« 2023年1月 | トップページ | 2023年3月 »

2023-058M 「湯道」☆☆☆★★

Syudo邦題:湯道
時間:126分
公開:2023-02-23
製作年度:2023
製作国:日本
配給:東宝
製作総指揮:
製作:大多亮 藤島ジュリーK. 市川南 堂山昌司 中沢敏明 川上純平 弓矢政法 小山薫堂
監督:鈴木雅之
脚本:小山薫堂
原作:
撮影:江原祥二
音楽:佐藤直紀
出演:生田斗真(三浦史朗)、濱田岳(三浦悟朗)、橋本環奈(秋山いづみ)、小日向文世(横山正)、天童よしみ(小林良子)、クリス・ハート(竜太)、戸田恵子(高橋瑛子)、寺島進(高橋大作)、厚切りジェイソン(アドリアン)、浅野和之(山岡照幸)、笹野高史(堀井豊)、吉行和子(堀井貴子)、ウエンツ瑛士(DJ FLOW)、朝日奈央(植野悠希)、梶原善(荒井正章)、大水洋介(鎌田一彦)、堀内敬子(山岡由希子)、森カンナ(山岡紗良)、藤田朋子(横山雅代)、生見愛瑠(横山舞香)、吉田鋼太郎(太田与一)、窪田正孝(梶斎秋)、夏木マリ(夙子)、角野卓造(二之湯薫明)、柄本明(風呂仙人)

「おくりびと」などの脚本家で放送作家の小山薫堂が、自身の提唱する「湯道(ゆどう)」をもとにオリジナル脚本を手がけ、お風呂を通じて交差する人間模様を描いた群像ドラマ。

亡き父が遺した銭湯「まるきん温泉」に戻ってきた建築家の三浦史朗は、店を切り盛りする弟・悟朗に、銭湯をたたんでマンションに建て替えることを伝える。一方、郵便局員の横山は「入浴、お風呂について深く顧みる」という「湯道」に魅せられ、湯道会館で家元から湯を学んでいる。定年後は退職金で自宅に檜風呂を導入したいと考えているが、家族には言い出せずにいた。そんなある日、まるきん温泉のボイラー室でボヤ騒ぎが発生し、悟朗が入院。店の看板娘・いづみの助言もあり、史朗が弟に代わって数日間だけ店主を務めることになる。

生田斗真が主演を務め、弟・悟朗を濱田岳、銭湯で働くいづみを橋本環奈が演じる。監督は「マスカレード」シリーズの鈴木雅之。

数多の名優を有無を言わせず『脱がせる』という企みが、合法的に成立して成功に至った珍作。という側面も。
まあ公衆浴場ものは中野量太監督の『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年)という名作が記憶に新しい。風呂くくりでは大ヒットした『テルマエ・ロマエ』シリーズも忘れてはならない。
『湯道』という作法を創作した上での、世界観を前提にした物語という発想が、さすが小山薫堂のほくそ笑み。

 

| | コメント (0)

2023-061M 「少女は卒業しない」☆☆☆★★

Ssyojohasotugyoshinai邦題:少女は卒業しない
時間:120分
公開:2023-02-23
製作年度:2023
製作国:日本
配給:クロックワークス
製作総指揮:
製作:藤本款 堤天心 佐竹一美
監督:中川駿
脚本:中川駿
原作:朝井リョウ
撮影:伊藤弘典
音楽:佐藤望
出演:河合優実(山城まなみ)、小野莉奈(後藤由貴)、小宮山莉渚(神田杏子)、中井友望(作田詩織)、窪塚愛流(佐藤駿)、佐藤緋美(森崎剛士)、宇佐卓真(寺田賢介)、藤原季節(坂口優斗)

直木賞作家・朝井リョウの連作短編小説を原作に、廃校前の高校を舞台に4人の少女の卒業式までの2日間を描いた青春恋愛映画。

廃校を控え、校舎の取り壊しが決まっている高校。進学のため上京するバスケ部長・後藤由貴は、地元に残る恋人・寺田との関係が気まずくなっていた。軽音楽部長の神田杏子は、幼なじみの森崎に思いを寄せている。クラスになじめず図書室に通う作田詩織は、図書室の管理をする坂口先生に淡い恋心を抱いている。そして卒業生代表の答辞を務める山城まなみは、ある思いを恋人に伝えられずにいた。

「サマーフィルムにのって」の河合優実がまなみ役で映画初主演を務め、「アルプススタンドのはしの方」の小野莉奈、「ヤクザと家族 The Family」の小宮山莉渚、「かそけきサンカヨウ」の中井友望が共演。短編「カランコエの花」で高く評価された中川駿が監督・脚本を手がけた。

| | コメント (0)

2023-060M 「茶飲友達」☆☆☆★★

Schanomitomodachi邦題:茶飲友達
時間:135分
公開:2023-02-04
製作年度:2022
製作国:日本
配給:イーチタイム
製作総指揮:
製作:市橋浩治 外山文治
監督:外山文治
脚本:外山文治
原作:
撮影:野口健司
音楽:朝岡さやか
出演:岡本玲、磯西真喜、瀧マキ、岬ミレホ、長島悠子、百元夏繪、クイン加藤、海江田真弓、楠部知子、海沼未羽、中山求一郎、アサヌマ理紗、鈴木武、佐野弘樹、光永聖、中村莉久、牧亮佑、渡辺哲

「燦燦 さんさん」「ソワレ」の外山文治監督が、2013年10月に高齢者売春クラブが摘発された事件を元に、超高齢化社会の現代日本が抱える閉塞感や寂しさなど、さまざまな問題を反映して描いた群像ドラマ。

佐々木マナは、仲間とともに高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」を設立し、新聞に掲載した「茶飲友達、募集。」の三行広告で集まってきた男性たちのもとへ高齢女性を派遣するビジネスをスタートする。「ティー・ガール」と称される在籍女性の中には、介護生活に疲れた女性、ギャンブルに依存した女性などさまざまな事情を抱える者がいた。マナのもとで「茶飲友達」を運営する若者たちもまた、出口の見えない社会で閉塞感を抱えて生きている。 さまざまな世代を束ねるマナは、彼らを「ファミリー」と呼び、擬似家族のような絆を育んでいくが……。

マナ役を「弥生、三月 君を愛した30年」、NHK連続テレビ小説「純と愛」などに出演してきた岡本玲が演じる。

 

 

| | コメント (0)

2023-059M 「ワース 命の値段」☆☆☆★

Sworth原題:Worth
邦題:ワース 命の値段
時間:118分
公開:2023-02-23
製作年度:2019
製作国:アメリカ
配給:ロングライド
製作総指揮:ニック・バウアー ディーパック・ネイヤー アラ・ケシシアン アレン・リウ キンバリー・フォックス チャールズ・ミラー エドワード・フィー
製作:マーク・バタン アンソニー・カタガス マイケル・シュガー バード・ドロス ショーン・ソーレンセン マックス・ボレンスタイン
監督:サラ・コランシ゛ェロ
脚本:マックス・ボレンスタイン
原作:
撮影:ペペ・アビラ・デル・ピノ
音楽:ニコ・マーリー
出演:マイケル・キートン(ケン・ファインバーグ)、スタンリー・トゥッチ(チャールズ・ウルフ)、エイミー・ライアン(カミール・バイロス)、テイト・ドノヴァン(リー・クイン)、シュノリ・ラーマナータン(プリヤ・クンディ)、タリア・バルサム(デデ・ファインバーグ)、ローラ・ベナンティ(カレン・ドナート)、マーク・マロン(バート・カスバート)、アトー・ブランクソン=ウッド(ダリル・バーンズ)、クリス・タルディオ(フランク・ドナート)

