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2022-016M 「ノイズ」☆☆☆★

Snois邦題:ノイズ
時間:128分
公開:2022-01-28
製作年度:2022
製作国:日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
製作総指揮:
製作:沢桂一 堀義貴 池田宏之 菊川雄士 藤本鈴子 森田圭 弓矢政法 松橋真三 田中祐介
監督:廣木隆一
脚本:片岡翔
原作:筒井哲也
撮影:鍋島淳裕
音楽:大友良英
出演:藤原竜也(泉圭太)、松山ケンイチ(田辺純)、神木隆之介(守屋真一郎)、黒木華(泉加奈)、伊藤歩(青木千尋)、渡辺大知(小御坂睦雄)、酒向芳(横田昭一)、迫田孝也(野毛二郎)、鶴田真由(守屋仁美)、菜 葉 菜(横田洋子)、波岡一喜(酒井義昭)、寺島進(岡崎正)、余貴美子(庄司華江)、柄本明(横田庄吉)、永瀬正敏(畠山努)

筒井哲也の同名コミックを、「デスノート」シリーズで共演した藤原竜也と松山ケンイチの主演で実写映画化したサスペンス。時代に取り残され過疎化に苦しむ孤島・猪狩島。島の青年・泉圭太が生産を始めた黒イチジクが高く評価されたことで、島には地方創生推進特別交付金5億円の支給がほぼ決まり、島民たちに希望の兆しが見えていた。しかし、小御坂睦雄という男の登場によって、島の平和な日常が一変する。小御坂の不審な言動に違和感を覚えた圭太と幼なじみの猟師・田辺純、新米警察官の守屋真一郎の3人は小御坂を追い詰めていくが、圭太の娘の失踪を機に誤って小御坂を殺してしまう。3人はこの殺人を隠すことを決意するが、実は小御坂は元受刑者のサイコキラーであり、小御坂の足取りを追って警察がやってきたことで、静かな島は騒然とする。泉圭太役を藤原、田辺純役を松山がそれぞれ演じる。監督は「ヴァイヴレータ」の廣木隆一。

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2022-015M 「クレッシェンド 音楽の架け橋」☆☆☆★

Skureshend原題:Crescendo
邦題:クレッシェンド 音楽の架け橋
時間:112分
公開:2022-01-28
製作年度:2019
製作国:ドイツ
配給:松竹
製作総指揮:
製作:アリス・ブラウナー
監督:ドロール・ザハビ
脚本:ヨハネス・ロッター ドロール・ザハビ
原作:
撮影:ゲーロ・シュテフェン
音楽:フリッツ・ブッセ
出演:ペーター・ジモニシェック(エドゥアルト・スポルク)、ビビアナ・ベグロー(カルラ)、ダニエル・ドンスコイ(ロン)、サブリナ・アマリ(レイラ)、メディ・メスカル(オマル)、エーヤン・ピンコヴィッチ(シーラ)、ゲッツ・オットー(ベルマン)

長く紛争の続くイスラエルとパレスチナから集った若者たちがオーケストラを結成し、コンサートに向けて対立を乗り越えていく姿を、実在する楽団をモデルに描いたヒューマンドラマ。世界的に名の知られる指揮者のエドゥアルト・スポルクは、紛争中のイスラエルとパレスチナから若者たちを集めてオーケストラを編成し、平和を祈ってコンサートを開くというプロジェクトに参加する。オーケストラには、オーディションを勝ち抜き、家族の反対や軍の検問を乗り越え、音楽家になるチャンスをつかんだ20数人の若者たちが集まったが、彼らもまた、激しくぶつかり合ってしまう。そこでスポルクは、コンサートまでの21日間、彼らを合宿に連れ出す。寝食を共にし、互いの音に耳を傾け、経験を語り合うことで、少しずつ心をひとつにしていくオーケストラの若者たち。しかし、コンサート前日にある事件が起こる。世界的指揮者のダニエル・バレンボイムが、米文学者のエドワード・サイードととともに1999年に設立し、イスラエルと、対立するアラブ諸国から集まった若者たちで結成された「ウェスト=イースタン・ディバン管弦楽団」をモデルに描いた。若者たちを導くスポルク役を「ありがとう、トニ・エルドマン」のペーター・シモニスチェクが演じる。

