2025-232M 「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」☆☆☆★

Sbadginias原題:Bad Genius
邦題:バッド・ジーニアス 危険な天才たち
時間:130分
公開:2018-09-22
製作年度:2017
製作国:タイ
配給:マクザム、ザジフィルムズ
製作総指揮:
製作:ジラ・マリクン ワンリディー・ポンシティサック
監督:ナタウット・プーンピリヤ
脚本:ナタウット・プーンピリヤ タニーダ・ハンタウィーワッタナー ワスドーン・ピヤロンナ
原作:
撮影:パクラオ・ジランクーンクム
音楽:フアランポン・リディム ウィチャヤー・ワタナサップ
出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン(リン)、チャーノン・サンティナトーンクン(バンク)、イッサヤー・ホースワン(グレース)、ティーラドン・スパパンピンヨー(パット)、ネート・ワラークンヌクロ(リンの父)、パシン・クワンサタポーン(バンジョン)、サリンラット・トーマット(校長)

中国で実際に起こったカンニング事件をモチーフに製作されたタイ映画で、同国で大ヒットを記録したクライムエンタテインメント。天才少女を中心とした高校生チームが世界規模のプロジェクトに挑む姿を描いた。小学校、中学校と優秀な成績を収め、その頭脳を見込まれて進学校に特待奨学生として転入を果たした女子高生リン。テストの最中に友人のグレースをある方法で手助けしたリンの噂を耳にしたグレースの彼氏パットは、試験中にリンが答えを教え、代金をもらうというビジネスを持ちかける。さまざまな高度な手段を駆使し、学生たちは試験を攻略。リンの売り上げも増加していった。そして多くの受験生の期待を背に受けたリンたちは、アメリカの大学に留学するため世界各国で行われる大学統一入試「STIC」攻略という巨大な舞台に挑むが……。

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2025-231M 「バレリーナ The World of John Wick」☆☆☆★

Sballerina原題:From the World of John Wick: Ballerina
邦題:バレリーナ The World of John Wick
時間:125分
公開:2025-08-22
製作年度:2025
製作国:アメリカ
配給:キノフィルムズ
製作総指揮:キアヌ・リーブス ルイーズ・ロズナー ケバン・バン・トンプソン ケイリー・スモーリー・ロモ シェイ・ハッテン
製作:ベイジル・イバニク チャド・スタエルスキ
監督:レン・ワイズマン
脚本:シェイ・ハッテン
原作:
撮影:ロマン・ラクールバ
音楽:タイラー・ベイツ ジョエル・J・リチャード
出演:アナ・デ・アルマス、ノーマン・リーダス、アンジェリカ・ヒューストン、ガブリエル・バーン、キアヌ・リーヴス、イアン・マクシェーン、ランス・レディック

キアヌ・リーヴス演じる伝説の殺し屋の終わりなき戦いを描く『ジョン・ウィック』シリーズから生まれたアクション。ジョン・ウィックを生み出した犯罪組織で訓練を受けた殺し屋の復讐劇が繰り広げられる。『ブロンド』などのアナ・デ・アルマス、ドラマシリーズ「ウォーキング・デッド」などのノーマン・リーダスらが新たに参戦し、キアヌやイアン・マクシェーン、ランス・レディックらおなじみの面々が集結。シリーズ4作を監督したチャド・スタエルスキが製作、『ダイ・ハード4.0』などのレン・ワイズマンがメガホンを取った。

2021年秋に観た『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』でダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドに協力するキューバのCIA職員として短い登場も、そのキレッキレのアクションで強力な印象を残したアナ・デ・アルマス。彼女のアクション映画を観たいなと思っていたら、なんとジョン・ウィックの世界観で主役を張った。さすがだ。モノになると踏んだ製作者に乾杯だ。ボンドと同様だが、こちらは凄腕の殺し屋。そして復讐者。これでもか、というアクションを展開するが、レン・ワイズマン監督はオーソドックスな活劇シーンを積み重ねる。火炎放射器の撃ち合いは迫力満点なのだが、キャメラワークが普通で単調。『ジョン・ウィック』シリーズのチャド・スタエルスキ監督の場合は、俯瞰移動のワンカットでのアクション演出など、驚異的な画面を作ってくれた。本作は、そのあたりの驚きに欠けるのが残念である。とはいえ、ジョン・ウィックの世界観が好きならば、押さえておいて損はないスピンアウトである。