マイケル・キートン主演で、アメリカ同時多発テロ被害者の補償金分配を束ねた弁護士の実話を映画化した社会派ドラマ。

2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロを受け、米政府は被害者と遺族救済を目的とした補償基金プログラムを立ち上げる。その特別管理人を任された弁護士のケン・ファインバーグは独自の計算式により、個々人の補償金額を算出する方針を打ち出すが、被害者遺族が抱えるさまざまな事情と、彼らの喪失感や悲しみに接する中で、いくつもの矛盾にぶち当たる。チームが掲げる対象者約7000人の80%の賛同を得る目標に向けた作業が停滞する一方で、プログラム反対派の活動が勢いづいていく。期限が迫る中、苦境に立たされたファインバーグはある大きな決断を下す。

キートンのほか、「ラブリーボーン」のスタンリー・トゥッチ、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」のエイミー・ライアンらが顔をそろえる。監督は「キンダーガーテン・ティーチャー」のサラ・コランジェロ。

 

| | コメント (0)

2023-057M 「ちひろさん」☆☆☆★

Schihirosan邦題:ちひろさん
時間:131分
公開:2023-02-23
製作年度:2023
製作国:日本
配給:アスミック・エース
製作総指揮:岡野真紀子 佐藤菜穂美 豊島雅郎
製作:山野晃 中里友樹
監督:今泉力哉
脚本:澤井香織 今泉力哉
原作:安田弘之
撮影:岩永洋
音楽:岸田繁
出演:有村架純(ちひろ)、豊嶋花(オカジ)、嶋田鉄太(マコト)、van(バジル)、若葉竜也、佐久間由衣(ヒトミ)、長澤樹、市川実和子(チヒロ)、鈴木慶一(ホームレスのおじさん)、根岸季衣(永井さん)、平田満、リリー・フランキー(店長)、風吹ジュン(多恵)

「愛がなんだ」の今泉力哉監督が有村架純を主演に迎え、安田弘之の同名コミックを実写映画化。

海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働く女性・ちひろ。元風俗嬢であることを隠さず軽やかに生きる彼女は、自分のことを色目で見る男たちも、ホームレスのおじいさんも、子どもも動物も、誰に対しても分け隔てなく接する。そんなちひろの言葉や行動が、母の帰りをひとり待つ小学生、本音を言えない女子高生、父との確執を抱える青年など、それぞれ事情を抱える人たちの生き方に影響を与えていく。ちひろ自身も幼少時の家族との関係から孤独を抱えて生きてきたが、さまざまな出会いを通して少しずつ変わり始める。

共演は「都会のトム&ソーヤ」の豊嶋花、「街の上で」の若葉竜也、「万引き家族」のリリー・フランキー。ロックバンド「くるり」の岸田繁が音楽を手がけた。Netflixで2022年2月23日から配信。一部劇場で同日公開。

| | コメント (0)

2023-056M 「別れる決心」☆☆☆

Swakarerukesshin原題:Decision to Leave
邦題:別れる決心
時間:138分
公開:2023-02-17
製作年度:2022
製作国:韓国
配給:ハピネットファントム・スタジオ
製作総指揮:
製作:
監督:パク・チャヌク
脚本:パク・チャヌク チョン・ソギョン
原作:
撮影:キム・ジヨン
音楽:チョ・ヨンウク
出演:パク・ヘイル(チャン・ヘジュン)、タン・ウェイ(ソン・ソレ)、イ・ジョンヒョン(アン・ジョンアン)、コ・ギョンピョ(スワン)

「オールド・ボーイ」「お嬢さん」のパク・チャヌク監督が、殺人事件を追う刑事とその容疑者である被害者の妻が対峙しながらもひかれあう姿を描いたサスペンスドラマ。

男性が山頂から転落死する事件が発生。事故ではなく殺人の可能性が高いと考える刑事ヘジュンは、被害者の妻であるミステリアスな女性ソレを疑うが、彼女にはアリバイがあった。取り調べを進めるうちに、いつしかヘジュンはソレにひかれ、ソレもまたヘジュンに特別な感情を抱くように。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに見えたが……。

「殺人の追憶」のパク・ヘイルがヘジュン、「ラスト、コーション」のタン・ウェイがソレを演じ、「新感染半島 ファイナル・ステージ」のイ・ジョンヒョン、「コインロッカーの女」のコ・ギョンピョが共演。2022年・第75回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。

スタイリッシュに、思わせぶりに、意識高く淡泊な雰囲気で(熱く語らず)、犯罪サスペンスとしてオシャレに悲劇的な愛の結末を描いて、つまるところ『火曜サスペンス劇場』に成り果てた。ほいで、カッコつけすぎて、前代未聞の低視聴率を叩き出したとさ。

| | コメント (0)

2023-055M 「逆転のトライアングル」☆☆☆★★

Sgyakutennotoriangl原題:Triangle of Sadness
邦題:逆転のトライアングル
時間:147分
公開:2023-02-23
製作年度:2022
製作国:スウェーデン
配給:ギャガ
製作総指揮:
製作:
監督:リューベン・オストルンド
脚本:リューベン・オストルンド
原作:
撮影:フレドリック・ウェンツェル
音楽:
出演:ハリス・ディキンソン(カール)、チャールビ・ディーン(ヤヤ)、ウディ・ハレルソン(船長)、ヴィッキ・ベルリン(ポーラ)、ヘンリク・ドルシン(ヤルモ)、ズラッコ・ブリッチ(ディミトリ)、ジャン=クリストフ・フォリー(ネルソン)、イリス・ベルベン(テレサ)、ドリー・デ・レオン(アビゲイル)、ズニー・メレス(ベラ)、アマンダ・ウォーカー(クレメンティン)、オリヴァー・フォード・デイヴィス(ウィンストン)、アルヴィン・カナニアン(ダリウス)、キャロライナ・ギリング(ルドミラ)、ラルフ・シーチア(ウリ)

「フレンチアルプスで起きたこと」「ザ・スクエア 思いやりの聖域」など、人間に対する鋭い観察眼とブラックユーモアにあふれた作品で高い評価を受けてきたスウェーデンの鬼才リューベン・オストルンドが、ファッション業界とルッキズム、そして現代における階級社会をテーマに描き、2022年・第75回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した人間ドラマ。第95回アカデミー賞でも作品、監督、脚本の3部門にノミネートされた。

モデルでインフルエンサーとしても注目を集めているヤヤと、人気が落ち目のモデルのカール。美男美女カップルの2人は、招待を受けて豪華客船クルーズの旅に出る。船内ではリッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでもかなえる客室乗務員が笑顔を振りまいている。しかし、ある夜に船が難破し、海賊に襲われ、一行は無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態のなか、人々のあいだには生き残りをかけた弱肉強食のヒエラルキーが生まれる。そしてその頂点に君臨したのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃係だった。

オストルンド監督は本作で、前作「ザ・スクエア 思いやりの聖域」に続いてパルムドールを受賞し、史上3人目となる2作品連続のパルムドール受賞という快挙を成し遂げた。ヤヤ役は、2020年8月に32歳の若さで亡くなり、本作が遺作となったチャールビ・ディーン。カール役は「キングスマン ファースト・エージェント」のハリス・ディキンソン。そのほか、フィリピンのベテラン俳優ドリー・デ・レオンや、「スリー・ビルボード」「ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ」のウッディ・ハレルソンが共演。

2018年の公開時に「ザ・スクエア 思いやりの聖域」を某誌で評論した時に、スウェーデンのリューベン・オストルンド監督の巧みな心理描写に感服したと書いた。本作は、連続してカンヌでパルムドールを受賞するという快挙。欧州映画界を代表する巨匠に上り詰めたと言えよう。
主従転換の倒錯ドラマはこれまでも多くの映画でもモチーフにされている。その点では、帝国が瓦解するオチとともに珍しくはないが、シナリオご巧妙なのは、2022年という時代(世界の縮図)へのアイロニカルな視野が満載されていること。故に、いままた創り直されるべき作品だぅたのだろう。ある意味「ベタだが盲点」だった企画だ。

| | コメント (0)