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2022-014M 「ベルファスト」☆☆☆★★★

Sbelfast原題:Belfast
邦題:ベルファスト
時間:98分
公開:2022-03-25
製作年度:2021
製作国:イギリス
配給:パルコ
製作総指揮:
製作:ローラ・バーウィック ケネス・ブラナー ベッカ・コバチック テイマー・トーマス
監督:ケネス・ブラナー
脚本:ケネス・ブラナー
原作:
撮影:ハリス・ザンバーラウコス
音楽:バン・モリソン
出演:カトリーナ・バルフ、ジュディ・デンチ、ェイミー・ドーナン、キアラン・ハインズ、ジュード・ヒル

俳優・監督・舞台演出家として世界的に活躍するケネス・ブラナーが、自身の幼少期の体験を投影して描いた自伝的作品。ブラナーの出身地である北アイルランドのベルファストを舞台に、激動の時代に翻弄されるベルファストの様子や、困難の中で大人になっていく少年の成長などを、力強いモノクロの映像でつづった。ベルファストで生まれ育った9歳の少年バディは、家族と友達に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごしていた。笑顔と愛に包まれた日常はバディにとって完璧な世界だった。しかし、1969年8月15日、プロテスタントの武装集団がカトリック住民への攻撃を始め、穏やかだったバディの世界は突如として悪夢へと変わってしまう。住民すべてが顔なじみで、ひとつの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断され、暴力と隣り合わせの日々の中で、バディと家族たちも故郷を離れるか否かの決断を迫られる。アカデミー賞の前哨戦として名高い第46回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞。
 叙情的な郷愁。ケン・ローチのアプローチが怒りと喪失であるのに対して、ケネス・ブラナーは慈しみと捨離でアイルランドを描く。トロント映画祭で観客賞?当然だろう。英連邦の悲劇の歴史に同胞として、刺さったのであろうから。

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2022-013M 「ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード」☆☆☆★★

Shitmanwives原題:HITMAN?S WIFE?S BODYGUARD』
邦題:ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード
時間:116分
公開:2022-04
製作年度:2020
製作国:アメリカ
配給:REGENTS、ハピネットファントム・スタジオ
製作総指揮:
製作:
監督:パトリック・ヒューズ
脚本:フィリップ・マーフィー、ブランドン・マーフィー
原作:トム・オコナー
撮影:
音楽:
出演:ライアン・レイノルズ、サミュエル・L・ジャクソン、サルマ・ハエック、アントニオ・バンデラス、モーガン・フリーマン

2021年6?に公開され、全?初登場1位となった本作は、2017年に公開され全?で3週連続1位の?ヒットとなった『ヒットマンズ・ボディガード』の第2弾。ライアン・レイノルズ演じる超?流ボディガードが、サミュエル・L・ジャクソン演じる最強の殺し屋を警護することから始まるコメディアクション。本作は、前作に続きライアン・レイノルズ、サミュエル・L・ジャクソン、サミュエル演じる殺し屋の妻役のサルマ・ハエックが続投するほか、アントニオ・バンデラス、モーガン・フリーマンの豪華キャストが集結?ボディガードと殺し屋という凸凹コンビが、世界規模のミッションに巻き込まれていく?。果たして世界を救うことはできるのか??
1997年の前作がコメディアクションの佳作なのにネットフリックス配信のみ。しかし続編の本作は立派に劇場公開される。めでたきことだ。前作で強烈な印象を残したサルマ・ハエックが弾ける。続投したパトリック・ヒューズ監督によるキャラクター造形のみごとさと、キレの良い演出が、観客の満足度を上げる。

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2022-012M 「ヒットマンズ・ボディガード」☆☆☆★★

