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2024-033M 「アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション」☆☆☆★★

Saribaidotcom2原題:Alibi.com 2
邦題:アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション
時間:88分
公開:2024-01-19
製作年度:2023
製作国:フランス
配給:アルバトロス・フィルム
製作総指揮:
製作:クリストフ・セルボーニ マルク・フィズマン ピエール・ラショー
監督:フィリップ・ラショー
脚本:フィリップ・ラショー ジュリアン・アルッティ ピエール・デュダン ピエール・ラショー
原作:
撮影:ピエリク・ガンテルミ・ディル
音楽:マキシム・デプレ ミカエル・トルディマン
出演:フィリップ・ラショー、エロディ・フォンタン、ジュリアン・アルッティ、タレク・ブダリ、ナタリー・バイ、ディディエ・ブルドン、ジェラール・ジュニョ、アリエル・ドンバール

「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」「世界の果てまでヒャッハー!」の監督・脚本・主演で知られるフィリップ・ラショーによるフランス製コメディ「アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー!な大騒動になった件」の続編。

依頼人のアリバイを作る会社「アリバイ・ドット・コム」のグレッグは、恋人フローとの結婚に向けて会社を廃業し、平穏な日々を過ごしていた。プロポーズも無事成功し結婚式の準備に入った彼の前に、両親の顔合わせという最大の難関が立ちはだかる。グレッグの父は詐欺師、母は現役セクシー女優で、彼は幼い頃から両親の身勝手な言動に振り回されてきた。トラブルを回避するため、グレッグは元同僚を呼び戻して「アリバイ・ドット・コム」を再結成。顔合わせには偽の両親を用意し、自分の両親には偽の婚約者を会わせようとするが……。

ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2024」上映作品。

Amazonで(1)を予習して。まあ、予習するほどの映画でもないのだが。小ネタがたっぷり継続していた。キャストもよく集めたな。ストーレートな「フレンチコメディの系譜」の後継者ともいえるラショー監督。大昔のジャック・タチやらルイ・ド・フィネスやら、エスプリの効いた笑いの体現者は、フランス映画界にはなくてはならないジャンルなのだと思う。

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2024-032M 「アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー!な大騒動になった件」☆☆☆★

Saribaidotcom1原題:Alibi.com
邦題:アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー!な大騒動になった件
時間:90分
公開:2018-01-16
製作年度:2017
製作国:フランス
配給:「アリバイ・ドット・コム」上映委員会
製作総指揮:
製作:アレクサンドラ・フェシュネル フランク・ミルサン
監督:フィリップ・ラショー
脚本:フィリップ・ラショー ジュリアン・アルッティ ピエール・デュダン
原作:
撮影:ドミニク・コラン
音楽:
出演:フィリップ・ラショー、ジュリアン・アルッティ、タレク・ブダリ、ナタリー・バイ

「世界の果てまでヒャッハー!」のフィリップ・ラショーが監督・脚本・主演を務め、映画の街カンヌを舞台に繰り広げられる大騒動を描いたコメディドラマ。依頼人の完璧なアリバイを作る会社「アリバイ・ドット・コム」を経営するグレッグ。依頼は次から次へと舞い込み、業績は順調に伸び続けていた。そんなある日、グレッグは恋人フローの両親に挨拶するため彼女の実家を訪れるが、フローの父親ジェラールは「アリバイ・ドット・コム」の顧客だった。しかもその内容は、不倫旅行のためのアリバイ作り。ジェラールに脅されて渋々依頼を引き受けたグレッグは、綿密な計画を立てて不倫旅行先のカンヌへ向かう。ところが、同じホテルにフローが母親を連れてバカンスに来てしまい……。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2018」上映作品。

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2024-031M 「ビヨンド・ユートピア 脱北」☆☆☆★★

Sdappoku原題:Beyond Utopia
邦題:ビヨンド・ユートピア 脱北
時間:115分
公開:2024-01-12
製作年度:2023
製作国:アメリカ
配給:トランスフォーマー
製作総指揮:シャロン・チャン マイケル・Y・チョウ
製作:ジャナ・エデルバウム レイチェル・コーエン スー・ミ・テリー
監督:マドレーヌ・ギャビン
脚本:
原作:
撮影:
音楽:アダム・テイラー テイラー・ペイジ
出演:

脱北を試みる家族の死と隣り合わせの旅に密着したドキュメンタリー。

これまで1000人以上の脱北者を支援してきた韓国のキム・ソンウン牧師は、幼児2人と老婆を含む5人家族の脱北を手伝うことに。キム牧師による指揮の下、各地に身を潜める50人以上のブローカーが連携し、中国、ベトナム、ラオス、タイを経由して亡命先の韓国を目指す、移動距離1万2000キロメートルにもおよぶ決死の脱出作戦が展開される。

撮影は制作陣のほか地下ネットワークの人々によって行われ、一部の詳細は関係者の安全のため伏せられている。世界に北朝鮮の実態と祖国への思いを伝え続ける脱北者の人権活動家イ・ヒョンソをはじめ、数多くの脱北者やその支援者たちも登場。「シティ・オブ・ジョイ 世界を変える真実の声」のマドレーヌ・ギャビンが監督を務めた。2023年サンダンス映画祭にてシークレット作品として上映され、USドキュメンタリー部門の観客賞を受賞。

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2024-030M 「カラーパープル」☆☆☆★

Scolorparple2024原題:The Color Purple
邦題:カラーパープル
時間:141分
公開:2024-02-09
製作年度:2023
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
製作総指揮:アリス・ウォーカー レベッカ・ウォーカー クリスティ・マコスコ・クリーガー カーラ・ガーディニ マーラ・ジェイコブス アダム・フェル コートニー・バレンティ シーラ・ウォルコット マイケル・ビューグ
製作:オプラ・ウィンフリー スティーブン・スピルバーグ スコット・サンダース クインシー・ジョーンズ
監督:ブリッツ・バザウーレ
脚本:マーカス・ガードリー
原作:アリス・ウォーカー
原作ミュージカル:マーシャ・ノーマン
撮影:ダン・ローストセン
音楽:クリス・バワーズ
出演:ファンテイジア・バリー、タラジ・P・ヘンソン、ダニエル・ブルックス、コールマン・ドミンゴ、、コーリー・ホーキンズ、H.E.R.、ハリー・ベイリー

巨匠スティーブン・スピルバーグが1985年に手がけた名作映画「カラーパープル」をミュージカル映画としてリメイク。ピュリッツァー賞を受賞したアリス・ウォーカーの同名小説と、ブロードウェイでロングランヒットを記録したミュージカル版をもとに再映画化する。

横暴な父に虐待され、10代で望まぬ結婚を強いられた女性セリー。唯一の心の支えである妹とも離れ離れになり、不遇な日々を過ごしていた。そんな中、型破りな生き方の女性たちとの出会いや交流を通して自分の価値に目覚めたセリーは、不屈の精神で自らの人生を切り拓いていく。

主人公セリー役にはブロードウェイ版でも同役を演じたファンテイジア・バリーノを起用し、「ドリーム」のタラジ・P・ヘンソン、実写映画「リトル・マーメイド」のハリー・ベイリー、シンガーソングライターのH.E.R.が共演。製作総指揮にはスピルバーグをはじめ、オリジナル版に出演したオプラ・ウィンフリー、オリジナル版の音楽を手がけたクインシー・ジョーンズが名を連ね、アリス・ウォーカーのピュリッツァー賞受賞小説を原作に新鋭ブリッツ・バザウーレ監督がメガホンをとった。

 

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2024-029m 「ロブスター」☆☆☆★

Sobustar原題:The Lobster
邦題:ロブスター
時間:118分
公開:2016-03-05
製作年度:2015
製作国:アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリカ
配給:ファインフィルムズ
製作総指揮:アンドリュー・ロウ テッサ・ロス サム・ラベンダー
製作:エド・ギニー リー・マジデイ セシ・デンプシー ヨルゴス・ランティモス
監督:ヨルゴス・ランティモス
脚本:ヨルゴス・ランティモス エフティミス・フィリップ
原作:
撮影:ティミオス・バカタキス
音楽:
出演:コリン・ファレル(デヴィッド)、レイチェル・ワイズ(近視の女)、ジェシカ・バーデン(鼻血の出やすい女)、オリヴィア・コールマン(ホテルの支配人)、アシュレー・ジェンセン(ビスケット好きの女)、アリアーヌ・ラベド(メイド)、アンゲリキ・パプーリァ(心のない女)、ジョン・C・ライリー(滑舌の悪い男)、レア・セドゥ(独身者たちのリーダー)、マイケル・スマイリー(独身者のスイマー)、ベン・ウィショー(足の悪い男)

