2025-079M 「ドマーニ! 愛のことづて」☆☆☆★★

Sdomani_20250318224101原題:C'e ancora domani
邦題:ドマーニ! 愛のことづて
時間:118分
公開:2025-03-14
製作年度:2023
製作国:イタリア
配給:スモモ
製作総指揮:
製作:マリオ・ジャナーニ ロレンツォ・ガンガロッサ
監督:パオラ・コルテッレージ
脚本:フリオ・アンドレオッティ ジュリア・カレンダ パオラ・コルテッレージ
原作:
撮影:
音楽:レーレ・マルキテッリ
出演:パオラ・コルテッレージ、ヴァレリオ・マスタンドレア、ジョルジョ・コランジェリ、ヴィニーチョ・マルキオーニ

戦後ローマでたくましく生きる市井の人々と権利を渇望する女性たちの姿を描き、2023年のイタリア国内興行収入第1位を記録したドラマ。「ジョルダーニ家の人々」などで知られるイタリアのコメディアンで俳優のパオラ・コルテッレージが初メガホンをとり、自ら主演を務めた。

1946年5月。ローマにある半地下の家で家族と暮らすデリアは、夫イヴァーノの暴力に悩まされながらも意地悪な義父の介護や家事をこなし、さらに複数の仕事を掛け持ちして家計を助けている。過酷な毎日を送る彼女にとって、市場で青果店を営む友人マリーザや自動車工のニーノと過ごす時間だけが心休まるときだった。母の生き方に不満を感じている長女マルチェッラは、裕福な家の息子ジュリオからプロポーズされ、彼の家族を自宅に招いて昼食会を開くことに。そんなある日、デリアのもとに1通の謎めいた手紙が届く。

夫イヴァーノ役に「おとなの事情」のバレリ・オマスタンドレア。「イタリア映画祭2024」では「まだ明日がある」のタイトルで上映。

予告では、ビットリオ・デ・シーカやロベルト・ロッセリーニの香りのする古き良きイタリア映画、というイメージ。ついソフィア・ローレンやマルチェロ・マストロヤンニをスクリーンに探してしまいそうな雰囲気だった。邦題の副題がイマイチ練れていない。もっと牽引力あるタイトルを考えればよいのに。

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2025-065 「TATAMI」☆☆☆★★

Statami原題:TATAMI
邦題:TATAMI
時間:103分
公開:2025-02-28
製作年度:2023
製作国:アメリカ・ジョージア
配給:ミモザフィルムズ
製作総指揮:アビ・ニール アロン・シュトルズマン ピーター・トラゴッド オリ・アイゼン ピーター・ソビロフ オリ・アロン サルバトーレ・モナコ マヤ・アンセレム シャロン・ハレル=コーエン セリーヌ・ラトレイ モシェ・エデリー オリ・サッソン リー・ラッシャー マイモニデス・ファンド ドロール・イレズ
製作:アディ・エズロニ マンディ・タガー・ブロッキー ジェイミー・レイ・ニューマン ガイ・ナッティブ
監督:ガイ・ナッティブ ザーラ・アミール
脚本:ガイ・ナッティブ エルハム・エルファニ
原作:
撮影:トッド・マーティン
音楽:ダッシャ・ダウエンハウエル
出演:アリアンヌ・マンディ、ザール・アミール、ジェイミー・レイ・ニューマン、ナディーン・マーシャル、リル・カッツ、アッシュ・ゴールディ、ヴァレリウ・アンドリウツァ、メフディ・バジェスタニ、ファリマ・ハバシザデアスル、エルハム・エルファニ

「SKIN 短編」で第91回アカデミー短編実写映画賞を受賞したイスラエル出身の映画監督ガイ・ナッティブと、「聖地には蜘蛛が巣を張る」で第75回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞したイラン出身の俳優ザーラ・アミールが共同でメガホンをとり、実話をベースに描いた社会派ドラマ。スポーツ界への政治介入や中東の複雑な情勢、イラン社会における女性への抑圧を背景に、アスリートたちの不屈の戦いを描いた。