Shitmanbodeyguard原題:The Hitman's Bodyguard
邦題:ヒットマンズ・ボディガード
時間:118分
公開:
製作年度:2017
製作国:アメリカ
配給:
製作総指揮:アビ・ラーナー トレバー・ショート ボアズ・デビッドソン ジェイソン・ブルーム ダグラス・アーバンスキー ジェフリー・グリーンスタイン ヤリフ・ラーナー マーク・ギル クリスティーン・オタール クリスタ・キャンベル ラティ・グロブマン
製作:ジョン・トンプソン マット・オトゥール レス・ウェルドン
監督:パトリック・ヒューズ
脚本:トム・オコナー
原作:
撮影:ジュールズ・オロフリン
音楽:アトリ・オーバーソン
出演:ライアン・レイノルズ、サミュエル・L・ジャクソン、ゲイリー・オールドマン、サルマ・ハエック

「デッドプール」のライアン・レイノルズと「キングコング 髑髏島の巨神」のサミュエル・L・ジャクソンが共演し、ひょんなことから凄腕の殺し屋を護衛することになったボディガードの奮闘を描いたアクションコメディ。一流ボディガードのブライスは任務中に依頼人を暗殺されてしまったことをきっかけに第一線を退き、金持ちの警護で日銭を稼いでいた。一方、殺し屋のキンケイドは服役中の妻ソニアの釈放を条件に、国際司法裁判所で裁かれる独裁者デュコビッチについて証言することに。しかし裁判所までの護送中にデュコビッチの手先に襲撃され、護送チームのほとんどが殺されてしまう。キンケイドを連れて隠れ家に潜伏した女性捜査官アメリアは内通者の存在を疑い、かつての恋人であるブライスに助けを求めるが……。共演にもゲイリー・オールドマン、サルマ・ハエックら豪華キャストが集結。「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」のパトリック・ヒューズが監督を務めた。

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2022-011M 「ブラックボックス 音声分析捜査」☆☆☆★

Sblackbox原題:Boite noire
邦題:ブラックボックス 音声分析捜査
時間:129分
公開:2022-01-21
製作年度:2021
製作国:フランス
配給:キノフィルムズ
製作総指揮:
製作:ワシム・ベシ チボー・ガスト マシアス・ウェバー
監督:ヤン・ゴズラン
脚本:ヤン・ゴズラン シモン・ムタイルー ニコラ・ブーベ=ルブラー
原作:
撮影:ピエール・コットロー
音楽:フィリップ・ロンビ
出演:ピエール・ニネ、ルー・ドゥ・ラージュ、アンドレ・デュソリエ

「イヴ・サンローラン」のピエール・ニネ主演で、旅客機墜落事故の真相究明にあたる音声分析官が航空機業界の闇を暴くサスペンススリラー。ヨーロピアン航空の最新型機がアルプスで墜落し、乗客乗務員316人全員が死亡。さらに、事故機のフライトレコーダー、通称「ブラックボックス」を開いた航空事故調査局の音声分析官ポロックが、謎の失踪を遂げる。ポロックから調査を引き継いだマチューは「コックピットに男が侵入した」と記者会見で発表。乗客にイスラム過激派と思われる男がいたことが判明したことで、マチューの分析は高く評価される。ポロックに代わる責任者としてさらなる調査を続けるマチューは、被害者の一人が夫に残した事故直前の留守電を聞く。しかし、その音がブラックボックスに残された音と違う事実にマチューは愕然とする。監督は「パーフェクトマン 完全犯罪」のヤン・ゴズラン。

 

 

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2022-010M 「真夜中乙女戦争」☆☆★★★

Sayonakaotomesensou邦題:真夜中乙女戦争
時間:113分
公開:2022-01-21
製作年度:2022
製作国:日本
配給:KADOKAWA
製作総指揮:
製作:堀内大示 藤島ジュリーK. 小川悦司 中田しげる 田中祐介 五十嵐淳之
監督:二宮健
脚本:二宮健
原作:F
撮影:堤裕介
音楽:堤裕介
出演:永瀬廉(私)、池田エライザ(先輩)、篠原悠伸(田中)、安藤彰則(松本)、山口まゆ(カナ)、佐野晶哉(佐藤)、成河(高橋)、渡辺真起子(教授)、柄本佑(黒服)


