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2024-017M 「サン・セバスチャンへ、ようこそ」☆☆☆★★★

Ssansevastianheyoukoso原題:Rifkin's Festival
邦題:サン・セバスチャンへ、ようこそ
時間:88分
公開:2024-01-19
製作年度:2020
製作国:スペイン・アメリカ・イタリア
配給:ロングライド
製作総指揮:アダム・B・スターン ハビエル・メンデス マリオ・ジャナーニ ロレンツォ・ミエーリ ロレンツォ・ガンガロッサ
製作:レッティ・アロンソン ハウメ・ロウレス
監督:ウッディ・アレン
脚本:ウッディ・アレン
原作:
撮影:ビットリオ・ストラーロ
音楽:ステファーヌ・レンブル
出演:ウォーレス・ショーン(モート・リフキン)、ジーナ・ガーション(スー)、ルイ・ガレル(フィリップ)、エレナ・アナヤ(ジョー)、セルジ・ロペス(パコ)、クリストフ・ヴァルツ(死神)、リチャード・カインド(モートの父)、タミー・ブランチャード(ドリス)、ダグラス・マクグラス(ギル・ブレナー)、スティーヴ・グッテンバーグ(モートの兄)

ウッディ・アレン監督が、スペイン最大の国際映画祭であるサン・セバスチャン国際映画祭を舞台に、妻の浮気を疑う映画学の大学教授が体験する不思議な出来事を描いたコメディ。

ニューヨークの大学の映画学を専門とする教授で、売れない作家のモート・リフキンは、有名なフランス人監督フィリップの広報を担当している妻のスーに同行して、サン・セバスチャン映画祭にやってくる。リフキンはいつも楽しそうな妻とフィリップの浮気を疑っているが、そんな彼が街を歩くと、フェデリコ・フェリーニ監督の「8 1/2」の世界が突然目の前に現れる。さらには、夢の中でオーソン・ウェルズ監督の「市民ケーン」、ジャン=リュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」の世界に自身が登場するなど、クラシック映画の世界に没入する不思議な体験が次々と巻き起こる。

アレン作品の常連俳優ウォーレス・ショーンがリフキンを演じるほか、ジーナ・ガーション、エレナ・アナヤ、ルイ・ガレルが顔をそろえる。

久しぶりのウディ・アレン監督作品。それにしても2020年の作品。ずいぶんと待たされたものだ。2023年に『Coup de chancel』を発表したが日本公開は未定だ。しかしもう88歳。イーストウッドとともに「まだ大丈夫かぁ?」と心配な名匠だ。
 スペインのサン・セバスチャン国際映画祭を舞台に、妻の浮気を疑う売れない小説家がさまざまな妄想夢とともに、プチ恋愛をするライトコメディ。88歳になるウディ・アレン監督の、肩に力を入れず、映画のマーケットに阿るようなケレンを皆無とした、独特の枯れた演出芸で魅せきる逸品だ。特に、映画祭という祝祭空間に集う「映画で儲けることしか考えてない俗物ども」を冷笑しまくる。イケメンの新進監督の広報担当である妻が、その監督によろめいているのも達観しつつも、しかし偶然出会った美人の女医に心を惹かれていくという、アレン流の「恋愛は倫理より熱情」なテーマはきちんと提示している。アウォーレス・ショーン演じる主人公はアレンを投影しただろう、ハゲでチビでデブなユダヤ人というルッキング。それでも堂々と女医への恋心を示すのは立派。アレン監督が若い時代なら自らが演じたかった役柄だろう。特に早口で畳みかけるような台詞廻しの技は、ウォーレスでは再現できていなかった。
 本作で目玉は、主人公が夢見る、妄想する過去のヨーロッパ映画の名作のシーンだ。「市民ケーン」「8 1/2」「突然炎のごとこ」「男と女」「勝手にしやがれ」「仮面/ペルソナ」「野いちご」「皆殺しの天使」「第七の封印」の有名な象徴シーンをモチーフに、突然モノクロスタンダード画角となって登場する。音楽さえもニーノ・ロータであったりフランシス・レイであったり。それが全てパロディとして爆笑ものだ。「第七の封印」に至ってはチェスをする死神が、主人公に長生きの秘訣を語って消えていく。古き良き20世紀中盤の、作家の想いが強烈に描かれていた名作へ夢を見て、その憧れで一杯になりつつも、現実は「興行収入の話題」しかしない映画祭のミーティングへ主人公は背を向けていく。もちろん、コマーシャルなハリウッド的なるアメリカ映画界に失望し続け決別し、遂にはニューヨークを根城に製作を続けたたウディ・アレンの生きざまが、この作品のテーマでもあるのだ。

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