ジョージアの首都トビリシで女子世界柔道選手権が開催されている。イラン代表選手のレイラ・ホセイニとコーチのマルヤム・ガンバリは、順調に勝ち進んでいたが、金メダルを目前に、政府から敵対国であるイスラエルとの対戦を避けるため棄権を命じられる。自分自身と人質に取られた家族にも危険が及ぶなか、政府に従い怪我を装って棄権するか、それとも自由と尊厳のために戦い続けるか、人生最大の決断を迫られる。

レイラ・ホセイニ役をアリエンヌ・マンディ、コーチのマルヤム・ガンバリ役をザーラ・アミールが演じた。第36回東京国際映画祭のコンペティション部門で審査委員特別賞と最優秀女優賞(ザーラ・アミール)の2部門を受賞。映画史上初めてイスラエルとイランにルーツをもつクリエイターが協働した作品とされ、製作に参加したイラン出身者は全員亡命し、映画はイランでは上映不可となっている。

トークショーのイベント付きの回しか時間が合わず、オプション料金にて鑑賞。
しかし、実話ベースということだが、イランは恐ろしい国だなあ。実際には東京大会で男子選手がイスラエル選手との対戦を可否するために棄権を要求されるも、指令を拒否して出場したという事件。結果、その選手はドイツに難民として受け入れられたが、本作はジョージアの国際選手権で女子選手の物語として構成されている。製作に参加したイラン出身者は全員亡命し、映画はイランでは上映不可となっているそうだ。
トークショーは阿部詩選手。

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2025-054M 「ドライブ・イン・マンハッタン」☆☆☆★

Sdriveinmanhattan 原題:Daddio
邦題:ドライブ・イン・マンハッタン
時間:100分
公開:2025-02-14
製作年度:2023
製作国:アメリカ
配給:東京テアトル
製作総指揮:ジャン=リュック・デ・ファンティ コスタス・ツカラス マックス・ワーク クリストファー・ドネリー
製作:ダコタ・ジョンソン ロー・ドネリー エマ・ティリンジャー・コスコフ クリスティ・ホール パリス・カシドコスタス=ラトシス
監督:クリスティ・ホール
脚本:クリスティ・ホール
原作:
撮影:フェドン・パパマイケル
音楽:ディコン・ハインクリフェ
出演:ダコタ・ジョンソン(女性)、ショーン・ペン(運転手)

「フィフティ・シェイズ」シリーズのダコタ・ジョンソンと「ミスティック・リバー」のショーン・ペンが共演し、真夜中のタクシー内を舞台に2人だけの芝居で織りなすワンシチュエーションの会話劇。

夜のニューヨークを走るタクシーに、ジョン・F・ケネディ空港から1人の女性客が乗り込む。運転手はシニカルなジョークで車内を和ませ、2人は会話を弾ませる。運転手は2度の結婚を経験し、幸せも失敗も味わってきた。一方、プログラマーとしてキャリアを築いてきた女性は、恋人が既婚者であることを運転手に見抜かれてしまう。もう2度と会うことのない関係だからこそ、お互いの本音を赤裸々に語りあう2人。他愛ない内容のはずだった会話はいつしか予想もしなかった方向へと展開し、女性は誰にも打ち明けられなかった秘密を告白しはじめる。

「ふたりで終わらせる IT ENDS WITH US」の脚本家クリスティ・ホールが、自身の執筆による脚本をもとに長編初メガホンをとった。「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」などのフェドン・パパマイケルが撮影を担当。

たった二人の会話で90分見せきる。個人的にはタクシーで運転手とお喋りするのは好かないので、共感はし辛い。

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2025-044M 「劇場版 トリリオンゲーム」☆☆☆★