アカデミー外国語映画賞ノミネート作「籠の中の乙女」で注目を集めたギリシャのヨルゴス・ランティモス監督が、コリン・ファレル、レイチェル・ワイズら豪華キャストを迎えて手がけた、自身初の英語作品。2015年・第68回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。独身者は身柄を確保されてホテルに送り込まれ、そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、動物に変えられて森に放たれるという近未来。独り身のデビッドもホテルへと送られるが、そこで狂気の日常を目の当たりにし、ほどなくして独り者たちが隠れ住む森へと逃げ出す。デビッドはそこで恋に落ちるが、それは独り者たちのルールに違反する行為だった。

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2024-028M 「あんのこと」☆☆☆★★

Sannnokoto邦題:あんのこと
時間:113分
公開:2024-06-07
製作年度:2024
製作国:日本
配給:キノフィルムズ
製作総指揮:
製作:
監督:入江悠
脚本:入江悠
原作:
撮影:
音楽:
出演:河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、河井青葉、広岡由里子、早見あかり

2020年6月に掲載された、ある1人の少女の壮絶な人生をつづった新聞記事に着想を得た人間ドラマ。機能不全の家庭に生まれ、虐待の末にドラッグに溺れる少女・杏(河合)は、ある出会いをきっかけに少しずつ変わり始める。しかし、突然のコロナ禍によって、ようやくつながった細い糸も断ち切られてしまう。

母子家庭の貧困のリアルに背筋が凍る。
実話をベースに描かれたという物語が、壮絶な貧困の現実を観客に投げかける。
入江悠監督の腰の据わった演出と、抑えた芝居の佐藤二朗、主人公あん役の河合優実が注目だ。しかしなによりも母親の春海役の河井青葉は、2024年の映画賞で助演女優賞の有力候補となる存在感だった。

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2024-027M 「ビニールハウス」☆☆☆★

Svinilhouse原題:Greenhouse
邦題:ビニールハウス
時間:100分
公開:2024-03-15
製作年度:2022
製作国:韓国
配給:ミモザフィルムズ
製作総指揮:
製作:
監督:イ・ソルヒ
脚本:イ・ソルヒ
原作:
撮影:
音楽:
出演:キム・ソヒョン、ヤン・ジェソン、シン・ヨンスク、ウォン・ミウォン、アン・ソヨ

貧困や孤独、介護など現代の韓国が抱える社会問題に根ざした物語が展開するサスペンス。正規の住宅を失った低所得者層が、農業施設であるビニールハウスで暮らす事例などをベースに描く。主演は人気ドラマ「SKYキャッスル 上流階級の妻たち」のキム・ソヒョン。

貧困のためビニールハウスに暮らすムンジョンは、少年院にいる息子と再び新居で暮らすことを夢見ていた。その資金を稼ぐため、盲目の老人テガンと、その妻で重い認知症を患うファオクの訪問介護士として働いている。ある日、ファオクが風呂場で突然暴れ出し、ムンジョンと揉み合う際に床に後頭部を打ちつけ、そのまま亡くなってしまう。ムンジョンは認知症の自身の母親をファオクの身代わりに据えることで、息子と一緒に暮らす未来を守ろうとするが……。

ムンジョン役のソヒョンのほか、ドラマ「キング・ザ・ランド」のベテラン俳優ヤン・ジェソン、ドラマ「ザ・グローリー 輝かしき復讐」のアン・ソヨらが顔をそろえる。監督は本作が長編監督デビューとなるイ・ソルヒ。

「パラサイト 半地下の家族」との類似関連でパブリシティしているのも、まあ正しいだろう。貧困と家庭乗っ取りな物語だ。メインの登場人物たちは、みな心を病んでいる。この病みっぷりが無いと、シナリオが展開しないだろうから、まあご都合主義の一形態なのだろう。ダークな心理劇風に描き切って、クライマックスのヨーロッパ映画的な「ぶん投げ」。初長編というイ・ソルヒ監督は頑張ってるだろう。

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2024-026M 「ジミー・クリフ/ボンゴ・マン(デジタルリマスター版)」☆☆☆★

Sjimmycrif原題:Jimmy Cliff/Bongo Man
邦題:ジミー・クリフ/ボンゴ・マン(デジタルリマスター版)
時間:93分
公開:1992-12-19
製作年度:1981
製作国:ドイツ
配給:パルコ=アスミック
製作総指揮:
製作:
監督:ステファン・パウル
脚本:ステファン・パウル
原作:
撮影:マイク・コンデ、ウド・ヒッツラー、ハインツ・レクサー、ヘリベルト・シュースター
音楽:ジミー・クリフ
出演:ジミー・クリフ、ナディーン・サザーランド、ムタバルーカ、バーバラ・ジョーンズ、ミリアム・マケバ、ボブ・マーリー

1980年に行われたレゲエ・ミュージックのスーパー・スター、ジミー・クリフのコンサート・ツアーの模様を収めたドキュメンタリー。監督・脚本は「ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ'79」のステファン・パウル。カメラは、ジミーの故郷であるジャマイカのサマートンを皮切りに、南アフリカ・ソウェトのゲットーでのステージをハイライトに、ドイツ・ハンブルグへと至るツアーを追いかけていく。

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2024-025M 「オン・ザ・フロント・ライン 極限戦線」☆☆☆

Sonthefrontline原題:Myrnyi-21
邦題:オン・ザ・フロント・ライン 極限戦線
時間:118分
公開:2024-01-19
製作年度:2023
製作国:ウクライナ
配給:「オン・ザ・フロント・ライン 極限戦線」上映委員会
製作総指揮:
製作:
監督:アルテム・セイタブラエフ
脚本:セルヒー・キャストーニクフ
原作:
撮影:
音楽:
出演:マクシム・デヴィゾロフ、セルゲイ・フロロフ、ロレーナ・コリバブチュク

ロシア・ウクライナ戦争へとつながるドンバスの戦いを題材に、ウクライナ国家全面協力のもと製作された戦争アクション。

2013年から14年にかけて、ウクライナの民衆は独裁的なヤヌコービチ政権に対して蜂起した。ロシア特殊機関の協力によるヤヌコービチ逃亡をきっかけに、ロシア軍は地元協力者の支援を受けてクリミア半島を占領し、ウクライナ全土に狙いを定めていた。ある日、ウクライナ保安庁州本部で抗議活動参加者が州政府を攻撃し、州政府長官は辞任に追い込まれる。一方、スタニツィヤで分離派に捕われたウクライナ部隊を取り戻す交渉のため現地を訪れたアブジェーエフ大佐は、ロシア側に寝返るよう説得されるが、ウクライナを守るため戦うことを決意する。

ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2024」上映作品。

ウクライナ映画。ロシアがクリミア半島を占拠、そしてドンバスの国境警備隊にロシア分離派の軍が迫る。さらにロシア側に寝返るように脅迫ともいえるアプローチも。しかし、愛国者である司令官は、分離派と戦い、警備隊本部を守備することを決断する。
なんとも当事者の語る対ロシア戦争アクション映画。おバカな富豪の息子が改心して最後には英雄として讃えられる、その戦意高揚っぷりもしたたかだ。

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2024-024M 「VESPER ヴェスパー」☆☆☆★

Svesper原題:Vesper
邦題:VESPER ヴェスパー
時間:114分
公開:2024-01-19
製作年度:2022
製作国:フランス・リトアニア・ベルギー
配給:クロックワークス
製作総指揮:セバスティアン・レボ
製作:アスタ・リュカイティーテ ダイバ・バルナイテ=ヨバイシエネ アレクシス・ぺリン クリスティーナ・ブオジーテ
監督:クリスティーナ・ブオジーテ ブルーノ・サンペル
脚本:ブライアン・クラーク ブルーノ・サンペル クリスティーナ・ブオジーテ
原作:クリスティーナ・ブオジーテ ブルーノ・サンペル
撮影:フェリクサス・アブルカウスカス
音楽:ダン・レビ
出演:ラフィエラ・チャップマン、エディ・マーサン、ロージー・マキューアン、リチャード・ブレイク