2023-054M 「デスパレート・ラン」☆☆☆★★

Sdesperatehour原題:The Desperate Hour
邦題:デスパレート・ラン
時間:84分
公開:2023-05
製作年度:2021
製作国:アメリカ
配給:イオンエンターテイメント
製作総指揮:タイラー・ザカリア アレックス・ドン デビン・アンドレ テオ・ジェームズ アーロン・カプラン
製作:アンドリュー・D・コーキン クリストファー・スパーリング アレックス・ラロンド ザック・シラー デビッド・ボーイズ ナオミ・ワッツ クリス・パーカー ディラン・セラーズ
監督:フィリップ・ノイス
脚本:クリストファー・スパーリング
原作:
撮影:ジョン・ブローリー
音楽:フィル・アイズラー
出演:ナオミ・ワッツ

夫に先立たれたばかりのエイミー・カー(ナオミ・ワッツ)は、幼い娘と10代の息子のために、小さな町で平穏な生活を取り戻そうと懸命に働いている。ある朝エイミーがひとり森の中をジョギングしていると、息子の通う高校でたてこもり事件が発生し、町が大混乱に陥る。助けも移動手段もない中、エイミーは愛する息子を救うため、スマホを駆使して必死に時間との闘いに挑む。

スマホの使いこなしっぷりが凄い。その操作しつつ走ってるだけで、ほぼ全編。
まあ、どこまで遠くジョグしてたんだ!とツッコミ所も大有りなのだが、ナオミ・ワッツの頑張りに★ひとつ追加。

| | コメント (0)

2023-053M 「アルマゲドン・タイム ある日々の肖像」☆☆☆

Sarmagedontime原題:Armageddon Time
邦題:アルマゲドン・タイム ある日々の肖像
時間:115分
公開:2023-05-12
製作年度:2022
製作国:アメリカ
配給:パルコ
製作総指揮:
製作:アンソニー・カタガス マーク・バタン ホドリゴ・テイシェイラ ジェームズ・グレイ
監督:ジェームズ・グレイ
脚本:ジェームズ・グレイ
原作:
撮影:ダリウス・コンジ
音楽:クリストファー・スペルマン
出演:アン・ハサウェイ、アンソニー・ホプキンス、ジェレミー・ストロング、バンクス・レペタ、ジャイリン・ウェッブ、トバ・フェルドシャー、ライアン・セル

「エヴァの告白」「アド・アストラ」のジェームズ・グレイが監督・脚本を手がけ、自身の少年時代の実体験をもとに撮りあげた人間ドラマ。

1980年、ニューヨーク。白人の中流家庭に生まれ公立学校に通う12歳の少年ポールは、PTA会長を務める教育熱心な母エスター、働き者でユーモア溢れる父アーヴィング、私立学校に通う優秀な兄テッドとともに何不自由なく暮らしていた。しかし近頃は家族に対していら立ちと居心地の悪さを感じており、良き理解者である祖父アーロンだけが心を許せる存在だ。想像力豊かで芸術に関心を持つポールは学校での集団生活にうまくなじめず、クラスの問題児である黒人生徒ジョニーは唯一の打ち解けられる友人だった。ところがある日、ポールとジョニーの些細な悪事がきっかけで、2人のその後は大きく分かれることになる。

主人公の母をアン・ハサウェイ、祖父をアンソニー・ホプキンス、父をジェレミー・ストロングが演じた。2022年・第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

鼻持ちならない「ハリウッドの民主党系なリベラル」の啓蒙。臭くてたまらない。

| | コメント (0)

2023-052M 「対峙」☆☆☆★★

Staiji原題:Mass
邦題:対峙
時間:111分
公開:2023-02-10
製作年度:2021
製作国:アメリカ
配給:トランスフォーマー
製作総指揮:ヘンリー・ラッセル・バーグスタイン アリソン・エストリン
製作:ディラン・マットロック ケイシー・ワイルダー・モット J・P・オーレット フラン・クランツ
監督:フラン・クランツ
脚本:フラン・クランツ
原作:
撮影:ライアン・ジャクソン=ヒーリー
音楽:ダーレン・モルゼ
出演:リード・バーニー(リチャード)、アン・ダウド(リンダ)、ジェイソン・アイザックス(ジェイ)、マーサ・プリンプトン(ゲイル)、ミッシェル・N・カーター(ケンドラ)、ブリーダ・ウール(ジュディ)、ケージェン・オブライト(アンソニー)

高校銃乱射事件の被害者家族と加害者家族による対話を描いたドラマ。

アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が発生。多くの同級生が殺害され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。事件から6年。息子の死を受け入れられずにいるペリー夫妻は、セラピストの勧めで、加害者の両親と会って話をすることに。教会の奥の小さな個室で立会人もなく顔を合わせた4人はぎこちなく挨拶を交わし、対話を始めるが……。

加害者の両親をドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」のリード・バーニーと「ヘレディタリー 継承」のアン・ダウド、被害者の両親を「ハリー・ポッター」シリーズのジェイソン・アイザックスと「グーニーズ」のマーサ・プリンプトンが演じる。「キャビン」などの俳優フラン・クランツが初監督・初脚本を手がけ、密室で繰り広げられる4人の会話劇を緊迫感たっぷりに映し出す。

演劇がオリジナルではないようだが、堂々たる会話劇作品。攻守が丁々発止、というダイナミックさはないが、静かに「起きてしまった」悲劇と向き合っていく。千々に乱れた親としての感情が交差し、互いに腑に落とすために、語り合う緊張感。なかなか息詰まるスクリーンだ。

| | コメント (0)

2023-051M 「シャイロックの子供たち」☆☆☆★

Sshairocknokodomotachi邦題:シャイロックの子供たち
時間:122分
公開:2023-02-17
製作年度:2023
製作国:日本
配給:松竹
製作総指揮:吉田繁暁 三輪祐見子
製作:矢島孝 石田聡子
監督:本木克英
脚本:ツバキミチオ
原作:池井戸潤
撮影:藤澤順一
音楽:安川午朗
出演:阿部サダヲ、上戸彩、玉森裕太、柳葉敏郎、杉本哲太、佐藤隆太、柄本明、橋爪功、佐々木蔵之介

テレビドラマ化もされた池井戸潤の同名ベストセラー小説を、阿部サダヲ主演、池井戸原作の「空飛ぶタイヤ」を手がけた本木克英監督のメガホンで映画化。小説版、ドラマ版にはない独自のキャラクターが登場し、映画版オリジナルストーリーが展開する。

東京第一銀行・長原支店で現金紛失事件が発生した。ベテランお客様係の西木雅博は、同じ支店に勤務する北川愛理、田端洋司とともに、事件の裏側を探っていく。西木たちは事件に隠されたある事実にたどりつくが、それはメガバンクを揺るがす不祥事の始まりにすぎなかった。

西木役を阿部、北川役を上戸彩、田端役を玉森裕太がそれぞれ演じるほか、柳葉敏郎、杉本哲太、佐藤隆太、柄本明、橋爪功、佐々木蔵之介らが顔をそろえる。

| | コメント (0)

2023-050M 「アントマン&ワスプ クアントマニア」☆☆☆★

Santman2023原題:Ant-Man and the Wasp: Quantumania
邦題:アントマン&ワスプ クアントマニア
時間:125分
公開:2023-02-17
製作年度:2023
製作国:アメリカ
配給:ディズニー
製作総指揮:ルイス・デスポジート ビクトリア・アロンソ ケビン・デラノイ
製作:ケビン・ファイギ スティーブン・ブルサード、ミッチ・ベル ローラ・ストルツ
監督:ペイトン・リード
脚本:ジェフ・ラブネス
原作:
撮影:ウィリアム・ポープ
音楽:クリストフ・ベック
出演:ポール・ラッド(スコット・ラング/アントマン)、エヴァンジェリン・リリー(ホープ・ヴァン・ダイン/ワスプ)、マイケル・ダグラス(ハンク・ピム)、ミシェル・ファイファー(ジャネット・ヴァン・ダイン)、ジョナサン・メジャース(カーン)、キャスリン・ニュートン(キャシー・ラング)、ビル・マーレイ