Storiiongame邦題:劇場版 トリリオンゲーム
時間:118分
公開:2025-02-14
製作年度:2025
製作国:日本
配給:東宝
製作総指揮:
製作:
監督:村尾嘉昭
脚本:羽原大介
原作:稲垣理一郎、池上遼一
撮影:
音楽:木村秀彬
出演:目黒蓮(天王寺陽)、佐野勇斗(平学)、今田美桜(黒龍キリカ)、福本莉子(高橋凜々)、鈴木浩介(蛇島透)、竹財輝之助(長瀬忠則)、あかせあかり(水樹風華)、原嘉孝(桜心護)、津田健次郎(功刀数良)、シシド・カフカ(ラモーナ・タキガワ)、田辺誠一(宇喜多隼人)、石橋凌(ウルフ・リー)、吉川晃司(祁答院一輝)、國村隼(黒龍一真)

原作・稲垣理一郎、作画・池上遼一による人気漫画を映像化した2023年放送のテレビドラマ「トリリオンゲーム」の劇場版。テレビドラマ版に続いて原作者・稲垣理一郎が監修を手がけ、世界を覆すハッタリ男・ハルと気弱な凄腕エンジニア・ガクが日本初のカジノリゾート開発に挑む姿を劇場版オリジナルストーリーで描く。

世界No.1企業の時価総額と同等の資産、1兆ドルを稼いでこの世のすべてを手に入れるべく、さまざまな事業に挑戦しては予測不能な作戦で成功を重ねてきた天王寺陽(ハル)と平学(ガク)。「トリリオンゲーム社」を日本トップクラスの大企業にまで成長させた2人は、日本初のカジノリゾート開発に挑むことに。世界一のカジノ王・ウルフを次なるターゲットに定める彼らだったが、裏では2人の友情を引き裂く巨大な陰謀がうごめいていた。

キャストにはハル役の目黒蓮とガク役の佐野勇斗をはじめ、今田美桜、福本莉子、吉川晃司らテレビドラマ版のメンバーが再結集。さらに劇場版キャストとして、カジノ王・ウルフ役の石橋凌、謎の女ディーラー・ラモーナ役のシシド・カフカ、財閥企業の社長・宇喜多役の田辺誠一が出演。

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2025-043M 「セプテンバー5」☆☆☆★★

Sseptnber5原題:September 5
邦題:セプテンバー5
時間:95分
公開:2025-02-14
製作年度:2024
製作国:ドイツ・アメリカ
配給:東和ピクチャーズ
製作総指揮:マーティン・モスコウィック クリストフ・ムーラー
製作:フィリップ・トラウアー トーマス・ブュブケ ティム・フェールバウム ショーン・ペン ジョン・イラ・パーマー ジョン・ウィルダーマス マーク・ノルティング
監督:ティム・フェールバウム
脚本:モリッツ・ビンダー ティム・フェールバウム アレックス・デビッド
原作:
撮影:マルクス・フェルデナー
音楽:ロレンツ・ダンゲル
出演:ジョン・マガロ(ジェフリー・メイソン)、ピーター・サースガード(ルーン・アーレッジ)、ベン・チャップリン(マーヴィン・ベイダー)、ジョージナ・リッチ(グラディス・ダイスト)、レオニー・ベネシュ(マリアンネ・ゲブハルト)、コーリイ・ジョンソン(ハンク・ハンソン)、ジヌディーヌ・スアレム(ジャック・レスガード)、マーカス・ラザフォード(カーター・ジェフリー)、ダニエル・アデオスン(ゲイリー・スローター)、ベンジャミン・ウォーカー(ピーター・ジェニングス)、フェルディナンド・ドルフラー(ヘルマン・イェーガー)

1972年のミュンヘンオリンピックで起きたパレスチナ武装組織によるイスラエル選手団の人質テロ事件の顛末を、事件を生中継したテレビクルーたちの視点から映画化したサスペンスドラマ。「HELL」のティム・フェールバウムが監督・脚本を手がけ、報道の自由、事件当事者の人権、報道がもたらす結果の責任など現代社会にも通じる問題提起を盛り込みながら緊迫感たっぷりに描く。