壊れて分断された地球を舞台に、絶望的な世界から抜け出そうとする少女の戦いを独創的かつ壮大な世界観で描いたSFダークファンタジー。

生態系が壊れてしまった地球では、一部の富裕層のみが城塞都市シタデルに暮らし、貧しい人々は危険な外の世界でわずかな資源を奪い合いながら生きていた。外の世界で寝たきりの父と暮らす13歳の少女ヴェスパーは、ある日、森の中で倒れている女性カメリアを見つける。シタデルの権力者の娘だという彼女は、墜落した飛行艇に一緒に乗っていた父を捜してほしいという。うまくいけばシタデルへの道を切り拓けるかもしれないと考えたヴェスパーは、父の制止を振り切ってカメリアの頼みを引き受けることに。しかし地域を支配する残忍なヴェスパーの叔父ヨナスもまた、墜落した飛行艇の行方を追っていた。

主人公ヴェスパー役は「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」のラフィエラ・チャップマン。新鋭クリスティーナ・ブオジーテ&ブルーノ・サンペルが監督を務め、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で最高賞にあたる金鴉賞を受賞した。

地球崩壊後のディストピアもの。一部の富裕権力層が奴隷的な貧困層を支配搾取している、という構図はありきたり。あとは、この世界をどういう約束事で成立させているかのアイデア勝負だ。これまでの映画史でも、少年少女を殺し合わせる『ハンガー・ゲーム』シリーズや、権力者が時間を支配する「TIME/タイム」、疾走する列車の中に富裕貧困がある「スノーピアサー」などなど工夫の限りを尽くしている。本作はウィルスによって食用動植物が死滅して、唯一支配層が住民の「子供の生き血」と交換する、一回しか収穫ができない種子でしか食料が手に入らないという世界。そこで、その遺伝子工学で種子にロックされた暗号を解読しようとする天才少女が主人公。彼女が彷徨う原野は、ナウシカにインスパイアされたような、人間には凶悪な植物だらけ。そこへ支配層エリアから飛んできた船が墜落して・・・。まあアイデアだけで結末が読めてしまうレベルなのだが、主人公のヴェスパーを演じるラフィエラ・チャップマンがなかなか良い。

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2024-023M 「みなに幸あれ」☆☆☆

Sminanisachiare邦題:みなに幸あれ
時間:89分
公開:2024-01-19
製作年度:2024
製作国:日本
配給:KADOKAWA
製作総指揮:清水崇
製作:菊池剛 五十嵐淳之
監督:下津優太
脚本:角田ルミ
原作:下津優太
撮影:岩渕隆斗
音楽:香田悠真
出演:古川琴音(主人公)、松大航也(主人公の幼なじみ)、犬山良子、西田優史、吉村志保、橋本和雄、野瀬恵子、有福正志

「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」というテーマを下敷きに、とある村を訪れた若い女性がこの世界の特異な成り立ちに疑問を抱き、得体の知れない恐怖に対峙する姿を描いたホラー。

祖父母が暮らす田舎へやって来た看護学生の“孫”は、祖父母との久々の再会を喜びながらも、祖父母や近隣住民の言動にどこか違和感を覚える。祖父母の家には“何か”がいるようだ。やがて、人間の存在自体を揺るがすような根源的な恐怖が彼女に迫り……。

「偶然と想像」「十二人の死にたい子どもたち」の古川琴音が“孫”役で主演を務め、「20歳のソウル」の松大航也が主人公の幼なじみ役で共演。一般公募フィルムコンペティション「第1回日本ホラー映画大賞」で大賞を受賞した下津優太監督による同名短編をもとに、下津監督が商業映画初メガホンをとり長編映画として完成させた。日本ホラー映画界の巨匠・清水崇が総合プロデュースを手がけ、「ミンナのウタ」の角田ルミが脚本を担当。

清水崇が総合プロデューサーという伝奇スリラー。心理ホラーでもあるイヤミス系。特殊な習俗に囚われている山村が舞台。2ちゃんねるのオカルト板にありそうなお話。結末もほぼ予想通り。シチュエーションアイデアは理解できるので、脚本がもう少し整理されていればいいのに、と思う。出産や味噌や糸の意味などの説明が必要だろう。

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2024-022M 「ミッション・ジョイ 困難な時に幸せを見出す方法」☆☆☆★★

Smissionjoy原題:Mission: Joy - Finding Happiness in Troubled Times
邦題:ミッション・ジョイ 困難な時に幸せを見出す方法
時間:90分
公開:2024-01-12
製作年度:2021
製作国:アメリカ
配給:ユナイテッドピープル
製作総指揮:ジェラリン・ドレイファウス レジーナ・K・スカリー オーリー・ラビード スーザン・バウアー=ウー リップ・ゲレイン パウロ・リマ コニー・ケメラー ジョニ・ウィストン トミー・メイ ジェシー・クリール ルイ・シホヨス ダーラ・K・アンダーソン ダミアン・デ・フロベルビル ペギー・キャラハン マリ・スナイダー・ジョンソン シャノン・オリアリー・ジョイ ジェーン・カッチマー ジェイミー・ドラモンド ブリジット・ロンバード ライアン・ガル パム・オミディアー シャノン・セジウィック=デイビス マイケル・シュガー ムポ・ツツ トゥプテン・ジンパ ダグ・エイブラムス
製作:ペギー・キャラハン マーク・モンロー
監督:ルイ・シホヨス、ペギー・キャラハン
脚本:
原作:
撮影:
音楽:ドミニク・メッシンガー
出演:ダライ・ラマ14世、デズモンド・ツツ、トゥプテン・ジンパ、ムポ・ツツ、ダグ・エイブラムス、ソニア・リュボミアスキー博士、リチャード・デビッドソン

チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と、南アフリカのアパルトヘイト撤廃運動の指導者デズモンド・ツツ大主教という2人のノーベル平和賞受賞者による世紀の対談をとらえたドキュメンタリー。

ダライ・ラマ14世とデズモンド・ツツ大主教の対談などをもとに構成された世界的ベストセラー「よろこびの書 変わりゆく世界のなかで幸せに生きるということ」を原作に、チベット亡命政府の本拠地であるインド北部ダラムサラのダライ・ラマ法王邸で撮影された未公開映像を中心に構成。深い友情で結ばれた2人の精神的指導者が5日間にわたって繰り広げた、知恵と喜びに満ちた対談の様子を映し出す。

さらに、普遍的な喜びの概念を裏付ける研究を行う科学者ソニア・リュボミアスキー博士とリチャード・デビッドソン博士へのインタビューを通し、喜びを持って生きる方法を科学的に検証する。監督は「ザ・コーヴ」のルイ・シホヨス。

なかなか心に響く。ノーベル平和賞の二人が『幸せ』について仲良く考察する。

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2024-021M 「燈火(ネオン)は消えず」☆☆☆★★

Sneonhakiezu原題:燈火闌珊 A Light Never Goes Out
邦題:燈火(ネオン)は消えず
時間:分103
公開:2024-01-12
製作年度:2022
製作国:香港
配給:ムヴィオラ
製作総指揮:
製作:シルビア・チャン
監督:アナスタシア・ツァン
脚本:アナスタシア・ツァン
原作:
撮影:リョン・ミンカイ
音楽:アラン・ウォン ジャネット・ユン
出演:シルヴィア・チャン(ゴン・メイヒョン)、サイモン・ヤム(ヨン・チャンビル)、セシリア・チョイ(チョイホン)、ヘニック・チャウ(レオ)、ベン・ユエン(ウォン)、シン・マック(ロイ)、アルマ・クオック(若き日のメイヒョン)、ジャッキー・トン(若き日のビル)、ミミ・クン(ミウライ)、レイチェル・リョン(バー梅花鹿の店主)、ジャッキー・チャン(ミウライの夫)

ネオンサインきらめく夜景が失われつつある香港を舞台に、ネオン職人だった亡き夫が残した最後のネオンを完成させようとする妻を描いたヒューマンドラマ。

建築法等の改正により、2020年までに9割のネオンサインが姿を消したと言われる香港。ネオンサイン職人だった夫ビルに先立たれたメイヒョンは、夫がやり残した最後のネオンを完成させることを決意する。メイヒョンが夫の工房を訪れると、そこには見知らぬ青年の姿があった。メイヒョンは香港を離れて移住しようとする娘と反発しあう中で、伝説の吹きガラス製ネオンの存在を知り……。