若者を中心に圧倒的支持を集める作家Fの小説「真夜中乙女戦争」を、「弱虫ペダル」の永瀬廉(King&Prince)主演で実写映画化。上京して1人暮らしを始めた大学生の“私”は、友達も恋人もできず鬱屈とした日々を送っていた。そんな中、「かくれんぼ同好会」で出会った冷酷で聡明な“先輩”に惹かれていく。さらに、圧倒的カリスマ性で他人の心を一瞬で掌握してしまう謎の男“黒服”との出会いにより、退屈だった私の日常は一変。始めは他愛のないイタズラを繰り返す彼らだったが、ささやかだった反逆は次第に過激さを増し、「真夜中乙女戦争」という名の東京破壊計画へと発展していく。“先輩”を「貞子」の池田エライザ、“黒服”を「アルキメデスの大戦」の柄本佑が演じる。監督・脚本は「チワワちゃん」の二宮健。

2018年秋に原作読んだ時、川村元気あたりが映画化狙いそうと書いたが、KADOKAWAだった。ともあれ、中2病こじらせた原作なので、映画も観客に高難度な共感と感情移入を要求するものになっていた。早い話が、高齢者の僕にはムリというものだ。

 

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2022-009M 「コンフィデンスマンJP 英雄編」☆☆☆★

Sconfidence2022邦題:コンフィデンスマンJP 英雄編
時間:127分
公開:2021-01-14
製作年度:2022
製作国:日本
配給:東宝
製作総指揮:
製作:小川晋一 松岡宏泰
監督:田中亮
脚本:古沢良太
原作:
撮影:板倉陽子
音楽:fox capture plan
出演:長澤まさみ(ダー子)、東出昌大(ボクちゃん)、小手伸也(五十嵐)、小日向文世(リチャード)、松重豊(丹波)、瀬戸康史(マルセル真梨邑)、城田優(ジェラール・ゴンザレス)、生田絵梨花(畠山麗奈)、広末涼子(韮山波子)、織田梨沙(モナコ)、関水渚(コックリ)、赤ペン瀧川(ちょび髭)、石黒賢(城ケ崎善三)、梶原善(奪われた男)、徳永えり(海上自衛官)、高嶋政宏(政府官僚)、生瀬勝久(ホー・ナムシェン)、真木よう子(謎の女)、角野卓造(三代目ツチノコ)、江口洋介(赤星栄介)

長澤まさみ、東出昌大、小日向文世が共演した人気テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版第3作。かつて悪しき富豪たちから美術品を騙し取り、貧しい人々に分け与えた「ツチノコ」という名の英雄がいた。それ以来、当代随一の腕を持つコンフィデンスマンが受け継いできた「ツチノコ」の称号をかけ、ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人がついに激突することに。地中海に浮かぶマルタ島の首都で、街全体が世界遺産に登録されているバレッタへやって来た彼らは、マフィアが所有する幻の古代ギリシャ彫刻「踊るビーナス」を手に入れるべく、それぞれの方法でターゲットに接近。そんな彼らに、警察やインターポールの捜査の手が迫る。江口洋介、広末涼子らシリーズでおなじみのキャストに加え、松重豊、瀬戸康史、真木よう子、城田優、生田絵梨花らが新たに参戦。
日本映画で珍しく肩のこらない娯楽作品シリーズとして、毎回観てしまう。年齢ターゲット広いし。

