2022-110 「PLAN 75」☆☆☆★
邦題:PLAN 75
時間:112分
公開:2022-06-17
製作年度:2022
製作国:日本・フランス・フィリピン・カタール
配給:ハピネットファントム・スタジオ
製作総指揮:小西啓介 水野詠子 國實瑞惠 石垣裕之 フレデリック・コルベ ウィルフレド・C・マナーラン
製作:水野詠子 ジェイソン・グレイ フレデリック・コルベ マエバ・サビニャン
監督:早川千絵
脚本:早川千絵、ジェイソン・グレイ
原作:
撮影:浦田秀穂
音楽:レミ・ブバル
出演:倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、ステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美
これが長編デビュー作となる早川千絵監督が、是枝裕和監督が総合監修を務めたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の一編として発表した短編「PLAN75」を自ら長編化。75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本を舞台に、その制度に翻弄される人々の行く末を描く。少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行され、当初は様々な議論を呼んだものの、超高齢化社会の問題解決策として世間に受け入れらた。夫と死別し、ひとり静かに暮らす78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまう。住む場所も失いそうになった彼女は、「プラン75」の申請を検討し始める。一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働くヒロムや、死を選んだお年寄りにその日が来るまでサポートするコールセンタースタッフの瑶子らは、「プラン75」という制度の在り方に疑問を抱くようになる。年齢による命の線引きというセンセーショナルな題材を細やかな演出とともに描き、初長編監督作にして第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品。初長編作品に与えられるカメラドールのスペシャルメンション(次点)に選ばれた。ミチ役で倍賞千恵子が主演。磯村勇斗、たかお鷹、河合優実らが共演する。
予告では、自発性姥捨て山系ディストピアものとしてアピールしている。果たしてどう裏切ってくれるか楽しみ。なぜ欧州が一定の評価をしてのか。最近の邦画「鈴木さん」や洋画では「ザ・サークル」のような、羊頭狗肉なワンアイデアに辟易しているので。
数カ国から映画助成金を集めてる。凄い組成だ。落ち着いた、若さが出すぎない演出も、詰めの説明が雑。音楽が素晴らしかった。外国の方だった。
主題の是非は観客にぶん投げているが、シニカルな寓話になっておらず、リアルな、検討すべき政策だとも思わせる。それほど高齢化は「映画でディストピアとして描く」というシャレにならないほど深刻。
楢山節考が僕らの世代には刺さります。すなわち老母と生活を共にする、という状況での母子愛と「口減らし」という掟の葛藤の物語。本作は、「今」の高齢者、家族を喪失し、孤独独居の(かつて景気が良く、元気にイケイケだった)高齢者の処置に、絶望の安楽死を合法的に選択できる社会を描いています。まあ現代の「口減らし」の掟の別名ですね、PLAN75は。聞きとれませんでしたが、政府は対象年齢を65に計画してるような背景もあるようでした。昭和の僕らは「楢山節考」に素直に感涙を流せますが、本作は背筋が凍る。家族とか集落とかのレベルでなく、日本国としての口減らし政策のマルチバースな未来。
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