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2025-230M 「ランド・オブ・バッド」☆☆☆★

Slandofbd原題:Land of Bad
邦題:ランド・オブ・バッド
時間:113分
公開:2025-08-15
製作年度:2024
製作国:アメリカ
配給:AMGエンタテインメント
製作総指揮:トレイシー・ロバートソン ネイサン・メイフィールド トレイシー・ビエイラ ルーク・ヘムズワース デルフィーヌ・ペリエ バネッサ・ヤオ・ガオ ジャック・ベアー・ルー ジャレッド・パーリントン ソフィー・ジョーダン リッカルド・マグノーニ マーティン・J・バラブ ヘンリー・ウィンタースターン シンディ・ブル フォード・コーベット ジョシュア・ハリス J・J・カルース ウェス・ハル デイブ・ルゴ ベネット・リトウィン ルースアン・フリジェリオ カイル・スミッソン ジョン・スタールバーグ・Jr.
製作:ネイサン・クリンガー ライアン・ウィンタースターン アリアンヌ・フレイザー ペトル・ヤークル マーク・ファサーノ
監督:ウィリアム・ユーバンク
脚本:デビッド・フリジェリオ ウィリアム・ユーバンク
原作:
撮影:
音楽:ブランドン・ロバーツ
出演:リアム・ヘムズワース、ラッセル・クロウ、ルーク・ヘムズワース、リッキー・ウィトル、マイロ・ビンティミリア

ラッセル・クロウとリアム・ヘムズワースが共演し、戦場で孤立した若手軍曹と、彼を後方から支援する無人戦闘機のベテラン操縦官の闘いを活写したサバイバルアクション。

イスラム過激派の温床となっているスールー海の緑豊かな島で、米軍特殊部隊デルタフォースが、拉致されたCIAエージェントを救出するという極秘任務に乗り出した。精鋭ぞろいの部隊の中で、JTAC(統合末端攻撃統制官)のキニー軍曹は航空支援の連絡役として、実戦経験がほとんどないまま任務に参加することになる。しかし目的地に着いた直後、部隊は反政府ゲリラに遭遇し、激しい銃撃戦の末に壊滅寸前に陥る。戦場で孤立したキニーは、はるか上空から支援する無人戦闘機MQ-9リーパーのベテラン操縦官だけを頼りに、決死の脱出に挑むが……。

無人戦闘機の操縦官をクロウ、若手軍曹キニーをリアム・ヘムズワースが演じ、リアムの実兄ルーク・ヘムズワースもデルタフォース隊員役で出演。「アンダーウォーター」のウィリアム・ユーバンクが監督を務め、アメリカ海軍全面協力のもと、入念な取材に基づいて現代の軍事作戦をリアルに描写した。

10年前にヘレン・ミレンがドローンオペレーターを演じた『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』(2015年 ギャビン・フッド監督)を観た時に<新しい戦争の形>の驚きがあったが、本作はその10年の進化によって、ドローンの活用のリアルが描かれる。もちろん地上戦のリアルな肉弾戦もあるが、ドローンによる索敵監視とバックアップ攻撃との両面作戦が必須となっている。その現代戦への驚異は、いわゆる徴兵して消耗品としての兵士1000人分の成果が、ドローン1機で成立してしまう現実に背筋が凍る。

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2025-229M 「残菊物語」☆☆☆★★

Szangiku邦題:残菊物語
時間:143分
公開:1939-10-9
製作年度:1939
製作国:日本
配給:松竹京都
製作総指揮:
製作:
監督:溝口健二
脚本:依田義賢
原作:村松梢風
撮影:三木滋人
音楽:深井史郎
出演:花柳章太郎、高田浩吉、伏見信子、森赫子、梅村蓉子

