暮らす別居中の妻レクシーと義母リルに嫌われながらも、なんとか彼女たちの家に転がり込んだが、長らく留守にしていた故郷に仕事はなく、昔のつてでマリファナを売りながら生計を立てている。そんなある日、ドーナツ店で働くひとりの少女との出会いをきっかけに、マイキーは再起を夢みるようになるのだが……。

実際に過去にポルノ出演経験があり、その映像が流出したことで一時表舞台から姿を消していたこともあるサイモン・レックスがマイキー役を演じ、インディペンデント・スピリット・アワードやロサンゼルス批評家協会賞などで主演男優賞を受賞。共演は、主に舞台で活躍してきたブルー・エルロッドと、ベイカー監督が映画館でスカウトした新人スザンナ・サン。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

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2022-235M 「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」☆☆☆

Sluiswaintandcat原題:The Electrical Life of Louis Wain
邦題:ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ
時間:111分
公開:2022-12-01
製作年度:2021
製作国:イギリス
配給:キノフィルムズ
製作総指揮:ロン・ハルパーン ディディエ・ルプファー ダン・マクレイ ジュリア・オー オリー・マッデン ダニエル・バトセック ベネディクト・カンバーバッチ サイモン・スティーブンソン
製作:ガイ・ヒーリー エド・クラーク アダム・アクランド リア・クラーク
監督:ウィル・シャープ
脚本:サイモン・スティーブンソン ウィル・シャープ
原作:サイモン・スティーブンソン
撮影:エリック・アレクサンダー・ウィルソン
音楽:アーサー・シャープ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ(ルイス・ウェイン)、クレア・フォイ(エミリー・ウェイン)、アンドレア・ライズボロー(キャロライン・ウェイン)、トビー・ジョーンズ(ウィリアム・イングラム卿)、ヘイリー・スクワイアーズ、タイカ・ワイティティ、ニック・ケイヴ、、オリヴィア・コールマン(ナレーション)

猫をモチーフにしたイラストで人気を集めたイギリスの画家ルイス・ウェインの生涯を、ベネディクト・カンバーバッチ主演で描いた伝記映画。

イギリスの上流階級に生まれたルイスは早くに父を亡くし、一家を支えるためイラストレーターとして働くように。やがて妹の家庭教師エミリーと恋に落ちた彼は、周囲から身分違いと猛反対されながらも彼女と結婚。しかしエミリーは、末期ガンを宣告されてしまう。そんな中、ルイスは庭に迷い込んできた子猫にピーターと名づけ、エミリーのために子猫の絵を描き始める。

「ファースト・マン」のクレア・フォイが妻エミリーを演じ、「女王陛下のお気に入り」のオリビア・コールマンがナレーションを担当。俳優・監督として活躍するウィル・シャープがメガホンをとり、「ある公爵夫人の生涯」のマイケル・オコナーが衣装を手がけた。

猫のイラストで一世を風靡した画家の伝記ドラマ。テイストしてはWHITEクイントらしくない、トンガリが少ないノーマルな作品。
公開二日目、平日の朝イチとはいえ、WHITEクイントの観客は二人!大丈夫か?キノフィルムズ。

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2022-180M 「LAMB/ラム」☆☆☆

Slamb原題:Lamb
邦題:LAMB/ラム
時間:106分
公開:2022-09-23
製作年度:2021
製作国:アイスランド・スウェーデン・ポーランド
配給:クロックワークス
製作総指揮:ノオミ・ラパス タル・ベーラ ホーカン・ペッテルソン ヨン・マンケル マルチン・ドラビンスキ ピーター・ポッスン ズザンナ・ヘンチュ
製作:フロン・クリスティンスドッティル サラ・ナッシム ピオドール・グスタフソン エリク・リデル クラウディア・シュミエヤ ヤン・ナシェフスキ
監督:バルディミール・ヨハンソン
脚本:ショーン バルディミール・ヨハンソン
原作:
撮影:イーライ・アレンソン
音楽:ソーラリン・グドナソン
出演:ノオミ・ラパス(マリア)、ヒルミル・スナイル・グドゥナソン(イングヴァル)、ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン(ペートゥル)、イングヴァール・E・シーグルソン(テレビに登場する男)