「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」のシルビア・チャンがメイヒョン役で主演を務め、2022年・第59回金馬奨で最優秀主演女優賞を受賞。「エレクション」のサイモン・ヤムが亡き夫ビル、「返校 言葉が消えた日」のセシリア・チョイが夫婦の娘を演じた。2022年・第35回東京国際映画祭「アジアの未来」部門では「消えゆく燈火」のタイトルで上映されている。

1997年秋、返還寸前の香港へロケに行った。ネイザンロードをはじめ、さまざまな風景が、その遥か前に旅をしたときから随分と変化していて驚いたが、ネオンは健在だった。しかし、2010年の建築規制で撤去が進み、この作品の香港の風景では、、、。こんな作品が通用するほど「郷愁の懐古風景」となってしまってきるのか。
なかなか良い出来の、お仕事ドラマでした。

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2024-020M 「異人たち」☆☆☆

Sjintachi原題:All of Us Strangers
邦題:異人たち
時間:105分
公開:2024-04-19
製作年度:2023
製作国:イギリス・アメリカ
配給:ディズニー
製作総指揮:ダーモット・マキヨン ベン・ナイト オリー・マッデン ダニエル・バトセック
製作:グレアム・ブロードベント ピート・チャーニン サラ・ハーベイ
監督:アンドリュー・ヘイ
脚本:アンドリュー・ヘイ
原作:山田太一
撮影:ジェイミー・D・ラムジー
音楽:エミリー・レビネイズ=ファルーシュ
出演:アンドリュー・スコット、ポール・メスカル、ジェイミー・ベル、クレア・フォイ

日本を代表する名脚本家・山田太一の長編小説「異人たちとの夏」を、「荒野にて」「さざなみ」のアンドリュー・ヘイ監督が映画化。1988年に日本でも映画化された喪失と癒やしの物語を、現代イギリスに舞台を移してヘイ監督ならではの感性あふれる脚色と演出で描き出す。

12歳の時に交通事故で両親を亡くし、孤独な人生を歩んできた40歳の脚本家アダム。ロンドンのタワーマンションに住む彼は、両親の思い出をもとにした脚本の執筆に取り組んでいる。ある日、幼少期を過ごした郊外の家を訪れると、そこには30年前に他界した父と母が当時のままの姿で暮らしていた。それ以来、アダムは足しげく実家に通っては両親のもとで安らぎの時を過ごし、心が解きほぐされていく。その一方で、彼は同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちるが……。

「SHERLOCK シャーロック」のアンドリュー・スコットが主人公アダム、「aftersun アフターサン」のポール・メスカルがハリー、「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルと「ウーマン・トーキング 私たちの選択」のクレア・フォイがアダムの両親をそれぞれ演じた。

大林宣彦監督作品の印象もあって、日本的な死生観や、現代の社会的苦悩などを描いた昭和の名作がどのように洋画となっているか期待していました。特に、牡丹灯籠の要素もあるなか、キリスト教的な死者やあの世へのアプローチがどうなされるか、という点で興味もありました。ところが、ビックリです。名取裕子役は誰が?と思ったら!圓朝も毎夜訪ねてくる死霊が男だとは想像もしていなかったでしょう。というわけで、残念ながらオリジナル作品に囚われていて、私には違和感しかなくて終わりました。

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2024-019M 「ブルックリンでオペラを」☆☆☆★

Sbruckrinopera原題:She Came to Me
邦題:ブルックリンでオペラを
時間:102分
公開:2024-04-05
製作年度:2023
製作国:アメリカ
配給:松竹
製作総指揮:ダニー・コーエン アマンダ・ゴースト ビンス・ホールデン
製作:デイモン・カーダシス パメラ・コフラー、クリスティーン・ベイコン レベッカ・ミラー レン・ブラバトニック アン・ハサウェイ シンディ・トーラン ジェド・ディッカーシン
監督:レベッカ・ミラー
脚本:レベッカ・ミラー
原作:
撮影:サム・レビ
音楽:ブライス・デスナー
出演:アン・ハサウェイ、ピーター・ディンクレイジ、マリサ・トメイ

アン・ハサウェイ、ピーター・ディンクレイジ、マリサ・トメイら実力派キャストの共演で、ニューヨークに暮らす夫婦の人生が、ある出会いをきっかけに変化していくさまを描いたロマンティックコメディ。

ニューヨーク、ブルックリンに暮らす精神科医のパトリシアと、現代オペラ作曲家のスティーブンの夫婦。人生最大のスランプに陥っていたスティーブンは、愛犬との散歩先のとあるバーで、風変わりな船長のカトリーナと出会う。カトリーナに誘われて船に乗り込んだスティーブンは襲ったある事態により、夫婦の人生は劇的に変化していく。

プロデューサーも務めるアン・ハサウェイがパトリシア役を演じ、スティーブン役は「ゲーム・オブ・スローンズ」のピーター・ディンクレイジが担当。オスカー女優のマリサ・トメイがカトリーナ役を務めた。ブルース・スプリングスティーンによる主題歌が第81回ゴールデングローブ賞歌曲賞にノミネートされた。監督は「50歳の恋愛白書」のレベッカ・ミラー。

いろいろアメリカ人はみんな病んでる。というのは「恋愛小説家」以来ずっとだ。

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2024-018M 「ゴールデンカムイ」☆☆☆★★

Sgoldencamui邦題:ゴールデンカムイ
時間:128分
公開:2024-01-19
製作年度:2024
製作国:日本
配給:東宝
製作総指揮:
製作:田代秀樹 井原多美 瓶子吉久 市川南 堂山昌司 荒木宏幸 弓矢政法 舛田淳 長嶋潤二 松橋真三
監督:久保茂昭
脚本:黒岩勉
原作:野田サトル
撮影:相馬大輔
音楽:やまだ豊
出演:山崎賢人(杉元佐一)、山田杏奈(アシリパ)、眞栄田郷敦(尾形百之助)、工藤阿須加(月島基)、柳俊太郎(二階堂浩平/洋平)、泉澤祐希(寅次)、矢本悠馬(白石由竹)、大谷亮平(谷垣源次郎)、勝矢(牛山辰馬)、高畑充希(梅子)、木場勝己(永倉新八)、大方斐紗子(フチ)、秋辺デボ(大叔父)、マキタスポーツ(後藤竹千代)、玉木宏(鶴見篤四郎)、舘ひろし(土方歳三)

明治末期の北海道を舞台にアイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた野田サトルの大ヒット漫画を実写映画化。

日露戦争での鬼神のごとき戦いぶりから「不死身の杉元」の異名を持つ杉元佐一。ある目的のため一獲千金を狙う彼は、北海道の山奥で砂金採りに明け暮れていた。そんなある日、杉元はアイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った「のっぺら坊」と呼ばれる男は、捕まる直前に金塊を隠し、その在処を暗号にした刺青を24人の囚人の身体に彫って彼らを脱獄させた。金塊を見つけ出すべく動き始めた杉元は、野生のヒグマに襲われたところをアイヌの少女アシリパに救われる。彼女は金塊を奪った男に父親を殺されており、その仇を討つため杉元と行動をともにすることに。一方、大日本帝国陸軍第七師団の鶴見篤四郎中尉と、戊辰戦争で戦死したとされていた新選組副長・土方歳三も、それぞれ金塊の行方を追っていた。

「キングダム」シリーズの山崎賢人が杉元、「彼女が好きなものは」の山田杏奈がアシリパを演じ、眞栄田郷敦、工藤阿須加、玉木宏、舘ひろしら豪華キャストが個性豊かなキャラクターたちを演じる。監督は「HiGH&LOW」シリーズの久保茂昭。

原作コミックは未読だが、アニメ版は見ている。その実写作品ということでチェゲラ作品だった。先日、某社経営陣から、本作のムビチケをいただき、ありがたく招待される。独特の歴史感、世界観が横溢するので、如何なる実写となったか興味津々だ。
果たして、なるほどココで終わるのか。で、次なる話は、あそこから?という予告っぽい映像もあるが、アニメ版でも感じたが、プレーヤーが多すぎて大丈夫か?となる拡散。このあたりを、どう仕上げてくるのか、楽しみだ。

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2024-017M 「サン・セバスチャンへ、ようこそ」☆☆☆★★★