「アベンジャーズ」をはじめとしたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)を構成する人気作品のひとつ、「アントマン」のシリーズ第3弾。未知の量子世界に入り込んだアントマンやワスプが、アベンジャーズの新たな脅威となる存在、カーンと遭遇する。
「アベンジャーズ エンドゲーム」では量子世界を使ったタイムスリップの可能性に気づき、アベンジャーズとサノスの最終決戦に向けて重要な役割を果たしたアントマンことスコット・ラング。ある時、実験中の事故によりホープや娘のキャシーらとともに量子世界に引きずり込まれてしまったスコットは、誰も到達したことがなかった想像を超えたその世界で、あのサノスをも超越する、すべてを征服するという謎の男カーンと出会う。

体長1.5センチの世界最小のヒーロー、アントマンことスコット・ラング役にポール・ラッド、アントマンのパートナーとして戦うワスプことホープ・ヴァン・ダイン役のエバンジェリン・リリーをはじめ、マイケル・ダグラス、ミシェル・ファイファーらおなじみのキャストが集結。スコットの愛娘で大人に成長したキャシー役を「ザ・スイッチ」「名探偵ピカチュウ」のキャスリン・ニュートン、謎の男カーンを「ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」のジョナサン・メジャースが演じる。シリーズ前2作「アントマン」「アントマン&ワスプ」を手がけたペイトン・リードが今作でもメガホンをとった。

アントマンがらみは全作観ているが、劇場を出て3歩で忘却し、まあ2時間「目」が堪能した記憶のみ残る。だからシリーズのあれこれの因縁を言われても対応しようがないのだが、恐らく製作者はそこの歴史にこだわって、辻褄を合わせているのだろう。まあいい。当然の如く次回作品に振るエンドクレジット後のオマケがあるのだが、確実に絶対に、本作とそんなオマケを忘れた上で次回作を観に行くのだろう。まあアントマンは一家の家業になったことだけは覚えておこう。

| | コメント (0)

2023-049M 「THE WITCH/魔女 ―増殖―」☆☆☆

Switchmajozousyoku原題:The Witch: Part 2 - The Other One
邦題:THE WITCH/魔女 ―増殖―
時間:138分
公開:2023-05-26
製作年度:2022
製作国:韓国
配給:ツイン
製作総指揮:キム・ウテク
製作:パク・フンジョン
監督:パク・フンジョン
脚本:パク・フンジョン
原作:
撮影:キム・ヨンホ
音楽:モグ
出演:シン・シア、パク・ウンビン、ソ・ウンス、ソン・ユビン、チン・グ、チョ・ミンス、イ・ジョンソク、キム・ダミ

人体実験で殺人兵器と化した少女の戦いを描き話題を呼んだ韓国映画「The Witch 魔女」のシリーズ第2作。

秘密研究所アークが何者かに襲撃され、1人の少女が生き残る。彼女は遺伝子操作で最凶のアサシンを養成する「魔女プロジェクト」の実験体だった。初めて研究所の外に出た彼女は、心優しい牧場主の女性とその弟のもとに身を寄せ、人間らしい感情に目覚めていく。しかし魔女プロジェクトの創始者ペク総括は少女を危険視し、抹殺のため工作員を送り込む。さらにアークを壊滅させた超能力者集団や地元の犯罪組織も入り乱れ、激しい戦いが始まる。

オーディションで1400人以上の中から抜てきされたシン・シアが主演を務め、ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」のパク・ウンビン、ドラマ「ビッグマウス」のイ・ジョンソク、前作の主演キム・ダミが共演。「新しき世界」のパク・フンジョンが前作に続いて監督・脚本を手がけた。

一作目を観ていないので、世界観の理解から必要。ともあれ、特殊クローンで戦闘最強という「少女」をめぐる活劇。しっかり続編を計画しての製作だ。

| | コメント (0)

2023-048M 「聖地には蜘蛛が巣を張る」☆☆☆

Sseichinihakumogasuwoharu原題:Holy Spider
邦題:聖地には蜘蛛が巣を張る
時間:118分
公開:2023-04-14
製作年度:2022
製作国:デンマーク・ドイツ・スウェーデン・フランス
配給:ギャガ
製作総指揮:
製作:
監督:アリ・アッバシ
脚本:アリ・アッバシ アフシン・カムラン・バーラミ
原作:
撮影:ナディーム・カールセン
音楽:マーティン・ディルコフ
出演:メフディ・バジェスタニ、ザーラ・アミール・エブラヒミ

「ボーダー 二つの世界」の鬼才アリ・アッバシ監督が、イランに実在した殺人鬼サイード・ハナイによる娼婦連続殺人事件に着想を得て撮りあげたクライムサスペンス。

2000年代初頭。イランの聖地マシュハドで、娼婦を標的にした連続殺人事件が発生した。「スパイダー・キラー」と呼ばれる殺人者は「街を浄化する」という声明のもと犯行を繰り返し、住民たちは震撼するが、一部の人々はそんな犯人を英雄視する。真相を追う女性ジャーナリストのラヒミは、事件を覆い隠そうとする不穏な圧力にさらされながらも、危険を顧みず取材にのめり込んでいく。そして遂に犯人の正体にたどりついた彼女は、家族と暮らす平凡な男の心に潜んだ狂気を目の当たりにする。

ザーラ・アミール・エブラヒミがジャーナリストのラヒミを熱演し、2022年・第75回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞。

| | コメント (0)

2023-047M 「不思議の国の数学者」☆☆☆★

Sfushiginokuninosugakusya原題:In Our Prime
邦題:不思議の国の数学者
時間:117分
公開:2023-04-28
製作年度:2022
製作国:韓国
配給:クロックワークス
製作総指揮:キム・ドゥス
製作:ハ・ジョンワン
監督:パク・ドンフン
脚本:イ・ヨンジュ
原作:
撮影:パク・ホンニョル
音楽:イ・ジス
出演:チェ・ミンスク、キ、ウ・ドンヒ、バク・ピョヌン、パク・ヘジュン、カン・マルグム

 

 

| | コメント (0)

2023-046M 「バビロン」☆☆☆★★★

Sbabylon原題:Babylon
邦題:バビロン
時間:189分
公開:2023-02-10
製作年度:2022
製作国:アメリカ
配給:東和ピクチャーズ
製作総指揮:マイケル・ビューグ トビー・マグワイア ウィク・ゴッドフリー ヘレン・エスタブルック アダム・シーゲル ジェイソン・クロス デイブ・キャプラン
製作:マーク・プラット マシュー・プルーフ オリビア・ハミルトン
監督:デイミアン・チャゼル
脚本:デイミアン・チャゼル
原作:
撮影:リヌス・サンドグレン
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
出演:ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ジーン・スマート、ジョヴァン・アデポ、リー・ジュン・リー、P・J・バーン、ルーカス・ハース、オリヴィア・ハミルトン、トビー・マグワイア、マックス・ミンゲラ、ローリー・スコーヴェル、キャサリン・ウォーターストン、フリー、ジェフ・ガーリン、エリック・ロバーツ、イーサン・サプリー、サマラ・ウィーヴィング、オリヴィア・ワイルド

「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督が、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーら豪華キャストを迎え、1920年代のハリウッド黄金時代を舞台に撮り上げたドラマ。チャゼル監督がオリジナル脚本を手がけ、ゴージャスでクレイジーな映画業界で夢をかなえようとする男女の運命を描く。

夢を抱いてハリウッドへやって来た青年マニーと、彼と意気投合した新進女優ネリー。サイレント映画で業界を牽引してきた大物ジャックとの出会いにより、彼らの運命は大きく動き出す。恐れ知らずで美しいネリーは多くの人々を魅了し、スターの階段を駆け上がっていく。やがて、トーキー映画の革命の波が業界に押し寄せ……。