アイスランドの田舎で暮らす羊飼いの夫婦が、羊から産まれた羊ではない何かを育て、やがて破滅へと導かれていく様を描いたスリラー。「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」などの特殊効果を担当したバルディミール・ヨハンソンの長編監督デビュー作。

山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァルとマリアが羊の出産に立ち会うと、羊ではない何かが産まれてくる。子どもを亡くしていた2人は、その「何か」に「アダ」と名付け育てることにする。アダとの生活は幸せな時間だったが、やがてアダは2人を破滅へと導いていく。

「プロメテウス」「ミレニアム」シリーズのノオミ・ラパスが主人公マリアを演じ、製作総指揮も務めた。アイスランドの作家・詩人として知られ、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の歌劇脚本を手がけたショーンがヨハンソンとともに共同脚本を担当。

ギリシア神話の牧神?夫婦の不幸が癒やされるために産まれた「奇跡」。あまりに切ない物語のクライマックスは、背筋が凍る。公開初日だが平日も、ほぼ満席。予告では伝奇ホラー的なウリをしていたので、若いカップルが多かったが、さすがにカンヌコンペ作品。大半の観客に催眠術をかけていた。

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2022-156M 「ランディ・ローズ」☆☆☆★

Srandyrose原題:Randy Rhoads: Reflections of a Guitar Icon
邦題:ランディ・ローズ
時間:92分
公開:2022-11-11
製作年度:2022
製作国:アメリカ
配給:アルバトロス・フィルム
製作総指揮:アンドレ・レリス JD・ボーフィス
製作:ジェシカ・ベネット アンドレ・レリス
監督:アンドレ・レリス
脚本:マイケル・ブルーイニン
原作:
撮影:リッチ・バーマン
音楽:
出演:ランディ・ローズ

25歳の若さで天国に旅立った、あの悲劇から40年。オジー・オズボーンに最も愛された天才ギタリストの栄光と哀しみの物語。貴重なライブ映像やオジー・オズボーン、エディ・ヴァン・ヘイレンほか、貴重なインタビューも多数収録。

 

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2022-124M 「リコリス・ピザ」☆☆☆

Slcorlispiza原題:Licorice Pizza
邦題:リコリス・ピザ
時間:134分
公開:2022-07-01
製作年度:2019
製作国:アメリカ
配給:ビターズ・エンド、パルコ
製作総指揮:ジョアン・セラー ダニエル・ルピ スーザン・マクナマラ アーロン・L・ギルバート ジェイソン・クロス
製作:サラ・マーフィ ポール・トーマス・アンダーソン アダム・ソムナー
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
原作:
撮影:マイケル・バウマン ポール・トーマス・アンダーソン
音楽:ジョニー・グリーンウッド
出演:アラナ・ハイム(アラナ・ケイン)、クーパー・ホフマン(ゲイリー・バレンタイン)、ショーン・ペン(ジャック・ホールデン)、トム・ウェイツ(レックス・ブロウ)、ブラッドリー・クーパー(ジョン・ピーターズ)、ベニー・サフディ(ジョエル・ワックス)

「マグノリア」でベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞したほか、カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界3大映画祭の全てで監督賞を受賞しているポール・トーマス・アンダーソン監督が、自身の出世作「ブギーナイツ」と同じ1970年代のアメリカ、サンフェルナンド・バレーを舞台に描いた青春物語。主人公となるアラナとゲイリーの恋模様を描く。サンフェルナンド・バレー出身の3人姉妹バンド「HAIM(ハイム)」のアラナ・ハイムがアラナ役を務め、長編映画に初主演。また、アンダーソン監督がデビュー作の「ハードエイト」から「ブギーナイツ」「マグノリア」「パンチドランク・ラブ」など多くの作品でタッグを組んだ故フィリップ・シーモア・ホフマンの息子クーパー・ホフマンが、ゲイリー役を務めて映画初出演で初主演を飾っている。主演の2人のほか、ショーン・ペン、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディらが出演。音楽は「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」以降のポール・トーマス・アンダーソン作品すべてを手がけている、「レディオヘッド」のジョニー・グリーンウッドが担当。2022年・第94回アカデミー賞で作品、監督、脚本の3部門にノミネート。

いわゆるピンナップ的な美男美女が一人も出てこない。主人公のイモ兄ちゃん(15歳)の造形が成された世界観に入れなければ、辛い。僕はムリだった。

 