2代目・尾上菊之助の悲恋をつづった村松梢風の同名小説を映画化し、溝口健二監督の代表作のひとつとなった傑作時代劇。5代目・尾上菊五郎の養子として周囲からもてはやされて育った菊之助は、自分の芸の未熟さを率直に指摘してくれる弟の乳母・お徳に恋心を抱く。ところが、ふたりの身分違いの恋に周囲は猛反対。家を飛び出してお徳と一緒に大阪へやって来た菊之助は、旅役者になって貧しい暮らしを送るが……。

『国宝』のヒットで歌舞伎芸道映画の名作として語られる「残菊物語」(1939年 溝口健二版)、初見である。二昔前ならばビデオ店でレンタルを探したり、DVDを捜索したりしただろう。三昔前ならば、テレビ放映もあるわけなく、およそ鑑賞は不可能に近く、フィルムセンターなどで特集上映されるのを待つしかなかったろう。しかし一昔前の2015年にマーティン・スコセッシの助力で4K デジタル修復版が完成し、カンヌ映画祭でお披露目されたヴァージョンが登場した。そして今や僕らはUNEXTの配信で観ることができる。幸せなことだ。
作品冒頭から溝口健二の代名詞でもある1シーン1カットが始まり、芝居の流れが途切れない演出となっている。ハンディカメラなど無い時代なため、カメラは据え置きか時折パンが中心。もちろん出演俳優が舞台俳優として力量のある面々が揃っているため、長台詞、きっかけのタイミング芝居が長尺対応できているからでもある。
二代目菊之助がなさぬ仲の娘とともに都落ちしてドサ周り。糟糠の妻と苦心の末に実力をつけて東京へ凱旋するという実話だという。この菊之助が菊五郎の養子だが、実子が生れ…というあたりが『国宝』の葛藤に似ているかもしれない。

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2025-228M 「愛されなくても別に」☆☆☆★

Saisarenakutemobetsuni邦題:愛されなくても別に
時間:109分
公開:2025-07-04
製作年度:2025
製作国:日本
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
製作総指揮:
製作:石井紹良 本間憲 中西一雄 金延宏明
監督:井樫彩
脚本:井樫彩 イ・ナウォン
原作:武田綾乃
撮影:福本淳
音楽:松本淳一
出演:南沙良、馬場ふみか、本田望結、基俊介、伊島空、池津祥子、河井青葉

「響け!ユーフォニアム」で知られる小説家・武田綾乃の同名小説を、「この子は邪悪」の南沙良主演で映画化したドラマ。

大学生の宮田陽彩は浪費家の母親に代わって学費と家計を稼ぐため、学校以外のほとんどの時間をコンビニでのアルバイトに費やしている。母親からは暴力も暴言もないが「愛している」という言葉で縛られ、緩やかな絶望のなかで人生に期待することなく生きてきた。そんなある日、同じコンビニで働く派手な見た目の同級生・江永雅の父親が殺人犯だという噂を耳にする。他の誰かと普通の関係を築けないと思っていた陽彩と雅の出会いは、それぞれの人生を大きく変えていく。

母親から経済的虐待を受けている主人公・陽彩を南、母親に売春を強要された過去を持つ同級生・雅を「恋は光」の馬場ふみか、過干渉な親のもとで精神的虐待を受ける木村水宝石を「きさらぎ駅」の本田望結、陽彩と雅が働くコンビニの同僚・堀口順平をアイドルグループ「IMP.」の基俊介が演じる。「真っ赤な星」「あの娘は知らない」などで注目を集める若手監督・井樫彩が監督・脚本を手がけた。

 

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2025-227M 「V/H/S/ ビヨンド」☆☆☆★

Svhsbijond_20250706091501原題:V/H/S/Beyond
邦題:V/H/S/ ビヨンド
時間:114分
公開:2025-07-04
製作年度:2024
製作国:アメリカ
配給:KOOKS FILM
製作総指揮:アダム・ブーアスティン ロイ・リー スティーブン・シュナイダー エミリー・ゴット ニコラス・ラゾ サム・ジマーマン
製作:ジョシュ・ゴールドブルーム マイケル・シュレイバー ジェームズ・ハリス ブラッド・ミスカ
監督:ジェイ・チール ジョーダン・ダウニー ビラット・パル ジャスティン・マルティネス クリスチャン・ロング ジャスティン・ロング ケイト・シーゲル
脚本:ジョーダン・ダウニー ケビン・スチュワート ビラット・パル エバン・ディクソン ベン・ターナー ジャスティン・マルティネス クリスチャン・ロング ジャスティン・ロング マイク・フラナガン
原作:
撮影:
音楽:ニック・スール
出演:

「Pearl パール」のタイ・ウェスト監督や「ゴジラ×コング 新たなる帝国」のアダム・ウィンガード監督など名だたる監督たちを輩出したホラーアンソロジー「V/H/S」シリーズの1作。

インターネット上で発見された謎のVHSと、住人が消失するという呪われた物件。その2つが交わるとき、想像を絶する宇宙的恐怖が解き放たれる。エイリアン・ゾンビ、正体不明の魔女、凶暴な異星人、人知を超えたテクノロジーなど、「宇宙」をコンセプトにした6つの物語が描かれる。

「オキュラス 怨霊鏡」の俳優ケイト・シーゲル、「バーバリアン」の俳優ジャスティン・ロング、「サウスバウンド」の監督ジャスティン・マルティネス、「モンスターハンティング 復讐の狩人」の監督ジョーダン・ダウニーらがメガホンをとり、「ドクター・スリープ」のマイク・フラナガン監督が脚本で参加。さらにドキュメンタリー監督のジェイ・チールが抜てきされ、異星人の存在を探求する怪しいドキュメンタリーで各セグメントをつなぐ。

 

 

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2025-226M 「ハルビン」☆☆☆★

Sharubin_20250706092001 原題:Harbin
邦題:ハルビン
時間:114分
公開:2025-07-04
製作年度:2024
製作国:韓国
配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス
製作総指揮:
製作:キム・ウォングク
監督:ウ・ミンホ
脚本:キム・キョンチャン ウ・ミンホ
原作:
撮影:ホン・ギョンピョ
音楽:チョ・ヨンウク
出演:ヒョンビン(アン・ジュングン)、パク・ジョンミン(ウ・ドクスン)、チョ・ウジン(キム・サンヒョン)、チョン・ヨビン(コン夫人)、パク・フン(森辰雄少佐)、ユ・ジェミョン(チェ・ジェヒョン)、イ・ドンウク(イ・チャンソプ)、リリー・フランキー(伊藤博文)、チョン・ウソン(パク・ジョムチュル)

1909年10月に中国・ハルビンで起きた歴史的事件を映画化し、祖国独立のために闘う人々とそれを阻止しようとする勢力の攻防を描いたサスペンス。

1908年、参謀中将アン・ジュングン率いる大韓義軍は日本軍との戦闘で大きな勝利を収めた。アン・ジュングンは万国公法に従い、戦争捕虜である日本陸軍少佐・森辰雄らを解放するが、これをきっかけに大韓義軍の間ではアン・ジュングンに対する疑いとともに亀裂が生じる。1909年、アン・ジュングン、ウ・ドクスン、キム・サンヒョン、コン夫人、チェ・ジェヒョン、イ・チャンソプら、祖国奪還のために強い絆で結ばれた同志たちがウラジオストクに集まった。彼らは伊藤博文がロシアとの交渉のためハルビンに向かうことを知る。一方、日本軍は大韓義軍の密偵から、ある作戦についての情報を得る。

「コンフィデンシャル」シリーズのヒョンビンがアン・ジュングンを演じ、パク・ジョンミン、チョ・ウジン、チョン・ヨビン、イ・ドンウクが共演。日本からも伊藤博文役でリリー・フランキーが出演。「KCIA 南山の部長たち」のウ・ミンホが監督を務め、「パラサイト 半地下の家族」のホン・ギョンピョが撮影を手がけた。

タイトルから言わずと知れた、日本ではテロリスト安重根、韓国では究極の〈反日抵抗運動〉の神格化ヒーロー&独立運動の闘士&愛国者とされているアン・ジュングンのお話。リリー・フランキーが、哈爾浜で暗殺された伊藤博文を演じている。もちろんエビデンスなどゼロの、韓国が信じる『歴史』でのファンタジーである。新宿ピカデリー土曜日午後の回、満席である。