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2022-008M 「クライ・マッチョ」☆☆☆★

Scrymacho原題:Cry Macho
邦題:クライ・マッチョ
時間:104分
公開:2022-01-14
製作年度:2021
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
製作総指揮:デビッド・M・バーンスタイン
製作:クリント・イーストウッド アルバート・S・ラディ ティム・ムーア ジェシカ・マイヤー
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ニック・シェンク N・リチャード・ナッシュ
原作:N・リチャード・ナッシュ
撮影:ベン・デイビス
音楽:マーク・マンシーナ
出演:クリント・イーストウッド(マイク・マイロ)、ドワイト・ヨーカム(ハワード・ポルク)、エドゥアルド・ミネット(ラフォ)、ナタリア・トラヴェン(マルタ)、ホラシオ・ガルシア=ロハス(アウレリオ)、フェルナンダ・ウレホラ(レタ)

「許されざる者」「ミスティック・リバー」「アメリカン・スナイパー」など数々の名作を生み出してきたクリント・イーストウッドが監督・製作・主演を務め、落ちぶれた元ロデオスターの男が、親の愛を知らない少年とともにメキシコを旅する中で「本当の強さ」の新たな価値観に目覚めていく姿を描いたヒューマンドラマ。1975年に発刊されたN・リチャード・ナッシュによる小説を映画化した。かつて数々の賞を獲得し、ロデオ界のスターとして一世を風靡したマイク・マイロだったが、落馬事故をきっかけに落ちぶれていき、家族も離散。いまは競走馬の種付けで細々とひとり、暮らしていた。そんなある日、マイクは元の雇い主からメキシコにいる彼の息子ラフォを誘拐して連れてくるよう依頼される。親の愛を知らない生意気な不良少年のラフォを連れてメキシコからアメリカ国境を目指すことになったマイクだったが、その旅路には予想外の困難や出会いが待ち受けていた。
イーストウッドも、出演するには老いすぎてしまった。動きが高齢者すぎる。

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2022-007M 「エル プラネタ」☆☆☆★

Selplaneta原題:El Planeta
邦題:エル プラネタ
時間:82分
公開:2022-01-14
製作年度:2021
製作国:アメリカ・スペイン
配給:シンカ
製作総指揮:
製作:アマリア・ウルマン
監督:アマリア・ウルマン
脚本:アマリア・ウルマン
原作:
撮影:
音楽:chicken
出演:アマリア・ウルマン、アレ・ウルマン、チェン・ジョウ

ミレニアル世代を代表するアーティストとして注目を集めるアマリア・ウルマンの長編監督デビュー作で、脚本・主演・プロデュース・衣装デザインも自ら手がけた。アマリアと実母アレ・ウルマンが母娘役を演じ、生活苦に陥った母娘の虚構にまみれた日常を描く。ロンドンでの学生生活を終え、母が暮らすスペインの海辺の田舎町ヒホンに帰郷した駆け出しスタイリストのレオ。しかし母は破産寸前の状態で、アパートも立ち退きを迫られていた。母娘は崖っぷちの生活に追い込まれながらも、SNS映えするスタイリッシュな暮らしを求め、身の回りのものを売り、ハッタリをきかせてお金を稼ぎ、どうにかその日を生きていく。そんなある日、チープな雑貨店を訪れた母娘は、ロンドンから来たというハンサムな店員と知り合うが……。
主人公の母娘は、未来を全く喪失&イメージできないヨーロッパのメタファー。日々その瞬間を即物的享楽的に時の流れをやりすごし、目の前の解決すべき問題を、先の無い対症療法で順応していく母娘。破綻への崖っぷち、塀の上をヨタヨタと毛皮のコートで歩いていく。この異常などん詰まり感は、奇しくもこの前の時間に観た「アネット」の監督の出世作「ポンヌフの恋人」のデッドエンドに共通する。ヨーロッパの、歴史に押し潰されて血反吐を吐いてるような終末感が溢れる。スクリーンで、街の風景に行き交う人々は、ほとんど圧倒的な高齢者ばかりなのも、そんな意味を現している。