共演には「スパイダーマン」シリーズのトビー・マグワイア、「レディ・オア・ノット」のサマラ・ウィービング、監督としても活躍するオリビア・ワイルド、ロックバンド「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」のフリーら多彩な顔ぶれが集結。「ラ・ラ・ランド」のジャスティン・ハーウィッツが音楽を手がけた。

かくも「映画」というものは愛しいものなのだろうか。デミアン・チャゼル監督の眼差しは<創造するものたちへの限りない愛>に溢れ、狂乱の20年代ハリウッドを、このうえなく魅力的な祝祭空間として描いた。サイレントからトーキーへの移り変わりの悲喜こもごもは、これまで様々な映画作品でモチーフとされてきたものの、それは高みから見下ろして語る歴史であった。しかしこの『バビロン』は血を流し苦悩する、虚飾に生きるしかない<映画屋>の物語。時代から取り残される役者というのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(クエンティン・タランティーノ監督 2019年)で70年代に落ちぶれた往年の西部劇俳優をディカプリオが演じ、その友人でありダブルであるブラピが**を**してマルチバースなハリウッド史を表現していたのが記憶に新しい。ともあれ、トーキーに対応できなかった様々な人々と、生き残り切れなかった有象無象が、悲しくも消え去っていく残酷なら必然。しかし、連綿と続く「映画」という夢の世界は、そんな者たちさえ<歴史の一部>として現在まで続いているという、チャゼル監督の鎮魂の物語である。
冒頭の30分近く描かれる、狂乱淫靡な即物的享楽だけが<正義>であったギョーカイに、破裂しそうな野心を持ってチャンスを得ようと潜入する主人公たちに、189分続く悦楽を鷲掴みされる。そしてラスト10分の、130年にわたる映画史に残る古今の名作が、眩暈を呼び起こすフラッシュカットで提示される。これらの編集はチャゼル組のトム・クロス。16ビートの疾走する勢いで、作品全編の緩急自在なリズムと、冒頭の狂乱とクライマックスの映画史で観客の血圧をぐいぐい押し上げる。
まことに映画という愉悦に浸らせてくれる、見事なお点前であった。

| | コメント (0)

2023-045M 「コンパートメント No.6」☆☆☆

Sconpartment6原題:Hytti Nro 6
邦題:コンパートメント No.6
時間:107分
公開:2023-02-10
製作年度:2021
製作国:フィンランド・ロシア・エストニア・ドイツ
配給:アットエンタテインメント
製作総指揮:
製作:ユッシ・ランタマキ エミリア・ハウッカ
監督:ユホ・クオスマネン
脚本:アンドニス・フェルドマニス リビア・ウルマン ユホ・クオスマネン
原作:
撮影:J=P・パッシ
音楽:
出演:セイディ・ハーラ(ラウラ)、ユーリー・ボリソフ(リョーハ)、ディナーラ・ドルカーロワ(イリーナ)、ユリア・アウグ(車掌)、リディア・コスティナ(リョーハの養母)、トミ・アラタロ(ギターを持ったフィンランド人の男)

長編デビュー作「オリ・マキの人生で最も幸せな日」がカンヌ国際映画祭「ある視点」部門の作品賞に輝いたフィンランドの新鋭ユホ・クオスマネンが、同国の作家ロサ・リクソムの小説を基に撮りあげた長編第2作。

1990年代のモスクワ。フィンランドからの留学生ラウラは恋人と一緒に世界最北端駅ムルマンスクのペトログリフ(岩面彫刻)を見に行く予定だったが、恋人に突然断られ1人で出発することに。寝台列車の6号客室に乗り合わせたのはロシア人の炭鉱労働者リョーハで、ラウラは彼の粗野な言動や失礼な態度にうんざりする。しかし長い旅を続ける中で、2人は互いの不器用な優しさや魅力に気づき始める。

2021年・第74回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、グランプリを受賞した。

なんの予備知識もなくシネマカリテに来たが、平日昼間で押すな押すなの満席大盛況。カンヌのグランプリの誘客パワーに改めて驚く。
映画はフィンランドからモスクワに留学している女学生がムルマンスクのペトログリフを見るために列車の一人旅を描くロードムービー。雰囲気は数十年前のシナリオに自由度が少ないアドベンチャーゲームやロールプレイングゲームのような、牽引力に欠けるカビ臭さのあるストーリー。あとはひたすら寒そうな風景、風景。北欧人やロシア人の「寒さへの耐性」をこれでもかと、訴えられる。ゴールに至っては凍死寸前なシチュエーション。ああ、冬に観る映画じゃあないな。

| | コメント (0)

2023-044M 「銀平町シネマブルース」☆☆☆★★

Sginpeichocinemablues邦題:銀平町シネマブルース
時間:99分
公開:2023-02-10
製作年度:2022
製作国:日本
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
製作総指揮:
製作:久保和明 秋山智則
監督:城定秀夫
脚本:いまおかしんじ
原作:
撮影:渡邊雅紀
音楽:黒田卓也
出演:小出恵介(近藤猛)、吹越満(梶原啓司)、宇野祥平(佐藤伸夫)、藤原さくら(足立エリカ)、日高七海(大崎美久)、中島歩(渡辺健介)、黒田卓也(白川はじめ)、木口健太(那須ヒロシ)、小野莉奈(谷内由里子)、平井亜門(高杉良太郎)、守屋文雄(スクリーンの中の監督)、関町知弘(木村章)、小鷹狩八(川本守)、谷田ラナ(二ノ宮ハル)、さとうほなみ(二ノ宮一果)、加治将樹(桑名陽平)、片岡礼子(高杉弥生)、藤田朋子(桐谷陽子)、浅田美代子(黒田新子)、渡辺裕之(谷口章雄)

 

「アルプススタンドのはしの方」「愛なのに」の城定秀夫が監督、「れいこいるか」「神田川のふたり」のいまおかしんじが脚本を手がけ、つぶれかけの映画館を舞台に繰り広げる人間模様を描いた群像悲喜劇。

青春時代を過ごした街・銀平町に帰ってきた一文無しの青年・近藤は、映画好きの路上生活者の佐藤と、商店街の一角にある映画館・銀平スカラ座の支配人・梶原と知り合ったことをきっかけに、銀平スカラ座でアルバイトとして働くことに。同僚のスタッフや、老練な映写技師、売れない役者やミュージシャン、映画の世界に夢を見ている中学生など、個性豊かな常連客との出会いを通じて、近藤はかつての自分と向き合い始める。

主人公の青年・近藤を小出恵介が演じ、梶原役に吹越満、佐藤役に宇野祥平と実力派が脇を固める。撮影は、埼玉県川越市にある老舗ミニシアター・川越スカラ座で行われた。

とにかく「映画館と映画」愛に満ち溢れている。その気持ちの良さで満足した。
映画館主の梶原役の吹越満が図抜けて良い。気が早いが、今年の助演男優賞の有力候補だ。
ホームコース近辺で宿泊するとき、時々訪問した川越スカラ座がロケ舞台。あの住宅街にふと現れる劇場の佇まいが、この作品に似合っている。

 

| | コメント (0)

2023-043M 「パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女」☆☆☆★

Sparfectdeiver原題:Special Delivery
邦題:パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女
時間:109分
公開:2023-01-20
製作年度:2022
製作国:韓国
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
製作総指揮:
製作:キム・ボンソ ソク・ドンジュン
監督:パク・デミン
脚本:パク・デミン
原作:
撮影:ホン・ジェシク
音楽:ファン・サンジュン
出演:パク・ソダム(チャン・ウナ)、ソン・セビョク(チョ・ギョンピル)、キム・ウィソン(ペク・カンチョル)、チョン・ヒョンジュン(キム・ソウォン)、ヨン・ウジン(キム・ドゥシク)、ヨム・ヘラン(ハン・ミヨン)、ハン・ヒョンミン(アシフ)