Ssansevastianheyoukoso原題:Rifkin's Festival
邦題:サン・セバスチャンへ、ようこそ
時間:88分
公開:2024-01-19
製作年度:2020
製作国:スペイン・アメリカ・イタリア
配給:ロングライド
製作総指揮:アダム・B・スターン ハビエル・メンデス マリオ・ジャナーニ ロレンツォ・ミエーリ ロレンツォ・ガンガロッサ
製作:レッティ・アロンソン ハウメ・ロウレス
監督:ウッディ・アレン
脚本:ウッディ・アレン
原作:
撮影:ビットリオ・ストラーロ
音楽:ステファーヌ・レンブル
出演:ウォーレス・ショーン(モート・リフキン)、ジーナ・ガーション(スー)、ルイ・ガレル(フィリップ)、エレナ・アナヤ(ジョー)、セルジ・ロペス(パコ)、クリストフ・ヴァルツ(死神)、リチャード・カインド(モートの父)、タミー・ブランチャード(ドリス)、ダグラス・マクグラス(ギル・ブレナー)、スティーヴ・グッテンバーグ(モートの兄)

ウッディ・アレン監督が、スペイン最大の国際映画祭であるサン・セバスチャン国際映画祭を舞台に、妻の浮気を疑う映画学の大学教授が体験する不思議な出来事を描いたコメディ。

ニューヨークの大学の映画学を専門とする教授で、売れない作家のモート・リフキンは、有名なフランス人監督フィリップの広報を担当している妻のスーに同行して、サン・セバスチャン映画祭にやってくる。リフキンはいつも楽しそうな妻とフィリップの浮気を疑っているが、そんな彼が街を歩くと、フェデリコ・フェリーニ監督の「8 1/2」の世界が突然目の前に現れる。さらには、夢の中でオーソン・ウェルズ監督の「市民ケーン」、ジャン=リュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」の世界に自身が登場するなど、クラシック映画の世界に没入する不思議な体験が次々と巻き起こる。

アレン作品の常連俳優ウォーレス・ショーンがリフキンを演じるほか、ジーナ・ガーション、エレナ・アナヤ、ルイ・ガレルが顔をそろえる。

久しぶりのウディ・アレン監督作品。それにしても2020年の作品。ずいぶんと待たされたものだ。2023年に『Coup de chancel』を発表したが日本公開は未定だ。しかしもう88歳。イーストウッドとともに「まだ大丈夫かぁ?」と心配な名匠だ。
 スペインのサン・セバスチャン国際映画祭を舞台に、妻の浮気を疑う売れない小説家がさまざまな妄想夢とともに、プチ恋愛をするライトコメディ。88歳になるウディ・アレン監督の、肩に力を入れず、映画のマーケットに阿るようなケレンを皆無とした、独特の枯れた演出芸で魅せきる逸品だ。特に、映画祭という祝祭空間に集う「映画で儲けることしか考えてない俗物ども」を冷笑しまくる。イケメンの新進監督の広報担当である妻が、その監督によろめいているのも達観しつつも、しかし偶然出会った美人の女医に心を惹かれていくという、アレン流の「恋愛は倫理より熱情」なテーマはきちんと提示している。アウォーレス・ショーン演じる主人公はアレンを投影しただろう、ハゲでチビでデブなユダヤ人というルッキング。それでも堂々と女医への恋心を示すのは立派。アレン監督が若い時代なら自らが演じたかった役柄だろう。特に早口で畳みかけるような台詞廻しの技は、ウォーレスでは再現できていなかった。
 本作で目玉は、主人公が夢見る、妄想する過去のヨーロッパ映画の名作のシーンだ。「市民ケーン」「8 1/2」「突然炎のごとこ」「男と女」「勝手にしやがれ」「仮面/ペルソナ」「野いちご」「皆殺しの天使」「第七の封印」の有名な象徴シーンをモチーフに、突然モノクロスタンダード画角となって登場する。音楽さえもニーノ・ロータであったりフランシス・レイであったり。それが全てパロディとして爆笑ものだ。「第七の封印」に至ってはチェスをする死神が、主人公に長生きの秘訣を語って消えていく。古き良き20世紀中盤の、作家の想いが強烈に描かれていた名作へ夢を見て、その憧れで一杯になりつつも、現実は「興行収入の話題」しかしない映画祭のミーティングへ主人公は背を向けていく。もちろん、コマーシャルなハリウッド的なるアメリカ映画界に失望し続け決別し、遂にはニューヨークを根城に製作を続けたたウディ・アレンの生きざまが、この作品のテーマでもあるのだ。

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2024-016M 「葬送のカーネーション」☆☆☆★★

Ssosonokanesyon原題:Cloves & Carnations
邦題:葬送のカーネーション
時間:103分
公開:2024-01-12
製作年度:2022
製作国:トルコ・ベルギー
配給:ラビットハウス
製作総指揮:
製作:ハリル・カルダシュ ビュシュラ・ビュルビュル
監督:ベキル・ビュルビュル
脚本:ビュシュラ・ビュルビュル ベキル・ビュルビュル
原作:
撮影:バルシュ・アイゲン
音楽:
出演:シャム・シェリット・ゼイダン、デミル・パルスジャン

トルコの気鋭監督ベキル・ビュルビュルが、亡き妻を埋葬するため棺を背負って歩き続ける老人とその孫娘の旅を、リアリズムと虚構を交差させながら描いたドラマ。

荒涼とした冬のトルコ南東部。年老いた男性ムサは他界した妻との約束を守るため、彼女の遺体を故郷の地に埋葬するべく棺を背負って旅をしている。紛争の続く地域へ帰りたくない孫娘ハリメは、親を亡くし仕方なくムサと行動をともにする。彼らは旅の途中で出会ったさまざまな人たちから、神の啓示のような“生きる言葉”を授かりながら進み続ける。

シリア出身で、戦争から逃れるためトルコに移住した新人俳優シャム・シェリット・ゼイダンが孫娘ハリメ、トルコの映画・舞台・テレビドラマで活躍するデミル・パルスジャンが祖父ムサを演じた。2022年・第35回東京国際映画祭「アジアの未来」部門では「クローブとカーネーション」のタイトルで上映されている。

トルコ映画。亡妻との『故郷に埋葬する』という約束を果たすために、一人置いておけない孫娘と妻の遺体を運ぶ老人。国境を越えて故国へ連れて行く、という想いだけが重い、荒涼たるロードムービー。なかなか響いたので、めずらしくパンフレットを購入した。

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2024-015M 「白日青春 生きてこそ」☆☆☆★

Shakujitsuseisyun原題:白日青春 The Sunny Side of the Street
邦題:白日青春 生きてこそ
時間:111分
公開:2024-01-26
製作年度:2022
製作国:香港・シンガポール
配給:武蔵野エンタテインメント
製作総指揮:
製作:ビーノッド・セクハー ソイ・チェン ウィニー・ツァン ピーター・ヤム
監督:ラウ・コックルイ
脚本:ラウ・コックルイ
原作:
撮影:リョン・ミンカイ
音楽:
出演:アンソニー・ウォン(チャン・バクヤッ)、サハル・ザマン(ハッサン)、エンディ・チョウ(チャン・ホン)、インダージート・シン(アフメド)、キランジート・ギル(ファティマ)

香港を代表する名優アンソニー・ウォンが主演を務め、孤独なタクシー運転手と難民の少年の心の交流を描いたヒューマンドラマ。

パキスタンから香港へやって来た難民の両親のもとに生まれ香港で育った少年ハッサンは、家族とともにカナダへ移住することを夢見ていた。ところがある日、父が交通事故で亡くなり、その夢は突然奪われてしまう。ハッサンは難民で構成されたギャングに加わるが、警察のギャング対策に巻き込まれて追われる身となる。一方、1970年代に本土から香港に密入境したタクシー運転手チャン・バクヤッは、警察官として働く息子との関係がうまくいかずにいた。バクヤッはハッサンの逃亡を手伝うことを決心し、2人の間には絆が芽生え始めるが、やがてハッサンはバクヤッこそが父の命を奪った事故を引き起こした運転手だと知る。

本作が映画初出演となるパキスタン出身のサハル・ザマンがハッサンを演じ、2023年・第41回香港電影金像奨にて10歳にして最優秀新人俳優賞を受賞。本作が長編第1作となる新世代監督ラウ・コックルイがメガホンをとった。

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2024-014M 「美と殺戮のすべて」☆☆☆

Sbitosaturikunosubete原題:All the Beauty and the Bloodshed
邦題:美と殺戮のすべて
時間:113分
公開:2024-03-29
製作年度:2022
製作国:アメリカ
配給:クロックワークス
製作総指揮:
製作:ローラ・ポイトラス
監督:ローラ・ポイトラス
脚本:
原作:
撮影:ナン・ゴールディン
音楽:
出演:ナン・ゴールディン