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2025-225M 「ハイポ」☆☆★★

Shaipo原題:Hypochondriac
邦題:ハイポ
時間:96分
公開:2025-07-04
製作年度:2022
製作国:アメリカ
配給:Cinemago
製作総指揮:マーティン・リチャーズ
製作:ベイ・ダリズ ジョン・ハンバー
監督:アディソン・ハイマン
脚本:アディソン・ハイマン
原作:
撮影:ダスティン・スペンチェック
音楽:ロバート・アレイア
出演:ザック・ビーヤ、デヴォン・グレイ、マデリーン・ジーマ、クリス・ダベク、ピーター・メンサー

本作が初長編となる映画作家アディソン・ハイマンが監督・脚本を手がけ、自身が経験した「病気不安症」に着想を得て撮りあげたクィア・スリラー。

子どもの頃、双極性障害を抱える母親に無理心中を図られた過去を持つウィル。成人し両親のもとを離れた彼は、同性の優しい恋人ルークと幸せな毎日を過ごしていた。しかしある日、ずっと接触を絶っていた母親から「恋人を信用するな」というメッセージが届く。その出来事をきっかけにウィルの精神は次第に不安定になり、自分の身体が病気に罹っているのではないかと思い込む「病気不安症」に悩まされるようになる。やがて彼の背負う暗い過去は、狼男の幻影となって心を蝕みはじめる。

ドラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー 1984」のザック・ビーヤが主人公ウィル、「NOPE ノープ」のデボン・グレイが恋人ルークを演じ、「ブリス たどり着く世界」のマデリン・ジーマ、「クリシャ」のクリス・ダベック、「300 スリーハンドレッド」のピーター・メンサーが共演。サウス・バイ・サウスウエスト映画祭2022にてプレミア上映後、ファンタジア国際映画祭などのファンタ系映画祭に入選。サンフランシスコ国際LGBTQ+映画祭では審査員特別賞を受賞。

病的メンタル崩壊系クイアもの。アメリカの病み方も半端ない領域となっている。まあ、10万円以内の略奪万引きは放任されちまうという、国自体が末期的に壊れているアメリカならではなのかもしれない。

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2025-224M 「桐島です」☆☆☆★

Skirishimadesu邦題:「桐島です」
時間:105分
公開:2025-07-04
製作年度:2025
製作国:日本
配給:渋谷プロダクション
製作総指揮:長尾和宏
製作:高橋惠子 高橋伴明
監督:高橋伴明
脚本:梶原阿貴 高橋伴明
原作:
撮影:根岸憲一
音楽:内田勘太郎
出演:毎熊克哉、奥野瑛太、北香那、原田喧太、山中聡、影山祐子、テイ龍進、嶺豪一、和田庵、伊藤佳範、宇乃徹、長村航希、海空、安藤瞳、咲耶、趙珉和、松本勝、秋庭賢二、佐藤寿保、ダーティ工藤、白川和子、下元史朗、甲本雅裕、高橋惠子

1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を映画化。2024年1月に末期の胃がんのため、神奈川県内の病院に入院していることが判明した桐島聡は、偽名で逃亡生活を送っていたものの「最期は本名で迎えたい」と素性を明かし、大きく報道されたが、その3日後に他界。数奇な道のりを歩んだ桐島聡の軌跡を、「夜明けまでバス停で」の高橋伴明監督のメガホンで描く。

1970年代、高度経済成長の裏で社会不安が渦巻く日本。反日武装戦線「狼」の活動に共鳴した大学生の桐島聡は、組織と行動を共にする。しかし、1974年の三菱重工爆破事件に関わり、多数の犠牲者を出してしまったことで、深い葛藤に苛まれる。組織が壊滅状態となり、指名手配された桐島は偽名を使い逃亡生活をつづけ、ある工務店で住み込みの職を得る。ようやく静かな生活を手にした桐島は、ライブハウスで知り合った歌手キーナが歌う「時代遅れ」に心を動かされ、相思相愛の関係となるが……。