「パラサイト 半地下の家族」で半地下の家族の長女役を演じたパク・ソダムが、凄腕の運び屋を演じたカーアクション。

天才的なドライビングテクニックを持つウナは、ワケあり荷物を届ける特殊配送会社「特送(とくそう)」で働いている。彼女はある日、海外への逃亡を図る賭博ブローカーと、その息子ソウォンを港まで運ぶという依頼を引き受ける。しかし、思わぬアクシデントで依頼人不在のまま、ソウォンと300億ウォンが入った貸金庫の鍵を抱えて追われる羽目になる。貸金庫の鍵を狙う悪徳警官やサイコパスな殺し屋、さらには脱北の過去を持つウナを秘密裏に調査する国家情報院も巻き込み、命がけのカーチェイスを繰り広げる。

ソウォン役は「パラサイト 半地下の家族」で社長一家の息子を演じたチョン・ヒョンジュンが務め、ウナ役のパク・ソダムと再共演を果たした。そのほか、特送のボス、ペクをキム・ウィソン、貸金庫の鍵を狙う悪徳警官ヤクザのギョンピルをソン・セビョク、ウナを調査する国家情報院職員ミヨンをヨム・ヘラン、ソウォンの父ウジンをキム・ドゥシクが演じる。

| | コメント (0)

2023-042M 「#マンホール」☆☆☆

Smanhole邦題:#マンホール
時間:99分
公開:2023-02-10
製作年度:2023
製作国:日本
配給:ギャガ
製作総指揮:
製作:依田巽 藤島ジュリーK.
監督:熊切和嘉
脚本:岡田道尚
原作:岡田道尚
撮影:月永雄太
音楽:渡邊琢磨
出演:中島裕翔(川村俊介)、奈緒(工藤舞)、永山絢斗(加瀬悦郎)

「Hey! Say! JUMP」の中島裕翔が6年ぶりに映画主演を務め、マンホールに落ちてしまった男の苦闘を描いたシチュエーションスリラー。「ライアーゲーム」「マスカレード・ホテル」シリーズの岡田道尚によるオリジナル脚本で、「私の男」「海炭市叙景」の熊切和嘉監督がメガホンをとった。

勤務先の不動産会社で営業成績ナンバーワンの川村俊介は、社長令嬢との結婚も決まって将来を約束されていた。しかし結婚式の前夜、渋谷で開かれたパーティで酩酊し、帰り道にマンホールの穴に落ちてしまう。深夜、川村は穴の底で目を覚ますが、思うように身動きが取れず、スマホのGPSは誤作動を起こし、警察に助けを求めてもまともに取り合ってもらえない。なんとか連絡が取れた元カノに助けを求めることができたが、自分のいる場所がどこかわからない川村は、「マンホール女」のアカウントをSNS上で立ち上げ、ネット民たちに場所の特定と救出を求めるが……。

中島が主人公・川村役を演じるほか、川村の元カノ役を奈緒、川村の同期社員役を永山絢斗がそれぞれ演じる。

シチュエーションスリラー。マンホールに落ちた男の脱出劇。切羽詰まった生命の時間があるわけでなし、もう一工夫欲しかったな。SNS を駆使したり、今様な演出はあるものの、ただ決定的に、腑に落ちない、辻褄が解釈できない、物語の主要部分があり、当惑している。

| | コメント (0)

2023-041M 「「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」☆☆☆★

Skimetsu2023邦題:「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ
時間:110分
公開:2023-02-03
製作年度:2023
製作国:日本
配給:東宝、アニプレックス
製作総指揮:
製作:
監督:外崎春雄
脚本:ufotable
原作:吾峠呼世晴
撮影:寺尾優一
音楽:梶浦由記 椎名豪
出演:花江夏樹(竈門炭治郎)、鬼頭明里(竈門禰豆子)、下野紘(我妻善逸)、松岡禎丞(嘴平伊之助)、小西克幸(宇髄天元)、河西健吾(時透無一郎)、花澤香菜(甘露寺蜜璃)

大ヒットアニメ「鬼滅の刃」のテレビシリーズ第3期「刀鍛冶の里編」の放送開始(2023年4月)を前に、第2期「遊郭編」の第10、11話と「刀鍛冶の里編」の第1話を特別劇場上映。

「週刊少年ジャンプ」連載の漫画が原作で、大正時代の日本を舞台に、家族を鬼に殺された少年・竈門炭治郎が鬼になった妹の禰豆子を人間に戻すため「鬼滅隊」へ入隊し、過酷な戦いをくぐり抜けていく姿を描くアニメ版「鬼滅の刃」。2019年4月からテレビシリーズ第1期「竈門炭治郎・立志編」が放送され、2020年10月に公開された劇場版「無限列車編」は興行収入400億円を超える歴史的大ヒットを記録、2021年から22年にかけてはテレビアニメ版「無限列車編」と第2期「遊郭編」が放送された。

それらに続く物語が展開する第3期「刀鍛冶の里編」放送を前に、炭治郎や音柱・宇随天たちと上弦の陸・堕姫と妓夫太郎が激闘を繰り広げて話題を集めた「遊郭編」の第10、11話を劇場初上映。さらに、新たな任務地での霞柱・時透無一郎と恋柱・甘露寺蜜璃との出会いや、無限城に集められた上弦の鬼の姿を描く「刀鍛冶の里編」第1話が上映される。本編映像は全編4Kアップコンバートされ、音楽も映画館上映にあわせて再ミックスされている。

| | コメント (0)

2023-040M 「そばかす」☆☆☆★

Ssobakasu邦題:そばかす
時間:104分
公開:2012-12-16
製作年度:2022
製作国:日本
配給:ラビットハウス
製作総指揮:
製作:
監督:玉田真也
脚本:アサダアツシ
原作:アサダアツシ
撮影:中瀬慧
音楽:松野泉
出演:三浦透子(蘇畑佳純)、前田敦子(世永真帆)、伊藤万理華(篠原睦美)、伊島空(木暮翔)、前原滉(八代剛志)、前原瑞樹(篠原健人)、浅野千鶴(春日寛子)、北村匠海(天藤光)、田島令子(蘇畑宮子)、坂井真紀(蘇畑菜摘)、三宅弘城(蘇畑純一)
他人に恋愛感情を抱かない女性が周囲と向き合いながら自分自身を見つめる姿を描いたドラマ。

30歳の蘇畑佳純は物心ついた頃から恋愛がよくわからず、いつまで経っても恋愛感情が湧かない自分に不安を覚えながらもマイペースに生きてきた。大学では音楽を志すも挫折し、現在は地元のコールセンターで苦情対応に追われる日々を送っている。妹が結婚・妊娠したこともあって母からは頻繁にプレッシャーをかけられており、ついには無断でお見合いまでセッティングされてしまう。そこで彼女が出会ったのは、結婚よりも友だち付き合いを望む男性だった。

「ドライブ・マイ・カー」の三浦透子が主演を務め、中学時代の同級生を前田敦子、同僚を北村匠海、妹を伊藤万理華が演じる。「his」のアサダアツシが企画・脚本を手がけ、劇団「玉田企画」主宰の玉田真也が監督を務めた。

最近のはやり(正義の味方なLGBT系ポピュリズム)では、僕は「女性しか愛せない、女性にしか性的嗜好がない、自認性別が男性」という『罪作りな変態』らしいので、街を歩くのが後ろめたいし、いつ背中側から石が飛んでくるかわからない。で、こういう啓蒙的なメタファーに溢れる文化的作品に触れて、意識改革をしなければならないのだ。

| | コメント (0)

2023-039M 「TAR/ター 」☆☆☆★★

Star原題:TAR
邦題:TAR/ター
時間:158分
公開:2023-05-12
製作年度:2022
製作国:アメリカ
配給:ギャガ
製作総指揮:
製作:トッド・フィールド スコット・ランバート アレクサンドラ・ミルチャン
監督:トッド・フィールド
脚本:トッド・フィールド
原作:
撮影:フロリアン・ホーフマイスター
音楽:ヒドゥル・グドナドッティル
出演:ケイト・ブランシェット、マーク・ストロング、ジュリアン・グローヴァー、ノエミ・メルラン、ニーナ・ホス、アラン・コーデュナー