「シチズンフォー スノーデンの暴露」で第87回アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したローラ・ポイトラス監督が、写真家ナン・ゴールディンの人生とキャリア、そして彼女が医療用麻薬オピオイド蔓延の責任を追及する活動を追ったドキュメンタリー。

ゴールディンは姉の死をきっかけに10代から写真家の道を歩み始め、自分自身や家族、友人のポートレートや、薬物、セクシュアリティなど時代性を反映した作品を生み出してきた。手術時にオピオイド系の鎮痛剤オキシコンチンを投与されて中毒となり生死の境をさまよった彼女は、2017年に支援団体P.A.I.N.を創設。オキシコンチンを販売する製薬会社パーデュー・ファーマ社とそのオーナーである大富豪サックラー家、そしてサックラー家から多額の寄付を受けた芸術界の責任を追及するが……。

2022年・第79回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。第95回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞にノミネート。

 

 

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2024-013M 「アクアマン 失われた王国」☆☆☆★

Saquamanlostkingdom原題:Aquaman and the Lost Kingdom
邦題:アクアマン 失われた王国
時間:124分
公開:2024-01-12
製作年度:2023
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
製作総指揮:ウォルター・ハマダ ゲイレン・ベイスマン
製作:ピーター・サフラン ジェームズ・ワン ロブ・コーワン
監督:ジェームズ・ワン
脚本:デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック
原作:ジェームズ・ワン デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック ジェイソン・モモア トーマス・パー・シベット
撮影:ドン・バージェス
音楽:ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:ジェイソン・モモア(アーサー)、パトリック・ウィルソン(オーム)、アンバー・ハード(メラ)、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世(ブラックマンタ)、ニコール・キッドマン(アトランナ女王)、ドルフ・ラングレン、ランドール・パーク

DCコミックスのヒーロー・アクアマンを主人公に描き大ヒットを記録した2018年製作のアクション大作「アクアマン」の続編。

はるか昔、南極の氷河の奥深くに封印された「失われた王国」。そこには、世界を滅亡させるほどの力を持つ伝説の古代兵器ブラック・トライデントがあった。ある日、アクアマンへの復讐を誓うブラックマンタがブラック・トライデントを見つけ出し、邪悪な力が解き放たれてしまう。5億もの海の生物を操ることのできる海底アトランティスの王アクアマンは、かつてない脅威から海と地上の世界を守るため、仲間たちとともに立ち上がるが……。

キャストには主演のジェイソン・モモアを始め、アクアマンの弟である前王オーム役のパトリック・ウィルソン、母アトランナ役のニコール・キッドマン、アトランティスの女王メラ役のアンバー・ハード、ブラックマンタ役のヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世ら前作のメンバーが集結。「ワイルド・スピード SKY MISSION」のジェームズ・ワン監督が前作に続いてメガホンをとった。

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2024-012M 「アバウト・ライフ 幸せの選択肢」☆☆☆★

Saboutlife原題:Maybe I Do
邦題:アバウト・ライフ 幸せの選択肢
時間:95分
公開:2024-03-08
製作年度:2023
製作国:アメリカ
配給:AMGエンタテインメント
製作総指揮:ダイアン・キートン ステファニー・ヒートン=ハリス ジェニファー・セムラー ジョナサン・モンテペア スカイラー・メドニック
製作:ビンセント・ニューマン マイケル・ジェイコブス スコット・メドニック
監督:マイケル・ジェイコブス
脚本:マイケル・ジェイコブス
原作:
撮影:ティム・サーステッド
音楽:レスリー・バーバー
出演:ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレイシー、ウィリアム・H・メイシー

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2024-011M 「ある閉ざされた雪の山荘で」☆☆☆★

Syukinosansonite邦題:ある閉ざされた雪の山荘で
時間:109分
公開:2024-01-12
製作年度:2024
製作国:日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ
製作総指揮:
製作:小西啓介 島田浩一 松本智 中村浩子 渡辺勝也 森川真行
監督:飯塚健
脚本:加藤良太 飯塚健
原作:東野圭吾
撮影:山崎裕典 初野一英
音楽:海田庄吾
出演:重岡大毅(久我和幸)、間宮祥太朗(本多雄一)、中条あやみ(中西貴子)、岡山天音(田所義雄)、西野七瀬(元村由梨江)、堀田真由(笠原温子)、戸塚純貴(雨宮恭介)、森川葵(麻倉雅美)

人気作家・東野圭吾が1992年に発表した同名ベストセラー小説を、「禁じられた遊び」の重岡大毅主演で映画化したサスペンスミステリー。

劇団に所属する7人の役者のもとに、新作舞台の主演の座を争う最終オーディションへの招待状が届く。オーディションは4日間の合宿で行われ、参加者たちは「大雪で閉ざされた山荘」という架空のシチュエーションで起こる連続殺人事件のシナリオを演じることに。しかし出口のない密室で1人また1人と参加者が消えていき、彼らは互いに疑心暗鬼に陥っていく。

オーディション参加者の中で1人だけ別の劇団に所属する久我和幸を重岡が熱演し、中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵、間宮祥太朗が同じ劇団に所属する個性豊かな役者たちを演じる。監督は「荒川アンダーザブリッジ THE MOVIE」の飯塚健。

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2024-0101M 「カラオケ行こ!」☆☆☆★★

Skaraokeiko邦題:カラオケ行こ!
時間:107分
公開:2024-01-12
製作年度:2024
製作国:日本
配給:KADOKAWA
製作総指揮:
製作:遠藤徹哉 野村英章 渡辺和則 舛田淳 渡辺勝也
監督:山下敦弘
脚本:野木亜紀子
原作:和山やま
撮影:柳島克己
音楽:世武裕子
出演:綾野剛(成田狂児)、齋藤潤(岡聡実)、芳根京子、橋本じゅん、やべきょうすけ、吉永秀平、チャンス大城、RED RICE、八木美樹、後聖人、井澤徹、岡部ひろき、米村亮太朗、北村一輝

変声期に悩む合唱部の男子中学生と歌がうまくなりたいヤクザの交流をコミカルに描いた和山やまの人気コミックを、綾野剛主演で実写映画化。

中学校で合唱部の部長を務める岡聡実は、ある日突然、見知らぬヤクザの成田狂児からカラオケに誘われる。戸惑う聡実に、狂児は歌のレッスンをしてほしいと依頼。組長が主催するカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける恐怖の罰ゲームを免れるため、どうしても歌がうまくならなければならないのだという。狂児の勝負曲は、X JAPANの「紅」。嫌々ながらも歌唱指導を引き受ける羽目になった聡実は、カラオケを通じて少しずつ狂児と親しくなっていくが……。

綾野が狂児を演じ、聡実役にはオーディションで選ばれた新星・齋藤潤を抜てき。「リンダ リンダ リンダ」の山下敦弘監督がメガホンをとり、テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の野木亜紀子が脚本を手がける。

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2024-009M 「COUNT ME IN 魂のリズム」☆☆☆★

Scountmein原題:Count Me In
邦題:COUNT ME IN 魂のリズム
時間:85分
公開:2024-03-15
製作年度:2021
製作国:イギリス
配給:ショウゲート
製作総指揮:ロバート・ハルミ ジム・リーブ
製作:マーク・ロー ジョン・ギワ=アム
監督:マーク・ロー
脚本:クレア・ファーガソン マーク・ロー サラ・ジョブリング
原作:
撮影:カルロ・リナルディ クリス・ターナー
音楽:アンディ・グレイ
出演:シンディ・ブラックマン、ニコ・マクブレイン、イアン・ベイス、チャド・スミス、ロジャー・テイラー、スチュワート・コープランド、テイラー・ホーキンス、ジム・ケルトナー、ベン・サッチャー、エミリー・ドーラン・デイビス、ロス・ガーフィールド

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2024-008M 「ペナルティループ」☆☆☆

Spenaltyloop邦題:ペナルティループ
時間:99分
公開:2024-03-22
製作年度:2024
製作国:日本
配給:キノフィルムズ
製作総指揮:木下直哉
製作:武部由実子
監督:荒木伸二
脚本:荒木伸二
原作:
撮影:渡邉寿岳
音楽:渡邊崇
出演:若葉竜也、伊勢谷友介、山下リオ、ジン・デヨン

