2022-155M 「ヒューマン・ボイス」☆☆☆★★
原題:The Human Voice
邦題:ヒューマン・ボイス
時間:30分
公開:2022-11-03
製作年度:2020
製作国:スペイン
配給:キノフィルムズ
製作総指揮:
製作:アグスティン・アルモドバル エステル・ガルシア
監督:ペドロ・アルモドバル
脚本:ペドロ・アルモドバル
原作:ジャン・コクトー
撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ
音楽:アルベルト・イグレシアス
出演:ティルダ・スウィントン
スペインの名匠ペドロ・アルモドバルが、フランスの芸術家ジャン・コクトーの戯曲「人間の声」を翻案し、自身初の英語作品として描いた30分の短編作品。ティルダ・スウィントンが主演を務め、恋人に別れを告げられたばかりの女性を主人公に、彼女が繰り広げる電話での会話劇だけで物語が展開する。
1人の女が元恋人のスーツケースの横で、ただ時が過ぎるのを待っていた。元恋人はスーツケースを取りに来るはずが、姿を現さない。かたわらには主人に捨てられたことをまだ理解していない、落ち着きのない犬がいる。女は待ち続けた3日間のうち、一度だけ外出をし、斧と缶入りガソリンを買ってくる。女は無力感にさいなまれ、絶望を味わい、理性を失う。様々な感情を経て、やっと元恋人からの電話がかかってくるが……。
ティルダ・スウィントンをのせて、これだけの芝居をさせるアルモドバル監督が素晴らしい。コクトー、アルモドバルという記号にクイアと自任するティルダが、ジェンダーを超えた「失われた愛」を表現する仕掛けが面白い。ベッドにあるスーツは男性ものらしいが、電話の相手は果たして男性なのだろうか。という倒錯的な香りもする。30分という短さのため故に、さまざまな「答え合わせ」が不要であるという、観客に「思考する愉悦」を与える。
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