 

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2022-123M 「ザ・ロストシティ」☆☆★★★

Slastcity原題:The Lost City
邦題:ザ・ロストシティ
時間:112分
公開:2022-06-24
製作年度:2022
製作国:アメリカ
配給:東和ピクチャーズ
製作総指揮:J・J・フック デイナ・フォックス ジュリア・ガン マーガレット・チャーニン
製作:ライザ・チェイシン サンドラ・ブロック セス・ゴードン
監督:アダム・ニー アーロン・ニー
脚本:オーレン・ウジエル デイナ・フォックス アダム・ニー アーロン・ニー
原作:セス・ゴードン
撮影:ジョナサン・セラ
音楽:パイナー・トプラク
出演:サンドラ・ブロック(ロレッタ・セイジ)、チャニング・テイタム(アラン/ダッシュ)、ダニエル・ラドクリフ(アビゲイル・フェアファックス)、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(ベス・ハッテン)、ブラッド・ピット(ジャック・トレイナー)、オスカー・ヌニェス(オスカー)、パティ・ハリソン(アリソン)、ボウエン・ヤン(モデレーターのレイ)

サンドラ・ブロックが主演とプロデュースを手がけ、チャニング・テイタム、ダニエル・ラドクリフ、ブラッド・ピットら豪華キャストが集結したアクションアドベンチャー。恋愛小説家のロレッタは、新作であるロマンティックな冒険小説の宣伝ツアーに強引に駆り出される。作品の主人公を演じるセクシーなモデル、アランの軽薄な態度にいら立ちを募らせるロレッタの前に、謎の大富豪フェアファックスが出現。フェアファックスはロレッタの小説を読んで彼女が伝説の古代都市の場所を知っていると確信し、彼女を南の島へと連れ去ってしまう。ロレッタを救うべく島へ向かったアランは彼女を発見し、ともに脱出を目指すが、大自然の過酷な環境の中で思わぬトラブルに次々と見舞われる。
甚だ凡庸なトレジャーハント映画。ダイアログも饒舌すぎて、煩い。大いに失望した。というより期待してた己が恥ずかしい。見どころはブラピのみ。

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2022-121M 「レッド・ノーティス」☆☆☆★

Srednotice原題:Red Notice
邦題:レッド・ノーティス
時間:117分
公開:2021-11-12
製作年度:2021
製作国:アメリカ
配給:Netflix
製作総指揮:スコット・シェルドン デビッド・B・ハウスホルター
製作:ボー・フリン ドウェイン・ジョンソン ローソン・マーシャル・サーバー ハイラム・ガルシア ダニー・ガルシア
監督:ローソン・マーシャル・サーバー
脚本:ローソン・マーシャル・サーバー
原作:
撮影:マルクス・フェルデナー
音楽:スティーブ・ジャブロンスキー
出演:ドウェイン・ジョンソン、ガル・ガドット、ライアン・レイノルズ

「ワイルド・スピード」「ジュマンジ」シリーズのドウェイン・ジョンソン、「デッドプール」「フリー・ガイ」のライアン・レイノルズj「ワンダーウーマン」「ジャスティス・リーグ」のガル・ギャドットという豪華キャストが共演し、FBI捜査官と詐欺師と泥棒が手を組み、かつてない強盗計画に挑む姿を描いたアクションエンタテインメント。「レッド・ノーティス」とは、インターポール(国際刑事警察機構)が世界の最重要指名手配犯を逮捕するためにのみ発令する、特別な国際手配書のこと。重大犯罪者を追うFBIのトップ捜査官ジョン・ハートリーは、大規模な美術品泥棒計画を仕かける世界最高の詐欺師ノーラン・ブースと凄腕の大泥棒ビショップと出会い、とある理由から彼らと手を組むことになる。立場が全く異なる3人は、それぞれの目的のために前代未聞の強盗計画に挑むことになるが……。ハートリーをドウェイン・ジョンソン、ノーランをライアン・レイノルズ、ビショップをガル・ギャドットが演じる。監督は「スカイスクレイパー」「セントラル・インテリジェンス」などのドウェイン・ジョンソン主演作を手がけてきたローソン・マーシャル・サーバー。Netflixで2021年11月12日から配信。
王道の宝探し物。ベタすぎて最近のメジャーは手を出せない企画かもしれない。ライアン・レイノルズがレイダースのテーマをハミングする場面に笑。そうなんだよね、臆面もなく作ってるって自覚満点で娯楽映画しているのだもの。