「イン・ザ・ベッドルーム」「リトル・チルドレン」のトッド・フィールド監督が16年ぶりに手がけた長編作品で、ケイト・ブランシェットを主演に、天才的な才能を持った女性指揮者の苦悩を描いたドラマ。

ドイツの有名オーケストラで、女性としてはじめて首席指揮者に任命されたリディア・ター。天才的能力とたぐいまれなプロデュース力で、その地位を築いた彼女だったが、いまはマーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャーと、新曲の創作に苦しんでいた。そんなある時、かつて彼女が指導した若手指揮者の訃報が入り、ある疑惑をかけれたターは追い詰められていく。

「アビエイター」「ブルージャスミン」でアカデミー賞を2度受賞しているケイト・ブランシェットが主人公リディア・ターを熱演。2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、ブランシェットが「アイム・ノット・ゼア」に続き自身2度目のポルピ杯(最優秀女優賞)を受賞。また、第80回ゴールデングローブ賞でも主演女優賞(ドラマ部門)を受賞し、ブランシェットにとってはゴールデングローブ賞通算4度目の受賞となった第95回アカデミー賞では作品、監督、脚本、主演女優ほか計6部門でノミネート。

アカデミー賞の作品賞など6部門ノミネート。昨秋からの様々な映画賞を席巻している話題作だが、中味は謎だった。女性指揮者役のケイト・ブランシェットが凄い、というくらいしか情報が無かった。そして5月公開ということで、観終わった僕も、まだ語れない。もう一度しっかり観て虚実を判断したい。とFBには書いたが、結局のところ「妙なメロディ」「メトロノーム」「襲われた男?」などなどホラーなのかミステリなのか不明な部分が放置されている。「ブラックスワン」のようなメンタル異常だ!ってことでの描写が「現実」「妄想」が錯綜した形で提示されているのだろうか。どうなんだろう、そのあたりを読解するのには一度では難しいかもしれない。ともあれ、ベルリンフィルからドロップして場末の仕事が、東南アジアでオタクたちが集う「モンハンのスクリーンコンサート」ってのが、「堕ちた」感たっぷりに描かれるけど、それはそれで、音楽家たちに(特に大阪から来るはずの、多分日本人の指揮者)に失礼なんじゃないか、なんて思うぞ。

| | コメント (0)

2023-038M 「すべてうまくいきますように」☆☆☆★

Ssubeteumakuikimasuyouni原題:Tout s'est bien passe
邦題:すべてうまくいきますように
時間:113分
公開:2023-02-03
製作年度:2021
製作国:フランス
配給:キノフィルムズ
製作総指揮:
製作:エリック・アルトメイヤー ニコラ・アルトメイヤー
監督:フランソワ・オゾン
脚本:フランソワ・オゾン
原作:エマニュエル・ベルンエイム
撮影:イシャーム・アラウィエ
音楽:ニコラス・コンタン
出演:ソフィー・マルソー(エマニュエル)、アンドレ・デュソリエ(アンドレ)、ジェラルディーヌ・ペラス(パスカル)、シャーロット・ランプリング(クロード)、エリック・カラヴァカ(セルジュ)、ハンナ・シグラ(スイスのレディ)、グレゴリー・ガドゥボワ(ジェラール)、ジャック・ノロ(ロベール)、ジュディット・マーレ(シモーヌ)、ダニエル・メズギッシュ(弁護士)、ナタリー・リシャール(ペーテルセン警部)

フランスの名匠フランソワ・オゾンが、「スイミング・プール」の脚本家エマニュエル・ベルンエイムの自伝的小説を基に、安楽死を望む父親に翻弄される娘の葛藤を描いた人間ドラマ。

ユーモアと好奇心にあふれ、生きることを愛してきた85歳の男性アンドレ。脳卒中で倒れ身体の自由がきかなくなった彼は、その現実を受け入れられず安楽死を望むように。人生を終わらせるのを手伝ってほしいと頼まれた娘エマニュエルは、父の気が変わることを願いながらも、合法的な安楽死を支援するスイスの協会に連絡する。父はリハビリによって徐々に回復し、生きる喜びを取り戻したように見えたが……。

ソフィー・マルソーがエマニュエル役で主演を務め、「私のように美しい娘」のアンドレ・デュソリエが父アンドレ、「さざなみ」のシャーロット・ランプリングが母クロード、「17歳」のジェラルディン・ペラスが妹パスカルを演じた。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

テレビ東京で出資した『海を飛ぶ夢』(アレハンドロ・アメナーバル監督 2004年)や『みなさんさようなら』(ドゥニ・アルカン監督 2003年)といった、死期をコントロールしたいと願う主人公を軸に、周りにいる家族たちを描くモチーフは、さまざまな形で描かれる。尊厳死テーマで言えば、日本映画でも昨年話題になった『プラン75』というディストピア作品が記憶に新しい。邦画史的には『楢山節考』に行き着くのは自明。で、本作はその系譜。いまや巨匠呼ばわりされているフランソワ・オゾンが、ゲイにバイアスがかかっていない、真っ当なホームドラマを演出。配給はキノフィルムズ。かつて『8人の女たち』や『スイミング・プール』などを出資してた頃はギャガ配給だったことを思い出す。随分と赤字だったが。ともあれ、エマニュエル・ベルンエイム(『スイミング・プール』の脚本家)の自伝的小説が原作というから、ほぼ実話なのだろう。脳梗塞で真っ当な生活ができなくなった85歳になる父親が、ソフィー・マルソー演じる長女に尊厳死を望む、という物語。そんな一家の、父が目的を遂げるまでのあれこれが、冷静にスケッチされていく。高齢化が極まった日本では、日常的に『意識』せねばならないテーマだが、フランスの娘たちは、達観してるのか、後半は淡々とゴールへ進んでいく。この妙な冷静さが軽く怖いお話だった。

| | コメント (0)

2023-037M 「仕掛人・藤枝梅安」☆☆☆★★

Sfujiedabaiab1邦題:仕掛人・藤枝梅安
時間:131分
公開:2023-02-03
製作年度:2023
製作国:日本
配給:イオンエンターテイメント
製作総指揮:
製作:石原隆 米倉英一 小林智 浅田靖浩 松下幸生 小川悦司 戸辺久之 飯田義典 小川泰 坂本裕寿 雑賀和美 高見洋平 近藤豐和 一瀬文秀 小野剛 深川辰巳 加藤光淑 中西一雄 齊藤哲人 石塚真人 林寛子 齋藤秋水 田野口希 前田俊広 山本耕 細井俊介 吉村俊造 門野隆弘 稲木甲二 青柳洋治 尾谷牧夫 嶋田充郎 河津延雄 川原泰博 若松誠 川上伸一 大澤徹也 宮崎昌治 桑田一郎 外山衆司 酒井美樹男 横山淳
監督:河毛俊作
脚本:大森寿美男
原作:池波正太郎
撮影:南野保彦
音楽:川井憲次
出演:豊川悦司(藤枝梅安)、片岡愛之助(彦次郎)、菅野美穂(おもん)、小野了(与助)、高畑淳子(おせき)、小林薫(津山悦堂)、早乙女太一(石川友五郎)、柳葉敏郎(羽沢の嘉兵衛)、天海祐希(おみの)

池波正太郎のベストセラー時代小説「仕掛人・藤枝梅安」シリーズを、池波正太郎生誕100年となる2023年に豊川悦司主演で映画化した2部作の第1部。

江戸の郊外、品川台町に住む鍼医者の藤枝梅安には、腕の良い医者という表の顔と、生かしておいてはならない者たちを闇に葬る冷酷な仕掛人という裏の顔があった。そんな梅安がある日、料理屋を訪ね、仕掛の標的であるおかみの顔を見た瞬間、思わず息をのむ。その対面は、梅安自身の暗い身の上を思い出させるものだった。