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2022-006M 「アネット」☆☆☆★

Snett原題:Annette
邦題:アネット
時間:140分
公開:2022-04-01
製作年度:2020
製作国:フランス・ドイツ・ベルギー・日本・メキシコ
配給:ユーロスペース
製作総指揮:
製作:
監督:レオス・カラックス
脚本:ロン・マエル
原作:スパークス
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ
音楽:スパークス
出演:アダム・ドライヴァー、マリオン・コティヤール

「ポンヌフの恋人」「汚れた血」などの鬼才レオス・カラックスが、「マリッジ・ストーリー」のアダム・ドライバーと「エディット・ピアフ 愛の讃歌」のマリオン・コティヤールを主演に迎えたロック・オペラ・ミュージカル。ロン&ラッセル・メイル兄弟によるポップバンド「スパークス」がストーリー仕立てのスタジオアルバムとして構築していた物語を原案に、映画全編を歌で語り、全ての歌をライブで収録した。スタンダップコメディアンのヘンリーと一流オペラ歌手のアン、その2人の間に生まれたアネットが繰り広げるダークなおとぎ話を、カラックス監督ならではの映像美で描き出す。ドライバーがプロデュースも手がけた。2021年・第74回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。
 レオス・カラックスという、ある意味で観客に対して傲慢極まりない監督の最新作。かつてサブカル的に大ヒットした「ポンヌフの恋人」がロングランした渋谷のユーロで試写があるのも因縁か。場所は変わったけどね。
 ともあれ、マゾヒスティックにポンヌフを褒めそやした日本のシネフィルたちは、その後もカラックス(の新作にして最高傑作という惹句)に翻弄され続けて、今日に至る。と言ってよいだろう。カラックス作品は僕たちが愛して止まない「単館系」の夢であり象徴なのだから。
 しかし、今回はハリウッドのアカデミー俳優でロックミュージカル!全編が「シェルブールの雨傘」のように歌い続ける?そりゃ無理があるだろう!何なんだコレは?ドニ・ラヴァンが哲学的に右往左往するのじゃないのか?そうなれば、ぜひ目撃者にならねばいけない。その結果が大いなる失望であろうとも、140分をカラックスに捧げよう。だって、僕だってマゾヒスティックなシネフィルなのだから。
 ファーストインプレッションで語るべき事のメモ。タイトルロールのマネットの描写。エンドロールのカーテンコール。シェイクスピア的な、ギリシア悲劇的な、宿命と欲望のホラーサスペンスに後半は変貌する。そしてクライマックスのデュエットはミュージカル映画史に残るインパクトがある。

 

 

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2022-005M 「truth 姦しき弔いの果て」☆☆☆★★

Struth邦題:truth 姦しき弔いの果て
時間:71分
公開:2022-01-07
製作年度:2021
製作国:日本
配給:ラビットハウス
製作総指揮:鬼頭理三
製作:広山詞葉 福宮あやの 河野知美
監督:堤幸彦
脚本:三浦有為子
原作:堤幸彦
撮影:唐沢悟
音楽:魚返明未
出演:広山詞葉(九条真弓)、福宮あやの(栗林マロン)、河野知美(小林さな)、佐藤二朗(ある男性)

数多くの商業作品でメガホンをとってきた堤幸彦監督が、自身の記念すべき映画監督50作目として手がけた自主制作映画で、同じ男を愛した3人の女が本音むき出しでぶつかりあう姿を描いたコメディ会話劇。ある男が事故死した。葬儀が終わった夜、一等地にある男のアトリエに、喪服姿の3人の女が現れる。マウント命な美貌の受付嬢、元不良のシングルマザー、謎多きセレブ医師という全くタイプの異なる彼女たちと、男は3年前から同時に付き合っていたのだった。思いがけず鉢合わせした3人は、己のプライドをかけて舌戦を繰り広げ、やがてある真実にたどり着く。「ひとつぼっち」の広山詞葉、声優の福宮あやの、「父の愛人」の河野知美が主演を務め、佐藤二朗が共演。堤監督の原案を基に、「明日の記憶」の三浦有為子が脚本を手がけた。

 