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2022-050M 「林檎とポラロイド」☆☆☆★

Sapples原題:Mila
邦題:林檎とポラロイド
時間:90分
公開:2022-03-11
製作年度:2020
製作国:ギリシャ・ポーランド・スロベニア
配給:ビターズ・エンド
製作総指揮:ニコス・スムピリリス ケイト・ブランシェット ココ・フランチーニ アンドリュー・アプトン
製作:イラクリス・マブロイディス アンゲロス・ベネティス アリス・ダヨス マリウシュ・ブロダルスキ クリストス・ニク
監督:クリストス・ニク
脚本:クリストス・ニク スタブロス・ラプティス
原作:
撮影:バルトシュ・シュフィニャルスキ
音楽:ザ・ボーイ
出演:アリス・セルヴェタリス(男)、ソフィア・ゲオルゴヴァシリ(女)、アナ・カレジドゥ、アルギリス・バキルジス

ギリシャの新鋭クリストス・ニクが長編初メガホンをとり、記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延する世界を舞台に描いたドラマ。ある日突然記憶を失った男は、治療のための回復プログラム「新しい自分」に参加する。彼は毎日送られてくるカセットテープに吹き込まれた内容をもとに、自転車に乗る、仮装パーティで友だちをつくる、ホラー映画を観るなど様々なミッションをこなしていく。そんな中、男は同じく回復プログラムに参加する女と出会い、親しくなっていく。男が新しい日常に慣れてきた頃、彼はそれまで忘れていた、以前住んでいた番地をふと口にする。新しい思い出を作るためのミッションによって、男の過去が徐々にひも解かれていくが……。ケイト・ブランシェットが絶賛し、製作総指揮に名を連ねた。
映画のハシゴ2本目。突発性記憶喪失症が蔓延するギリシアの街。主人公は突然バスの中で記憶喪失者として発見される。身よりもない彼は、新しい人生を作る社会復帰治療を受けるが…。奇妙な味わいの作品だが、困ったことに別のシンクロニシティもあった。バットマンとキャットウーマンとシューベルトのアヴェ・マリアが記号的に本作でも登場する。適当に選択した2本だが、この偶然には鳥肌。

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2022-026M 「リアリティのダンス」☆☆☆★★★

Srearitydance原題:La danza de la realidad
邦題:リアリティのダンス
時間:130分
公開:2014-07-12
製作年度:2013
製作国:チリ・フランス
配給:アップリンク
製作総指揮:
製作:ミシェル・セドゥー モイゼス・コシオ アレハンドロ・ホドロフスキー
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
原作:アレハンドロ・ホドロフスキー
撮影:ジャン=マリー・ドルージェ
音楽:アダン・ホドロフスキー
出演:ブロンティス・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、イェレミアス・ハースコヴィッツ、アレハンドロ・ホドロフスキー、バスティアン・ボーデンホーファー、アンドレス・コックス、アダン・ホドロフスキー、クリストバル・ホドロフスキー

1970年代に発表した「エル・トポ」「ホーリー・マウンテン」などでカルト的人気を誇るアレハンドロ・ホドロフスキー監督が、「The Rainbow Thief」(93/日本未公開)以来23年ぶりに手がけた監督作。自伝「リアリティのダンス」(文遊社刊)を自ら映画化し、1920年代の軍事政権下にあったチリの田舎町を舞台に、幼少期のホドロフスキーと権威的な父親、息子を自身の父親の生まれ変わりだと信じるオペラ歌手の母親との暮らしや、ロシア系ユダヤ人であるがゆえに学校でいじめられて苦しんだ逸話などを、チリの鮮やかな風景と、現実と空想が交錯した幻想的な映像で描く。
公開当初話題になったのだろうか。寺山修司との相似形であることに。自らのルーツを偽悪的に見世物小屋的に描き、その因習たる血の彷徨を魂のロードムービーに描いていく。さまざまな家的なものの呪縛から、育った故郷を捨てて大人への門をくぐっていくクライマックス。くりかえし寺山が商業映画で(実験映画ではなく)描いたモチーフでもある。

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