これまでにも緒形拳、田宮二郎、萬屋錦之介、小林桂樹、渡辺謙らが演じてきた梅安役を新たに演じる豊川をはじめ、片岡愛之助、菅野美穂、小野了、高畑淳子、小林薫らが顔をそろえる。そのほか、第1部ゲストとして柳葉敏郎、天海祐希、早乙女太一が出演。監督は「星になった少年 Shining Boy and Little Randy」の河毛俊作 。

TBSで深作欣二の放送初回を見たとき鳥肌が立った思い出がある。(たかが)これまでのテレビ時代劇とは、圧倒的にレベチな奇跡を突然見せられ、放送後しばらく動けなかった、塾高2年の秋。それから50年。必殺シリーズが浸透し、手法として歴史遺物(コモディティ化しちまった)となった現在、どれだけ『新しきモノ』を見せてくれるのだろうか。という期待とともに鑑賞。キャメラ照明とも、陰影を強調したザラついた感じで、シリーズ初期のアヴァンギャルドな雰囲気を再現。テレビドラマ的なクローズアップを効果的に使った演出。抑えた役者たちの演技。それぞれが『令和』にリメイクするにあたって、『昭和』をリスペクトしているのが画面から伝わる。なかなか満足すべき仕上がりと思う。テレビで初回目撃した老人には、嬉しいリメイクであった。

| | コメント (0)

2023-036M 「帰れない山」☆☆☆★★

Skaerenaiyama原題:Le otto montagne
邦題:帰れない山
時間:147分
公開:2023-05-05
製作年度:2022
製作国:イタリア・ベルギー・フランス
配給:セテラ・インターナショナル
製作総指揮:
製作:
監督:フェリックス・バン・ヒュルーニンゲン シャルロッテ・ファンデルメールシュ
脚本:フェリックス・バン・ヒュルーニンゲン シャルロッテ・ファンデルメールシュ
原作:パオロ・コニェッティ
撮影:ルーベン・インペンス
音楽:
出演:ルカ・マリネッリ、アレッサンドロ・ボルギ、フィリッポ・ティーミ、エレナ・リエッティ

2022年・第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品。審査員賞を受賞(イエジー・スコリモフスキの「EO イーオー」と同時受賞)。
山麓の小さな村で、都会育ちの少年ピエトロと、同い年の牛飼いの少年ブルーノとが出会い濃密な時間を過ごす。やがて大人になった二人は再会し、お互いの心に寄り添いながらもそれぞれの道を進んでゆく。北イタリアの雄大なるモンテ・ローザ山麓を舞台に、彼らの友情と成熟を描く、美しくもほろ苦い“大人の青春映画”。良い関係を築けなかった父親への想い、幼少期に濃密な時間を過ごした親友への敬意と憧れ、恋の痛み、そしていかに人生を生きるべきかと葛藤する日々??。すべてを教えてくれた山と対峙し、それぞれが己と向き合い、「自分の物語」と「ありのままの自分でいられる場所」を発見し成長していく。パルムドール受賞作『TITANE/チタン』の撮影監督ルーベン・インペンスによる圧倒的な映像美とカメラワークで豊かな自然と友情を映し出す、揺さぶられるほど懐かしく切ない一大抒情詩が誕生した。

第75回カンヌ国際映画祭にて、審査員賞を受賞した本作は、世界39言語に翻訳され、イタリア文学の最高峰・ストレーガ賞やフランス最高の文学賞・メディシス賞(外国小説部門)など数々の文学賞に輝いた国際的ベストセラー小説「帰れない山」待望の映画化。ティモシー・シャラメ主演『ビューティフル・ボーイ』でドラッグ依存に苦しむ少年と父親の絆を描いたベルギーの俊英、フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン監督が、とあるカップルの情熱的な恋と喪失を描いた『オーバー・ザ・ブルースカイ』の脚本家シャルロッテ・ファンデルメールシュを共同監督に迎え、人生に立ち止まり、未来を見つめる大人たちの物語を丹念に紡ぎ出した。主人公のピエトロ役には、『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(17)でダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞助演男優賞に輝き、『マーティン・エデン』では、第76回ヴェネツィア国際映画祭で見事男優賞に輝いたルカ・マリネッリ。また親友のブルーノ役には、同じくダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で主演男優賞の受賞歴を持つアレッサンドロ・ボルギ。ほかにも、フィリッポ・ティーミやエレナ・リエッティといったイタリアの実力派名優が脇を固めている。

| | コメント (0)

2023-035M 「マッド・ダディ」☆☆☆

Smamandodad原題:Mom and Dad
邦題:マッド・ダディ
時間:85分
公開:2018-06-23
製作年度:2017
製作国:アメリカ
配給:クロックワークス
製作総指揮:ジェリー・ハウスファター カシアン・エルウィズ ネイト・ボロティン アリ・ジャザイェリ ニック・スパイサー デビッド・ジェンドロン ウェイン・マーク・ゴッドフリー ロバート・ジョーンズ ロブ・ゴフ
製作:クリス・ルモール ティム・ザジャロフ ブライアン・テイラー
監督:ブライアン・テイラー
脚本:ブライアン・テイラー
原作:
撮影:ダニエル・パール
音楽:
出演:ニコラス・ケイジ(ブレント・ライアン)、セルマ・ブレア(ケンダル・ライアン)、アン・ウィンターズ、ザカリー・アーサー、ランス・ヘンリクセン(メル・ライアン)、オリヴィア・クロチッチア

ある日親たちが凶暴化し、わが子に襲いかかる世界を描いたニコラス・ケイジ主演のスリラー。2人の子どもにも恵まれ、幸せな毎日を送っているブレント。いつものように会社に行き、オフィスのテレビでブレントが見たのが、親が実の子どもを殺害する事件が相次ぎ、国中がパニック状態となっているという驚がくのニュースだった。子どもたちの身を案じたブレントは仕事を早めに切り上げて帰宅するが、子どもたちはいつもどおりに無事に暮らしていた。しかし、愛する子どもたちの顔を見た瞬間、ブレントの心に「この子たちを殺さなければ」という正体不明の殺意が生じてしまう。監督は「アドレナリン」「ゴーストライダー2」のブライアン・テイラー。

| | コメント (0)

2023-034M 「シネマ歌舞伎「日本振袖始」「二人藤娘」」☆☆☆★★

Sfurisodehajimefujimusume邦題:シネマ歌舞伎「日本振袖始」「二人藤娘」
時間:90分
公開:2015-01-27
製作年度:2015
製作国:日本
配給:松竹
出演:坂東玉三郎、中村七之助、中村米吉、中村勘九郎

歌舞伎の舞台を映画館でデジタル上映する「シネマ歌舞伎」シリーズ第21弾。2014年4月に、第5期歌舞伎座(13年4月開業)のこけら落とし公演「歌舞伎座新開場柿葺落 鳳凰祭三月大歌舞伎」で上演された「日本振袖始」と「二人藤娘」を映像化し、2本立てで上映。役者たちが化粧をして舞台へ臨む姿など、普段は見られない舞台裏映像も収められている。「二人藤娘」は、舞踏の人気演目として知られる「藤娘」を2人で演じるという新解釈で再構成された演目。「京鹿子娘道成寺」を2人で舞った「京鹿子娘二人道成寺」もシネマ歌舞伎化されている坂東玉三郎が、中村七之助とともに藤の精を艶やかに演じた。14年1月に大阪松竹座で初演されて評判となり、同年3月に歌舞伎座で東京初演となった。

もうライブでは望めないかも。あと若い若い米吉もお目当て。19歳のころの稲田姫、まだ太めですな。

| | コメント (0)

« 2023年1月 | トップページ | 2023年3月 »