「人数の町」の荒木伸二監督が「街の上で」の若葉竜也を主演に迎え、オリジナル脚本で撮りあげたタイムループサスペンス。

岩森淳は素性不明の男・溝口に恋人の唯を殺されてしまう。自らの手で溝口に復讐することを決意した岩森は、綿密な計画を立てて殺害を実行するが、翌朝目覚めると周囲の様子は昨日と全く同じで、殺したはずの溝口も生きている。なぜか時間が昨日に戻っていることに気づいた岩森は戸惑いながらも復讐を繰り返すが、何度殺してもまた同じ日に戻ってしまい……。

岩森の復讐相手・溝口を伊勢谷友介、恋人・唯を山下リオ、謎の男を「ドライブ・マイ・カー」のジン・デヨンが演じる。

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2023-007M 「マリア 怒りの娘」☆☆☆★

Smariaikarinomusume原題:La hija de todas las rabias
邦題:マリア 怒りの娘
時間:91分
公開:2024-02-24
製作年度:2022
製作国:ニカラグア・メキシコ・オランダ・ドイツ・フランス・ノルウェー・スペイン
配給:ストロール
製作総指揮:
製作:
監督:ラウラ・バオマイスター・デ・モンティス
脚本:ラウラ・バオマイスター・デ・モンティス
原作:
撮影:
音楽:
出演:アラ・アレハンドラ・メダル、バージニア・セビリア、カルロス・グティエレス、ノエ・エルナンデス、ディアナ・セダーノ

中米ニアカラグアの首都マナグアに実在する巨大なゴミ捨て場ラ・チュレカを舞台に、ある日突然母の不在に直面した少女の姿を描いたドラマ。

美しい湖のほとりにあるゴミ集積場の近くで、母と一緒に貧しいながらも幸せに暮らす11歳の少女マリア。母は飼い犬を売って生活費の足しにしようとするが、不意の出来事により失敗してしまう。母はトラブルを解決するためマリアをリサイクル施設に預けて街へと向かったものの、何日経っても戻ってこない。戸惑い、混乱し、言葉にならない怒りを募らせたマリアは、母に会いたい一心で施設を抜け出すが……。

独裁政権や内戦が続いた影響で映画産業が発達せず、これまで製作された映画はわずか数本というニカラグアで久々につくられた長編映画。同国出身でメキシコで映画制作を学んだ女性監督ローラ・バウマイスターが長編初メガホンをとり、世界各地の映画祭で高く評価された。

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2024-006M 「笑いのカイブツ」☆☆☆★★

Swarainokaibutu邦題:笑いのカイブツ
時間:116分
公開:2024-01-5
製作年度:2023
製作国:日本
配給:ショウゲート、アニモプロデュース
製作総指揮:
製作:前原美野里
監督:滝本憲吾
脚本:滝本憲吾 足立紳 山口智之 成宏基
原作:ツチヤタカユキ
撮影:鎌苅洋一
音楽:村山☆潤
出演:岡山天音(ツチヤタカユキ)、片岡礼子(おかん)、松本穂香(ミカコ)、前原滉(氏家)、板橋駿谷(水木)、淡梨、前田旺志郎、管勇毅、松角洋平、菅田将暉(ピンク)、仲野太賀(西寺)

「伝説のハガキ職人」として知られるツチヤタカユキの同名私小説を原作に、笑いにとり憑かれた男の純粋で激烈な半生を描いた人間ドラマ。

不器用で人間関係も不得意なツチヤタカユキは、テレビの大喜利番組にネタを投稿することを生きがいにしていた。毎日気が狂うほどにネタを考え続けて6年が経った頃、ついに実力を認められてお笑い劇場の作家見習いになるが、笑いを追求するあまり非常識な行動をとるツチヤは周囲に理解されず淘汰されてしまう。失望する彼を救ったのは、ある芸人のラジオ番組だった。番組にネタを投稿する「ハガキ職人」として注目を集めるようになったツチヤは、憧れの芸人から声を掛けられ上京することになるが……。

「キングダム」シリーズなどで活躍する岡山天音が主演を務め、仲野太賀、菅田将暉、松本穂香が共演。井筒和幸、中島哲也、廣木隆一といった名監督のもとで助監督を務めてきた滝本憲吾監督が長編商業映画デビューを果たした。

まだ35歳と若く、生存している人物の伝記というだけで珍しい。しかし、ここまで破滅型のコミュ障人生を歩んでいる主人公も珍しい。岡山天音が頑張っている。

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2024-005M 「シネマ歌舞伎 唐茄子屋 不思議国之若旦那」☆☆☆★★

Stonasuyaseidan邦題:シネマ歌舞伎 唐茄子屋 不思議国之若旦那
時間:113分
公開:2024-01-05
製作年度:2024
製作国:日本
配給:松竹
製作総指揮:
製作:
演出:宮藤官九郎
脚本:
原作:宮藤官九郎
撮影:
音楽:グッドラックヘイワ
出演:中村勘九郎、中村獅童、中村七之助、坂東新悟、中村虎之介、中村勘太郎、中村長三郎、中村鶴松、澤村國矢、中村歌女之丞、荒川良々、片岡亀蔵、坂東彌十郎、中村扇雀

歌舞伎の舞台を映画館でデジタル上映する「シネマ歌舞伎」シリーズ第39弾。十八世中村勘三郎が江戸の芝居小屋を現代に復活させた「平成中村座」で2022月10月に上演され、古典落語「唐茄子屋政談」に「不思議の国のアリス」を織り交ぜた新作歌舞伎「唐茄子屋 不思議国之若旦那」をスクリーン上映。

吉原遊びがすぎて勘当された若旦那の徳三郎は、橋から身投げをしようとしているところを偶然通りかかった八百屋の叔父に助けられる。渋々ながら唐茄子(かぼちゃ)売りの商いをすることになった徳三郎は、商いを通して少しばかり成長していくが、吉原への思いは断ち切ることができずにいた。そんな徳三郎が迷い込んだのは、不思議なパラレルワールド「第二吉原」だった。

これまでも「大江戸りびんぐでっど」「天日坊」など歌舞伎作品を手がけた宮藤官九郎が脚本・演出を担当し、NHK大河ドラマ「いだてん」でもタッグを組んだ中村勘九郎を主演に迎えた。

いつもこの手のは東劇で観るのだが、本日は新宿。言わずと知れた落語の名作人情噺『唐茄子屋政談』を宮藤官九郎が歌舞伎化したもの。中村座には行けなかったので初見。

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2024-004M 「エクスペンダブルズ ニューブラッド」☆☆☆★

Sexpentanewblood 原題:Expend4bles
邦題:エクスペンダブルズ ニューブラッド
時間:103分
公開:2024-01-05
製作年度:2023
製作国:アメリカ
配給:松竹、ポニーキャニオン
製作総指揮:ボアズ・デビッドソン トレバー・ショート ジェフリー・グリーンスタイン ジョナサン・ヤンガー ロブ・バン・ノーデン マイケル・コンスタブル
製作:アビ・ラーナー ケビン・キング・テンプルトン レス・ウェルドン ヤリフ・ラーナー ジェイソン・ステイサム
監督:スコット・ウォー
脚本:カート・ウィマー タッド・ダガーハート マックス・アダムス
原作:スペンサー・コーエン カート・ウィマー タッド・ダガーハート
撮影:ティム・モーリス=ジョーンズ
音楽:ギョーム・ルーセル
出演:ジェイソン・ステイサム(リー・クリスマス)、シルヴェスター・スタローン(バーニー・ロス)、50 Cent(イージー・デイ)、ミーガン・フォックス(ジーナ)、ドルフ・ラングレン(ガンナー・ヤンセン)、トニー・ジャー(デーシャ)、イコ・ウワイス(ラフマト)、ランディ・クートゥア(トール・ロード)、ジェイコブ・スキーピオ(ガラン)、レヴィ・トラン(ラッシュ)、アンディ・ガルシア(マーシュ)

シルベスター・スタローンを筆頭にアクションスターが多数集結して話題を集める人気シリーズ「エクスペンダブルズ」の第4弾。

自らを「消耗品」と名乗り、CIAから依頼される数々の難関ミッションを乗り越えてきた最強の傭兵軍団「エクスペンダブルズ」を率いるバーニー・ロスは、CIAからの新たな依頼にこたえるため、かつての相棒であるリー・クリスマスを訪ねる。バーニーと再び組むことを決意したリーがエクスペンダブルズのアジトに足を運ぶと、そこにはかつての仲間たちに加え、新たなメンバーも顔をそろえていた。新戦力を迎えたエクスペンダブルズが挑む今回のミッションは、テロリストが所有する核兵器を奪還すること。もし失敗すれば第3次世界大戦が勃発しかねないという危険なものだった。