桐島聡役を毎熊克哉が演じ、奥野瑛太、高橋惠子、白川和子、下元史朗、甲本雅裕らが顔をそろえる。

部活を辞めた謎の人物が登場する作品ではない!笑。
さて、促成された「逃走」(足立正生監督)から遅れること4カ月。高橋伴明監督版の満を持した〈指名手配犯・桐島〉である。足立版はアヴァンギャルドな舞台演劇的な演出やアジテーションシーンがめだった。本作は、映画的な文法で粛々と『内田ヒロシ』として生き続ける桐島を描写していく。しかし映画後半の近年部分になると、安倍内閣の安保法制や、クルドや朝鮮半島へのヘイトといった、果たして桐島のエピソードにあったのか?という製作者の主張のような、興醒めしてしまう要素が目立つ。その点において、髙橋版は〈潔く無い〉と思う。最終シーンで髙橋惠子が大道寺あや子らしき役柄で桐島の冥福を祈る。まあ、そうなるよね。

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2025-223M 「夏の砂の上」☆☆☆★

Snatsunosunanoue邦題:夏の砂の上
時間:102分
公開:2025-07-04
製作年度:2025
製作国:日本
配給:アスミック・エース
製作総指揮:
製作:甲斐真樹 イ・ジュン 石田誠 牟田口新一郎 宮地大輔 スージュン 加瀬林亮 都平聡介 長谷川和也 田井モトヨシ
監督:玉田真也
脚本:玉田真也
原作:松田正隆
撮影:月永雄太
音楽:原摩利彦
出演:オダギリジョー(小浦治)、高石あかり(川上優子)、松たか子(小浦恵子)、森山直太朗(陣野航平)、高橋文哉(立山孝太郎)、篠原ゆき子(陣野茂子)、満島ひかり(川上阿佐子)、斉藤陽一郎、浅井浩介、花瀬琴音、光石研(持田隆信)

オダギリジョーが主演・共同プロデューサーを務め、「美しい夏キリシマ」の脚本などで知られる松田正隆による同名戯曲を映画化。「そばかす」の玉田真也監督がメガホンをとり、愛を失った男、愛を見限った女、愛を知らない少女が、それぞれの痛みと向き合いながら小さな希望を見出していく姿を描く。

雨が降らず、からからに乾いた夏の長崎。幼い息子を亡くした喪失感から妻・恵子と別居している小浦治は、働いていた造船所が潰れても新しい職を探さずふらふらしていた。そんな治のもとに、妹の阿佐子が17歳の娘・優子を連れて訪ねてくる。阿佐子は治に優子を預けて1人で博多の男に会いに行ってしまい、治と優子の突然の同居生活が始まる。高校へ行かずアルバイトを始めた優子は、そこで働く先輩・立山と親しくなる。不器用ながらも懸命に父親代わりを務める治との暮らしになじんできた頃、優子は治と恵子が言い争う現場に遭遇する。

主人公・治をオダギリジョー、治の姪・優子を髙石あかり、治の妻・恵子を松たか子、優子の母で治の妹・阿佐子を満島ひかり、優子に好意を寄せる立山を高橋文哉、治が働いていた造船所の同僚を森山直太朗と光石研が演じた。

オダギリジョーが製作もかんで、相当に入れ込んでいる映画のようだが、最もその映画内での佇まいに違和感を覚え続けたのがオダギリジョーだった。彼の持つ雰囲気というかオーラが、本作の主人公にマッチしていたのかという点だ。で、映画を観ているあいだに「この役は誰がにあうのだろうか」と想像し続けてしまった。原田芳雄?ショーケン?藤竜也?菅原文太?渥美清?。。。それぞれがこの役柄で個性を爆発させそうな役者をイメージしていた。藤竜也以外は故人ばかりで、比較してはいけないが、この作品が昭和で作られたら、より舞台が「長崎」であることの意味も残滓的にリアルに描かれていくのだろう。という「遅く生まれ過ぎた作品」への同情を持って、この作品を<感じた>。

 

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