1972年9月5日。ミュンヘンオリンピックの選手村で、パレスチナ武装組織「黒い九月」がイスラエル選手団を人質に立てこもる事件が発生した。そのテレビ中継を担ったのは、ニュース番組とは無縁であるスポーツ番組の放送クルーたちだった。エスカレートするテロリストの要求、錯綜する情報、機能しない現地警察。全世界が固唾を飲んで事件の行方を見守るなか、テロリストが定めた交渉期限は刻一刻と近づき、中継チームは極限状況で選択を迫られる。

出演は「ニュースの天才」のピーター・サースガード、「パスト ライブス 再会」のジョン・マガロ、「ありふれた教室」のレオニー・ベネシュ。第82回ゴールデングローブ賞の作品賞(ドラマ部門)ノミネート、第97回アカデミー賞の脚本賞ノミネート。

1972年のミュンヘン五輪でのイスラエル選手惨殺テロをメディア側からの視点で描いたという作品。
元テレビマンとしては、こういうシチュエーションにライブ対応する、アドレナリン爆散の快感はよくわかる。瞬時に最適解を導いて、数多のスタッフを完璧に統制、制御する超感覚。

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2025-037M 「ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた」☆☆☆★

Sdreaming原題:Dreamin' Wild
邦題:ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた
時間:111分
公開:2025-01-31
製作年度:2022
製作国:アメリカ
配給:SUNDAE
製作総指揮:クリスタ・ワークマン ダン・クリフトン スティーブン・スナイダー ケイシー・アフレック トビアス・グーツビラー
製作:ジム・バーク ビル・ポーラッド キム・ロス ビビアナ・ベッツァーニ カール・シュポエリ
監督:ビル・ポーラッド
脚本:ビル・ポーラッド
原作:スティーブン・カルッツ
撮影:アルノー・ポーティエ
音楽:ドニー・エマーソン レオポルド・ロス
出演:ケイシー・アフレック(ドニー)、ノア・ジュープ(青年期のドニー)、ゾーイ・デシャネル(ナンシー)、ジャック・ディラン・グレイザー(青年期のジョー)、クリス・メッシーナ(マット)、ウォルトン・ゴギンズ(ジョー)、ボー・ブリッジス(ドン)

「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」のビル・ポーラッド監督が「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のオスカー俳優ケイシー・アフレックを主演に迎え、アメリカの兄弟デュオ「ドニー&ジョー・エマーソン」の実話をもとに描いたヒューマンドラマ。

1970年代後半、ワシントン州の田舎町で暮らす10代の青年ドニー・エマーソンは兄ジョーと音楽デュオを結成し、父が息子たちのために自作したスタジオで数々の楽曲を生む。しかし情熱を注ぎ込んで完成させたアルバム「ドリーミン・ワイルド」は世間から見向きもされず、夢に手が届くことはなかった。約30年後、かつて思い描いていた夢とは程遠い人生を送っていたドニーは、自分たちのアルバムがコレクターによって発見され、“埋もれた傑作”として再評価されていることを知る。家族は思いがけない成功に喜ぶが、ドニーはずっと目を背けてきた自身の過去や感情と向きあうことを余儀なくされる。

「(500)日のサマー」のズーイー・デシャネルがドニーの妻ナンシー、「クワイエット・プレイス」シリーズのノア・ジュプが青年期のドニーを演じた。

 

 

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2025-016M 「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」☆☆☆★★

