2022-199M 「線は、僕を描く」☆☆☆★
邦題:線は、僕を描く
時間:106分
公開:2022-10-21
製作年度:2022
製作国:日本
配給:東宝
製作総指揮:
製作:沢桂一 松岡宏泰 高津英泰 藤本鈴子 森田圭 弓矢政法 高見洋平 長瀬俊二郎 村上範義
監督:小泉徳宏
脚本:片岡翔 小泉徳宏
原作:砥上裕將
撮影:安藤広樹
音楽:横山克
出演:横浜流星(青山霜介)、清原果耶(篠田千瑛)、細田佳央太(古前巧)、河合優実(川岸美嘉)、矢島健一(国枝豊)、夙川アトム(滝柳康博)、井上想良(笹久保隆)、富田靖子(藤堂翠山)、江口洋介(西濱湖峰)、三浦友和(篠田湖山)
水墨画の世界を題材にした砥上裕將の青春小説「線は、僕を描く」を、横浜流星の主演、「ちはやふる」の小泉徳宏監督のメガホンで映画化。
大学生の青山霜介はアルバイト先の絵画展設営現場で水墨画と運命的な出会いを果たす。白と黒のみで表現された水墨画は霜介の前に色鮮やかに広がり、家族を不慮の事故で失ったことで深い喪失感を抱えていた彼の世界は一変する。巨匠・篠田湖山に声を掛けられて水墨画を学ぶことになった霜介は、初めての世界に戸惑いながらも魅了されていく。
篠田湖山の孫で霜介にライバル心を抱く篠田千瑛を「護られなかった者たちへ」の清原果耶、霜介の親友・古前を「町田くんの世界」の細田佳央太、霜介に触発されて古前と共に水墨画サークルを立ち上げる川岸を「サマーフィルムにのって」の河合優実が演じ、三浦友和、江口洋介、富田靖子らが脇を固める。
小泉徳宏監督の『ちはやふる』はカルタを格闘技のように描いた青春映画で、「あ、文系を舞台にしてもスポ根なドラマティックさを語れるんだ」と、日本映画のステージを一段上げたのが2016年。その『ちはやふる』を語って、小泉監督の新作である本作の予告が展開されていた。舞台が水墨画というアート。これは、もう優劣が曖昧すぎる世界。将棋や囲碁では、スポーツ的な側面を強調した演出がし易いと思うが、「墨絵」である。原作が小説であるため、読者は「絵」を想像しながら読み進む。そとため、登場人物の描く作品は無限の芸術的傑作を、勝手にイメージしていける。が、しかし映画では観客に提示しなければならない。そこには、カルタを獲った枚数のシーソーゲームや、攻守せめぎあう将棋盤上のバトルは描けない。そう、そこには作品を制作しているだけで「相手に負けたくない」という、闘争をしてはいない主人公に対して、手に汗を握る共感を持ち難いのだ。
ストーリーはとある屈託で人生に希望を失った大学生が墨絵と出会うことによって、新たな前進を始めていける。めでたしめでたし。という単純明快なものだが、肝心の水墨画での「達成感」にカタルシスが全く無いのだ。映画で提示される作品の良し悪しは素人の観客には伝わらず、最高賞を受賞したから優れた作品だという、記号でしかない。だから、映画のクライマックスで震えるようなカタルシスや主人公の汗に共感できない消化不良を起こしてしまうのだ。
これはもう、題材の問題で、俳優たちのせいではない。特に江口洋介が楽しそうに「美味しい」役を演じていたのが印象的だ。
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