2022-049M 「THE BATMAN ザ・バットマン」☆☆☆★★
原題:The Batman
邦題:THE BATMAN ザ・バットマン
時間:175分
公開:2022-03-11
製作年度:2022
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
製作総指揮:マイケル・E・ウスラン ウォルター・ハマダ シャンタル・ノン・ボ サイモン・エマニュエル
製作:ディラン・クラーク マット・リーブス
監督:マット・リーブス
脚本:マット・リーブス ピーター・クレイグ
原作:ボブ・ケイン ビル・フィンガー
撮影:グレイグ・フレイザー
音楽:マイケル・ジアッキノ
出演:ロバート・パティンソン(ブルース・ウェイン/バットマン)、コリン・ファレル(オズワルド・コブルポット/ペンギン)、ポール・ダノ(リドラー)、ゾーイ・クラヴィッツ(キャットウーマン)、ジョン・タートゥーロ(ファルコーネ)、アンディ・サーキス(アルフレッド・ペニーワース)、ジェフリー・ライト(ジェームズ・ゴードン)、ルーク・ロバーツ(トーマス・ウェイン)
クリストファー・ノーランが手がけた「ダークナイト」トリロジーなどで知られる人気キャラクターのバットマンを主役に描くサスペンスアクション。青年ブルース・ウェインがバットマンになろうとしていく姿と、社会に蔓延する嘘を暴いていく知能犯リドラーによってブルースの人間としての本性がむき出しにされていく様を描く。両親を殺された過去を持つ青年ブルースは復讐を誓い、夜になると黒いマスクで素顔を隠し、犯罪者を見つけては力でねじ伏せる「バットマン」となった。ブルースがバットマンとして悪と対峙するようになって2年目になったある日、権力者を標的とした連続殺人事件が発生。史上最狂の知能犯リドラーが犯人として名乗りを上げる。リドラーは犯行の際、必ず「なぞなぞ」を残し、警察やブルースを挑発する。やがて権力者たちの陰謀やブルースにまつわる過去、ブルースの亡き父が犯した罪が暴かれていく。「TENET テネット」のロバート・パティンソンが新たにブルース・ウェイン/バットマンを演じ、「猿の惑星:新世紀(ライジング)」「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」のマット・リーブス監督がメガホンをとった。
『忠臣蔵』や『太閤記』は時代劇の定番。しかし主人公像の解釈は、大石内蔵助に比べて豊臣秀吉の方が自由度が髙く、映画、舞台、テレビての秀吉のヴァリエーションは無数にある。演出家や役者も、過去にないオリジナルな秀吉像はコレだ、と気合いをいれる。ともあれ、日本人の遺伝子に染み付いたような、この二本のご存知時代劇は、ストーリーは自明。どの役者がどう演じるか、を楽しむ境地にある。
欧州でもオペラやシェイクスピアといった歴史を重ねた古典舞台があり、豊かなヴァリエーションに驚嘆する。翻って、若い国アメリカはどうだろう。アメリカが生んだオリジナルストーリーコミック。スーパーマンやバットマンらの孤児ヒーローが、様々な解釈で描かれ、演じられてきた。滅亡した惑星の唯一の生き残り、という「孤児」であるスーパーマンという設定。ゴッサム市の富豪で市長候補のウェインの一人息子ブルースが、両親を殺され「孤児」となる設定。両親が殺された原因である、街に巣食う悪と戦うバットマンとして孤高の存在となる。両者とも歌舞伎的には『実ハ』と表現される二面性を持っているのも共通だ。
今回のバットマンも、オリジナルのブルース青年の背景などの基本は押えつつ、ロバート・パティンソンとマット・リーブス監督が、新たな解釈で描き出した。3時間弱と長尺で、ほぼ全編が夜、さらに雨、という鬱陶しい舞台だ。ここまで撮影にストレスをかけないと、今作のバットマンの世界観を表現できなかったのだろう。今後もこのテイストでシリーズ化されるかはわからないが、主要なヴィランは垣間見えた(声だけとか)。
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