邦題:ブルーボーイ事件
時間:106分
公開:2025-11-14
製作年度:2025
製作国:日本
配給:日活、KDDI
製作総指揮:
製作:遠藤日登思 金山 吉田憲一 新井真理子 押田興将
監督:飯塚花笑
脚本:三浦毎生 加藤結子 飯塚花笑
原作:
撮影:芦澤明子
音楽:池永正二
出演:中川未悠(サチ)、前原滉(若村篤彦)、中村中(メイ)、イズミ・セクシー(アー子)、真田怜臣(ベティ)、六川裕史(ユキ)、泰平(ツカサ)、渋川清彦(岡辺隆之)、井上肇、安藤聖、岩谷健司、梅沢昌代、山中崇(赤城昌雄)、安井順平(時田孝太郎)、錦戸亮(狩野卓)
高度経済成長期の日本で実際に起きた「ブルーボーイ事件」を題材に、性別適合手術の違法性を問う裁判に関わった人々の姿を描いた社会派ドラマ。
1965年、オリンピック景気に沸く東京。警察は街の国際化に伴う売春の取り締まりを強化していたが、性別適合手術を受けた「ブルーボーイ」と呼ばれる者たちの存在に頭を悩ませていた。戸籍は男性のまま女性として売春をする彼女たちは、現行の売春防止法では摘発対象にならないのだ。そこで警察は、生殖を不能にする手術が「優生保護法」に違反するとして、ブルーボーイたちに手術を施した医師・赤城を逮捕し裁判にかける。一方、東京の喫茶店で働くサチは、恋人にプロポーズされ幸せの絶頂にいた。ある日、赤城の弁護を担当する弁護士・狩野がサチのもとを訪れる。実はサチには、赤城による性別適合手術を受けた過去があった。サチは狩野から、赤城の裁判に証人として出廷してほしいと依頼される。
主人公・サチ役のキャスティングにあたってはトランスジェンダー女性を集めたオーディションを実施。ドキュメンタリー映画「女になる」に出演経験はあるが演技は初挑戦の中川未悠を、主演に抜てきした。サチのかつての同僚たちをドラァグクイーンのイズミ・セクシーとシンガーソングライター・俳優の中村中、弁護士・狩野を錦戸亮が演じた。監督は「フタリノセカイ」などトランスジェンダー男性というアイデンティティを反映させた作風で国内外から注目を集める飯塚花笑。
1969年の松本俊夫監督によるatg作品『薔薇の葬列』。ピーターの主役デビュー作で、オイディプスをモチーフにした、新宿2丁目舞台の実験映画だった。スクリーンに映し出された、性倒錯が混沌した終末世界は、まさにワンダーランドだった。そんな1969年に、本作の『ブルーボーイ事件』の医師が有罪判決を受けていたのだ。
団塊の世代が青年(アオハル)で、造反有理の叫び声で、ガラガラと戦後の価値観を破壊していた時代でもある。この年、中学2年の映画ファンの小生は、10.21の騒動の中、日活名画座(現在は新宿丸井)で洒落たフランス映画に身を委ねていたことを思い出す。スクリーンのある5階から、余韻に浸って地上まで階段を下りると、肩を組み放歌する若い人々が目についた。高円寺の自宅へ戻ると、テレビでは新宿の燃える騒乱を伝えていた。
本作は、そんなアノコロの空気を纏った様々なエピソードのひとつだろう。とはいえ、昨今のLGBTポリコレ主張の、声高な理屈の悪臭がプンプンしてしまう。そりゃテーマは正義なのだろうが、類型的な二元論に仕上げているあたりが、気に食わない。