2024-312M 「太陽と桃の歌」☆☆☆★
原題:Alcarras
邦題:太陽と桃の歌
時間:121分
公開:2024-12-13
製作年度:2022
製作国:スペイン・イタリア
配給:東京テアトル
製作総指揮:
製作:トノ・フォルゲラ
監督:カルラ・シモン
脚本:カルラ・シモン
原作:
撮影:ダニエラ・カヒアス
音楽:アンドレア・コッチ
出演:ジョゼ・アバッド、ジョルディ・プジョル・ドルセ、アンナ・オテイン
2022年・第72回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。金熊賞受賞。
2017年の長編デビュー作「悲しみに、こんにちは」で世界的に高く評価されたスペインのカルラ・シモン監督が、カタルーニャで桃農園を営む大家族の最後の夏を描き、2022年・第72回ベルリン国際映画祭で最高賞にあたる金熊賞に輝いたヒューマンドラマ。
スペインのカタルーニャで、3世代にわたる大家族で桃農園を営んでいるソレ家。例年通り収穫を迎えようとしていた矢先、地主から夏の終わりに土地を明け渡すよう通達される。桃の木を伐採して、その場所にソーラーパネルを敷き詰めるというのだ。頑固者の父は激怒するが、母と妹夫婦はパネルの管理をすれば楽に稼げるという話に心を動かされる。賭け事でお金を稼ごうとする祖父、取り付く島のない父、資金稼ぎに畑の片隅で大麻栽培を始める長男など、それぞれの方法で桃園の危機をどうにかしようとする彼らだったが、やがて大げんかに発展。家族の関係に大きな亀裂が入ったまま、最後の収穫が始まる。
ドキュメンタリーのように自然な桃農家の日常と、カットアウトされる生活の終了間際の日々が瑞々しい。家族の世代ごとにある、さまざまな『終わり』へのカウントダウンが、静かに、残酷に、暖かく描かれてゆく。そして、その農家を追いやる理由が、あまりに現実的で、切ない。