スタローン、ステイサムのほか、シリーズレギュラーキャストではドルフ・ラングレン、ランディ・クートゥアも出演。カーティス・“50セント”・ジャクソン、ミーガン・フォックス、トニー・ジャー、イコ・ウワイス、アンディ・ガルシアらが新たに参戦した。メガホンをとったのは、「ネイビーシールズ」「ニード・フォー・スピード」のスコット・

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2024-003M 「ハンテッド 狩られる夜」☆☆☆★

Shunted原題:Night of the Hunted
邦題:原題:Night of the Hunted
邦題:ハンテッド 狩られる夜
時間:95分
公開:2024-02-23
製作年度:2023
製作国:アメリカ・フラン
配給:トランスフォーマー
製作総指揮:ブラヒム・シウア バンサン・マラバル ロランス・クレル フランク・カルフン エミリー・ゴット フレデリック・フィオール セルゲイ・トーチリン セリーヌ・ドルニエ
製作:アレクサンドル・アジャ アリックス・テイラー ノエミ・ドゥビド モリス・ラスキン
監督:フランク・カルフン
脚本:フランク・カルフン
原作:
撮影:スティーブン・ペティットビーユ
音楽:
出演:カミーユ・ロウ

『クロール -凶暴領域-』などのアレクサンドル・アジャ監督が製作を務めたスリラー。立ち寄ったガソリンスタンドでスナイパーに狙撃され、身動きが取れなくなった女性の運命を描く。メガホンを取るのは、アジャが製作した『マニアック』も手掛けたフランク・カルフン。『ノーリミット:果てなき深淵』などのカミーユ・ロウが主演を務める。
製薬会社フィンザーでSNSマーケティングを担当するアリス(カミーユ・ロウ)は、不倫中の同僚との逢瀬を終えて、夫の待つ家に向かって車を走らせていた。人里離れたガソリンスタンドに立ち寄ったアリスと不倫相手は、従業員の姿がなかったことから店を出ようとするが、その瞬間にどこからか銃弾が飛んでくる。腕とスマートフォンを撃たれ、彼女が戻らないのを案じて店内に入ってきた不倫相手も射殺される。助けを呼ぶすべもない中、アリスは謎のスナイパーから逃れようとする。

時間:95分
公開:2024-02-23
製作年度:2023
製作国:アメリカ・フラン
配給:トランスフォーマー
製作総指揮:ブラヒム・シウア バンサン・マラバル ロランス・クレル フランク・カルフン エミリー・ゴット フレデリック・フィオール セルゲイ・トーチリン セリーヌ・ドルニエ
製作:アレクサンドル・アジャ アリックス・テイラー ノエミ・ドゥビド モリス・ラスキン
監督:フランク・カルフン
脚本:フランク・カルフン
原作:
撮影:スティーブン・ペティットビーユ
音楽:
出演:カミーユ・ロウ

『クロール -凶暴領域-』などのアレクサンドル・アジャ監督が製作を務めたスリラー。立ち寄ったガソリンスタンドでスナイパーに狙撃され、身動きが取れなくなった女性の運命を描く。メガホンを取るのは、アジャが製作した『マニアック』も手掛けたフランク・カルフン。『ノーリミット:果てなき深淵』などのカミーユ・ロウが主演を務める。
製薬会社フィンザーでSNSマーケティングを担当するアリス(カミーユ・ロウ)は、不倫中の同僚との逢瀬を終えて、夫の待つ家に向かって車を走らせていた。人里離れたガソリンスタンドに立ち寄ったアリスと不倫相手は、従業員の姿がなかったことから店を出ようとするが、その瞬間にどこからか銃弾が飛んでくる。腕とスマートフォンを撃たれ、彼女が戻らないのを案じて店内に入ってきた不倫相手も射殺される。助けを呼ぶすべもない中、アリスは謎のスナイパーから逃れようとする。

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2024-002M 「屋根裏のラジャー」☆☆☆★

Syaneuranoraja邦題:屋根裏のラジャー
時間:108分
公開:2023-12-15
製作年度:2023
製作国:日本
配給:東宝
製作総指揮:
製作:西村義明
監督:百瀬義行
脚本:西村義明
原作:A・F・ハロルド
撮影:福士亨
音楽:玉井健二 agehasprings
出演:寺田心(ラジャー)、鈴木梨央(アマンダ)、安藤サクラ(リジー)、仲里依紗(エミリ)、杉咲花(オーロラ)、山田孝之(ジンザン)、高畑淳子(ダウンビートおばあちゃん)、寺尾聰(老犬)、イッセー尾形(ミスター・バンティング)

「メアリと魔女の花」のスタジオポノックが、イギリスの作家で詩人のA・F・ハロルドによる小説「ぼくが消えないうちに(The Imaginary)」を映画化した長編アニメーション。少女の想像によって生まれたイマジナリーフレンドを主人公に、現実と想像が交錯する世界で起こる冒険を描いたファンタジーアドベンチャー。

少女アマンダの想像が生み出した少年ラジャーは、彼女以外の人間には見えない「想像の友だち(イマジナリ)」だ。ラジャーは屋根裏部屋でアマンダと一緒に想像の世界に飛び込み、喜びにあふれた毎日を送っていた。しかし、イマジナリには人間に忘れられると消えていくという、避けられない運命があった。アマンダに忘れられれば、世界中の誰からもその姿は見えなくなり、消えていく。そんな自分の運命に戸惑いながらも、一縷の望みを抱いて歩み始めたラジャーは、かつて人間に忘れさられた想像たちが身を寄せ合って暮らす「イマジナリの町」にたどり着く。そこでラジャーと仲間たちは、彼らの大切な人や家族の未来を懸けた冒険を繰り広げる。

監督は、高畑勲作品の「火垂るの墓」から「かぐや姫の物語」までの全作品に携わるなどスタジオジブリ作品で活躍したアニメーターで、スタジオポノックのオムニバス「ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間」にも参加した百瀬義行。ラジャーの声は、アニメ映画初参加の寺田心が担当。そのほかアマンダ役の鈴木梨央、アマンダの母リジー役の安藤サクラをはじめ、イッセー尾形、杉咲花、仲里依紗、山田孝之、高畑淳子、寺尾聰ら豪華俳優陣がキャストとして参加した。

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2024-001M 「リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング」☆☆☆★★

Slittlerechard原題:Little Richard: I Am Everything
邦題:リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング
時間:101分
公開:2024-03-01
製作年度:2023
製作国:アメリカ
配給:キングレコード
製作総指揮:マイク・パワーズ ディー・リース アニタ・メイ・ローゼンスタイン ガス・ウェナー ジェイソン・ファイン エイミー・エンテリス コートニー・セクストン
製作:ロバート・フリードマン リサ・コルテス リズ・イェール・マーシュ カリン・カポトスト
監督:リサ・コルテス
脚本:
原作:
撮影:キース・ウォーカー グレアム・ウィロビー
音楽:タマール=カリ
出演:リトル・リチャード、ミック・ジャガー、トム・ジョーンズ、ナイル・ロジャース、ノナ・ヘンドリックス、ビリー・ポーター、ジョン・ウォーターズ

ロックンロールの創始者のひとり、リトル・リチャードの知られざる真実と素顔に迫ったドキュメンタリー。

1955年、デビュー曲「トゥッティ・フルッティ」の大ヒットで彗星のように音楽シーンに現れた黒人アーティスト、リトル・リチャード。反権力志向の若者たちの心をつかんでヒット曲を連発するも突然引退を宣言し、5年間にわたる“教会への回帰”を経て、復帰後はイギリスツアーを通じて無名時代のビートルズやローリング・ストーンズに決定的な影響を与えていく。当時のアメリカでは南部を中心に人種差別が激しく、さらに彼はゲイを公言する性的マイノリティーでもあり、陽気なキャラクターを演じつつも壊れやすい繊細な魂をもつ人物だった。

差別と偏見、時代と流行、信仰と音楽活動など、さまざまな狭間の中で苦悩し闘い抜いた彼の魂の軌跡を、本人および親族・関係者、識者の証言や豊富なアーカイブ映像、さらにミック・ジャガー、ポール・マッカートニーら著名ミュージシャンの証言映像を通してひも解いていく。

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