Stwilightwarriars原題:九龍城寨之圍城 Twilight of the Warriors: Walled In
邦題:トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
時間:125分
公開:2025-01-17
製作年度:2024
製作国:香港
配給:クロックワークス
製作総指揮:
製作:ジョン・チョン ウィルソン・イップ
監督:ソイ・チェン
脚本:アウ・キンイー チャン・タイリー サム・クァンシン ジャック・ライチュン
原作:
撮影:チェン・シウキョン
音楽:川井憲次
出演:ルイス・クー(ロンギュンフォン)、レイモンド・ラム(チャン・ロッグワン)、テレンス・ラウ(ソンヤッ)、フィリップ・ン(ウォンガウ)、トニー・ウー(サップイー)、ジャーマン・チョン(セイジャイ)、リッチー・レン(秋兄貴)、ケニー・ウォン(虎兄貴)、サモ・ハン(大ボス)、アーロン・クォック(陳占)

黒社会が覇権を争う九龍城砦で男たちが繰り広げる死闘を描き、香港で大ヒットを記録したアクション映画。

1980年代。香港に密入国した青年チャンは、黒社会のルールを拒んで己の道を選んだために組織から目をつけられてしまう。追い詰められた彼は運命に導かれるように、黒社会に生きる者たちの野望が渦巻く九龍城砦に逃げ込み、そこで出会った3人の仲間たちと深い友情を育んでいく。しかし九龍城砦を巻き込む抗争は激化の一途をたどり、チャンたちはそれぞれの信念を胸に命をかけた戦いに身を投じる。

「SPL 狼たちの処刑台」のルイス・クーが主演を務め、サモ・ハン、アーロン・クォック、リッチー・レンら豪華キャストが集結。「ドラゴン×マッハ!」のソイ・チェン監督がメガホンをとり、5000万香港ドル(約9億円)をかけて制作した九龍城砦のセットで撮影。「るろうに剣心」シリーズの谷垣健治がアクション監督を務め、「イップ・マン」シリーズの川井憲次が音楽を手がけた。

予告でかつての香港ノワール&カンフーバリバリな雰囲気だったコイツ。大昔に香港訪問で、外から九龍城を眺めた思い出もあり。オスカーの外国語映画賞にノミネートされている。
主人公役のレイモンド・ラムが20代の松方弘樹にそっくりで、東映極道ものを観ている気分にさせられた。アクションは超人的スキルのぶつかり合い、おいう王道の香港映画であった。

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2024-350M 「デュオ 1/2のピアニスト」☆☆☆★

Sdyuopianist原題:Prodigieuses
邦題:デュオ 1/2のピアニスト
時間:109分
公開:2025-02-28
製作年度:2024
製作国:フランス
配給:シンカ、フラッグ
製作総指揮:
製作:フィリップ・ルスレ
監督:フレデリック・ポティエ バランタン・ポティエ
脚本:
原作:
撮影:ダニー・エルセン
音楽:ダン・レビ
出演:カミーユ・ラザ、メラニー・ロベール、フランク・デュボスク、イザベル・カレ、エリザ。ダウティ

本作品は、実在する双子のピアニスト、プレネ姉妹の数奇な運命と人生をモデルに『コーダ あいのうた』『エール!』『ふたりのマエストロ』のフィリップ・ルスレプロデュースによる感動のドラマ。主演の双子にはNetflixドラマシリーズ「エミリー、パリへ行く」の人気キャラクターを演じるカミーユ・ラザと映画初出演のメラニー・ロバート。彼女たちを支える両親を『パリ、嘘つきな恋』のフランク・デュボスク、『デリシュ!』のイザベル・カレが演じ安定の演技で脇を固める。短編”216mois”で2014 SXSW 審査員大賞にノミネート経験のあるポティエ親子の長編デビュー作。

映画に登場する曲はクラシック、ジャズ、歌謡曲など多岐に渡り、バッハ「ゴルトベルク変奏曲」、モーツァルト「フィガロの結婚」やベートーベン「月光」、シューベルト「セレナーデ」、チャイコフスキー「四季」、フォーレ「パヴァーヌ」、シャルル・アズナブール「希望に満ちて」など。