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2022-004M 「永遠の1分。」☆☆☆

Seiennnoippun邦題:永遠の1分。
時間:97分
公開:2022-03-04
製作年度:2022
製作国:日本
配給:イオンエンターテイメント
製作総指揮:井上裕 坂岡功士 有馬一昭 宇治重喜
製作:奥出緑 小川貴弘 村上凌太 田中茂裕 梶原剛 中福島健斗
監督:曽根剛
脚本:上田慎一郎
原作:
撮影:
音楽:鈴木伸宏 伊藤翔磨
出演:マイケル・キダ、Awich、毎燕克哉、片山萌美、ライアン・ドリース

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2022-003M 「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」☆☆☆★★

Spidernowayhome原題:Spider-Man: No Way Home
邦題:スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム
時間:149分
公開:2022-01-07
製作年度:2021
製作国:アメリカ
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
製作総指揮:ルイス・デスポジート ビクトリア・アロンソ ジョアン・ペリターノ レイチェル・オコナー アビ・アラド マット・トルマック
製作:ケビン・ファイギ エイミー・パスカル
監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケンナ エリック・ソマーズ
原作:スタン・リー スティーブ・ディッコ
撮影:マウロ・フィオーレ
音楽:マイケル・ジアッキノ
出演:トム・ホランド(スパイダーマン/ピーター・パーカー)、ゼンデイヤ(MJ)、ベネディクト・カンバーバッチ(ドクター・ストレンジ)、ジョン・ファヴロー(ハッピー・ホーガン)、ジェイコブ・バタロン(ネッド)、マリサ・トメイ(メイおばさん)、アルフレッド・モリナ(ドック・オク)、ウィレム・デフォー(グリーン・ゴブリン)、ジェイミー・フォックス(エレクトロ)

「スパイダーマン ホームカミング」「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」に続く、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に属する「スパイダーマン」シリーズの第3弾。MCU作品の「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」「アベンジャーズ エンドゲーム」でもスパイダーマンと共闘した、ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジが登場する。前作でホログラム技術を武器に操るミステリオを倒したピーターだったが、ミステリオが残した映像をタブロイド紙の「デイリー・ビューグル」が世界に公開したことでミステリオ殺害の容疑がかけられてしまったうえ、正体も暴かれてしまう。マスコミに騒ぎ立てられ、ピーターの生活は一変。身近な大切な人にも危険が及ぶことを恐れたピーターは、共にサノスと闘ったドクター・ストレンジに助力を求め、魔術の力で自分がスパイダーマンだと知られていない世界にしてほしいと頼むが……。サム・ライミ監督版「スパイダーマン」シリーズに登場したグリーン・ゴブリンやドック・オク、マーク・ウェブ監督版「アメイジング・スパイダーマン」シリーズのエレクトロなど、過去のシリーズ作品から悪役たちが時空を超えて登場。それぞれウィレム・デフォー、アルフレッド・モリーナ、ジェイミー・フォックスら当時のキャストが再登板した。
歴代のスパイダーマンが全員登場という荒唐無稽。過去清算。で、ストレンジが最強なのじゃないかなというくらいハチャメチャ。

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2022-002M 「キングスマン ファースト・エージェント」☆☆☆★★

Skingsmanfitstagent原題:The King's Man
邦題:キングスマン ファースト・エージェント
時間:131分
公開:2021-12-24
製作年度:2021
製作国:アメリカ
配給:ディズニー
製作総指揮:マーク・ミラー デイブ・ギボンズ スティーブン・マークス クローディア・シファー レイフ・ファインズ
製作:マシュー・ボーン デビッド・リード アダム・ボーリング
監督:マシュー・ボーン
脚本:マシュー・ボーン カール・ガイダシェク
原作:マシュー・ボーン、マーク・ミラー デイブ・ギボンズ
撮影:ベン・デイビス
音楽:マシュー・マージソン ドミニク・ルイス
出演:レイフ・ファインズ(オーランド・オックスフォード公)、ハリス・ディキンソン(コンラッド・オックスフォード)、ジャイモン・フンスー(ショーラ)、ジェマ・アータートン(ポリー・ワトキンズ)、リス・エヴァンス(グリゴリー・ラスプーチン)、トム・ホランダー(ドイツ皇帝ヴィルヘルム)、チャールズ・ダンス(キッチナー)、マシュー・グード(モートン)、ダニエル・ブリュール(エリック)、ヴァレリー・パフナー(マタ・ハリ)、アーロン・テイラー=ジョンソン(アーチー・リード)

