« 2023-037M 「仕掛人・藤枝梅安」☆☆☆★★ | トップページ | 2023-039M 「TAR/ター 」☆☆☆★★ »

2023-038M 「すべてうまくいきますように」☆☆☆★

Ssubeteumakuikimasuyouni原題:Tout s'est bien passe
邦題:すべてうまくいきますように
時間:113分
公開:2023-02-03
製作年度:2021
製作国:フランス
配給:キノフィルムズ
製作総指揮:
製作:エリック・アルトメイヤー ニコラ・アルトメイヤー
監督:フランソワ・オゾン
脚本:フランソワ・オゾン
原作:エマニュエル・ベルンエイム
撮影:イシャーム・アラウィエ
音楽:ニコラス・コンタン
出演:ソフィー・マルソー(エマニュエル)、アンドレ・デュソリエ(アンドレ)、ジェラルディーヌ・ペラス(パスカル)、シャーロット・ランプリング(クロード)、エリック・カラヴァカ(セルジュ)、ハンナ・シグラ(スイスのレディ)、グレゴリー・ガドゥボワ(ジェラール)、ジャック・ノロ(ロベール)、ジュディット・マーレ(シモーヌ)、ダニエル・メズギッシュ(弁護士)、ナタリー・リシャール(ペーテルセン警部)

フランスの名匠フランソワ・オゾンが、「スイミング・プール」の脚本家エマニュエル・ベルンエイムの自伝的小説を基に、安楽死を望む父親に翻弄される娘の葛藤を描いた人間ドラマ。

ユーモアと好奇心にあふれ、生きることを愛してきた85歳の男性アンドレ。脳卒中で倒れ身体の自由がきかなくなった彼は、その現実を受け入れられず安楽死を望むように。人生を終わらせるのを手伝ってほしいと頼まれた娘エマニュエルは、父の気が変わることを願いながらも、合法的な安楽死を支援するスイスの協会に連絡する。父はリハビリによって徐々に回復し、生きる喜びを取り戻したように見えたが……。

ソフィー・マルソーがエマニュエル役で主演を務め、「私のように美しい娘」のアンドレ・デュソリエが父アンドレ、「さざなみ」のシャーロット・ランプリングが母クロード、「17歳」のジェラルディン・ペラスが妹パスカルを演じた。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

テレビ東京で出資した『海を飛ぶ夢』(アレハンドロ・アメナーバル監督 2004年)や『みなさんさようなら』(ドゥニ・アルカン監督 2003年)といった、死期をコントロールしたいと願う主人公を軸に、周りにいる家族たちを描くモチーフは、さまざまな形で描かれる。尊厳死テーマで言えば、日本映画でも昨年話題になった『プラン75』というディストピア作品が記憶に新しい。邦画史的には『楢山節考』に行き着くのは自明。で、本作はその系譜。いまや巨匠呼ばわりされているフランソワ・オゾンが、ゲイにバイアスがかかっていない、真っ当なホームドラマを演出。配給はキノフィルムズ。かつて『8人の女たち』や『スイミング・プール』などを出資してた頃はギャガ配給だったことを思い出す。随分と赤字だったが。ともあれ、エマニュエル・ベルンエイム(『スイミング・プール』の脚本家)の自伝的小説が原作というから、ほぼ実話なのだろう。脳梗塞で真っ当な生活ができなくなった85歳になる父親が、ソフィー・マルソー演じる長女に尊厳死を望む、という物語。そんな一家の、父が目的を遂げるまでのあれこれが、冷静にスケッチされていく。高齢化が極まった日本では、日常的に『意識』せねばならないテーマだが、フランスの娘たちは、達観してるのか、後半は淡々とゴールへ進んでいく。この妙な冷静さが軽く怖いお話だった。

|

« 2023-037M 「仕掛人・藤枝梅安」☆☆☆★★ | トップページ | 2023-039M 「TAR/ター 」☆☆☆★★ »

映画・テレビ」カテゴリの記事

洋画 さ行」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 2023-037M 「仕掛人・藤枝梅安」☆☆☆★★ | トップページ | 2023-039M 「TAR/ター 」☆☆☆★★ »