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2024-338M 「動物界」☆☆☆★

Sobutsukai原題:Le regne animal
邦題:動物界
時間:128分
公開:2024-11-08
製作年度:2023
製作国:フランス・ベルギー
配給:キノフィルムズ
製作総指揮:
製作:ピエール・ガイヤール
監督:トマ・カイエ
脚本:トマ・カイエ ポリーヌ・ミュニエ
原作:
撮影:ダビ・カイエ
音楽:アンドレア・ラズロ・デ・シモーネ
出演:ロマン・デュリス(フランソワ)、ポール・キルシェ(エミール)、アデル・エグザルコプロス(ジュリア)、トム・メルシエ(フィクス)、ビリー・ブラン(ニナ)、サーディア・ベンタイブ(ナイマ)、ナタリー・リシャール(ヴァレリー)

人間がさまざまな動物に変異してしまう奇病が発生した近未来を舞台に家族の絆を描き、本国フランスで観客動員100万人を超えるスマッシュヒットを記録したSFスリラー。

近未来。原因不明の突然変異により、人間の身体が徐々に動物と化していく奇病が蔓延していた。さまざまな種類の“新生物”は凶暴性を持つため施設で隔離されており、フランソワの妻ラナもそのひとりだった。ある日、新生物たちの移送中に事故が起こり、彼らが野に放たれてしまう。フランソワと16歳の息子エミールは行方不明となったラナを捜すが、次第にエミールの身体に変化が起こり始める。

「彼は秘密の女ともだち」のロマン・デュリスがフランソワ、「Winter boy」のポール・キルシェが息子エミールを演じ、「アデル、ブルーは熱い色」のアデル・エグザルコプロスが共演。2014年のデビュー作「Les Combattants」で高く評価されたトマ・カイエが監督・脚本を手がけた。

フランスでスマッシュヒットしたというパンデミックファンタジーな作品。あまり良い評判は聞かないのだが、配給会社が頑張っているのか、妙に細々とロングランしている。とっくに終映しているだろうと鑑賞を諦めていたが、幸いにもスクリーンで観られる。

 

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2024-312M 「太陽と桃の歌」☆☆☆★

Staiyotomomonouta原題:Alcarras
邦題:太陽と桃の歌
時間:121分
公開:2024-12-13
製作年度:2022
製作国:スペイン・イタリア
配給:東京テアトル
製作総指揮:
製作:トノ・フォルゲラ
監督:カルラ・シモン
脚本:カルラ・シモン
原作:
撮影:ダニエラ・カヒアス
音楽:アンドレア・コッチ
出演:ジョゼ・アバッド、ジョルディ・プジョル・ドルセ、アンナ・オテイン

2022年・第72回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。金熊賞受賞。
2017年の長編デビュー作「悲しみに、こんにちは」で世界的に高く評価されたスペインのカルラ・シモン監督が、カタルーニャで桃農園を営む大家族の最後の夏を描き、2022年・第72回ベルリン国際映画祭で最高賞にあたる金熊賞に輝いたヒューマンドラマ。

スペインのカタルーニャで、3世代にわたる大家族で桃農園を営んでいるソレ家。例年通り収穫を迎えようとしていた矢先、地主から夏の終わりに土地を明け渡すよう通達される。桃の木を伐採して、その場所にソーラーパネルを敷き詰めるというのだ。頑固者の父は激怒するが、母と妹夫婦はパネルの管理をすれば楽に稼げるという話に心を動かされる。賭け事でお金を稼ごうとする祖父、取り付く島のない父、資金稼ぎに畑の片隅で大麻栽培を始める長男など、それぞれの方法で桃園の危機をどうにかしようとする彼らだったが、やがて大げんかに発展。家族の関係に大きな亀裂が入ったまま、最後の収穫が始まる。

ドキュメンタリーのように自然な桃農家の日常と、カットアウトされる生活の終了間際の日々が瑞々しい。家族の世代ごとにある、さまざまな『終わり』へのカウントダウンが、静かに、残酷に、暖かく描かれてゆく。そして、その農家を追いやる理由が、あまりに現実的で、切ない。

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