スタイリッシュな英国紳士が過激なアクションを繰り広げる人気スパイアクション「キングスマン」シリーズの3作目。第1次世界大戦を背景に、世界最強のスパイ組織「キングスマン」誕生の秘話を描く。表向きは高級紳士服テーラーだが実は世界最強のスパイ組織という「キングスマン」。国家に属さない秘密結社である彼らの最初の任務は、世界大戦を終わらせることだった。1914年、世界大戦を裏でひそかに操る闇の組織に対し、英国貴族のオックスフォード公と息子のコンラッドが立ち向かう。人類破滅へのカウントダウンが迫るなか、彼らは仲間たちとともに闇の組織を打倒し、戦争を止めるために奔走する。「ハリー・ポッター」シリーズでも知られる英国の名優レイフ・ファインズがオックスフォード公、「マレフィセント2」「ブルックリンの片隅で」の新鋭ハリス・ディキンソンが息子のコンラッドを演じた。彼らの前に立ちふさがる敵でもある怪僧ラスプーチンには個性派俳優のリス・エバンスが扮した。監督、脚本、製作はシリーズ全作を手がけるマシュー・ボーン。
サーベルの鍔の見た目というアングルは初体験。効果的とは思わないが。

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2022-001M 「消えない罪」☆☆☆★★

Sienaitsumi原題:The Unforgivable
邦題:消えない罪
時間:114分
公開:2021-11-26
製作年度:2021
製作国:アメリカ
配給:Netflix
製作総指揮:ナン・モラレス コリン・ベインズ サリー・ウェインライト ニコラ・シンドラー
製作:グレアム・キング サンドラ・ブロック ベロニカ・フェレ
監督:ノラ・フィングシャイト
脚本:ピーター・クレイグ ヒラリー・サイツ コートネイ・マイルズ
原作:サリー・ウェインライト
撮影:ギレルモ・ナバロ
音楽:ハンス・ジマー デビッド・フレミング
出演:サンドラ・ブロック、ヴィンセント・ドノフリオ、ヴィオラ・デイヴィス、ジョン・バーンサル、リチャード・トーマス、リンダ・エモンド、アシュリン・フランチオージ、ロブ・モーガン

「しあわせの隠れ場所」「ゼロ・グラビティ」のサンドラ・ブロックが、許されぬ罪を背負って生きる元受刑者を演じたヒューマンサスペンス。過去に犯してしまった殺人の罪で服役し、20年の刑期を終えて刑務所から出所したルース・スレイター。しかし、罪を償って社会に出たはずの彼女を待ち受けていたのは、過去の罪が許されない世界だった。社会に溶け込むことができずに孤立し、安息を求めて訪れた故郷の地でも厳しい批判にさらされ、行き場をなくしていくルース。そんな彼女が罪を償うことができる唯一の手段は、昔、とある理由で置き去りにしてしまい、離れ離れになってしまった妹を捜すことだった。サンドラ・ブロックが主演のほか製作も務め、2019年・第69回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(アルフレッド・バウアー賞)を受賞した「システム・クラッシャー 家に帰りたい」で注目されたドイツの新鋭ノラ・フィングシャイトがメガホンをとった。共演にビンセント・ドノフリオ、ビオラ・デイビス。Netflixで2021年12月10日から配信。それに先立つ11月26日から一部劇場で公開。
演技派としての主張とともに<獲りに>いったタイプのサンドラ・ブロック映画。Netflixだからこそ実現する企画かもしれない。

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