2021-182M 「先生、私の隣に座っていただけませんか?」☆☆☆★★
邦題:先生、私の隣に座っていただけませんか?
時間:119分
公開:2021-09-10
製作年度:2021
製作国:日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ
製作総指揮:
製作:中西一雄 小西啓介 鳥羽乾二郎 久保田修
監督:堀江貴大
脚本:堀江貴大
原作:
撮影:平野礼
音楽:渡邊琢磨
出演:黒木華(早川佐和子)、柄本佑(早川俊夫)、金子大地(新谷歩)、奈緒(桜田千佳)、風吹ジュン(下條真由美)
黒木華と柄本佑が演じる漫画家夫婦の虚実が交錯する心理戦を描いたドラマ。漫画家・佐和子の新作漫画「先生、私の隣に座っていただけませんか?」。そこには、自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれ、さらに佐和子の夫・俊夫と編集者・千佳の不倫現場がリアルに描かれていた。やがて物語は、佐和子と自動車教習所の先生との淡い恋へと急展開する。この漫画は完全な創作なのか、ただの妄想なのか、それとも夫に対する佐和子からの復讐なのか。現実そっくりの不倫漫画を読み進めていく中で、恐怖と嫉妬に震える俊夫は、現実と漫画の境界が曖昧になっていく。佐和子役を黒木、俊夫役を柄本が演じ、金子大地、奈緒、風吹ジュンらが顔をそろえる。監督は「ANIMAを撃て!」「いたくてもいたくても」の堀江貴大。オリジナル企画のコンテスト「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2018」の準グランプリ受賞作品の映画化。
黒木華が大好きだから観た。のが本当。
書き進められている物語と、いまそこに有る現実とがシンクロしていく発想は、小説と現実を行き来する「鳩の撃退法」(タカハタ秀太監督)と同様だが、こちらはマンガ。それゆえ、描かれているマンガのコマから実写への転換が自然で、観客に虚実の錯覚をうまく引き起こす。「鳩の撃退法」は絡み合った荒唐無稽な犯罪に巻き込まれるストーリーだが、こちらは不倫。果たして夫の不倫を妻は知ったのか?復讐で妻も不倫をしたのか?漫画家の妻が私小説的に描く物語は真実なのか?フィクションなのか?それを読む唯一の読者である夫は妻の不倫を信じるのか?なかなか見せる脚本だ。少なくとも「鳩」より発想の生かし方がうまい。なぜなら「鳩」は佐藤正午原作の小説だからかもしれない。小説家がこのテーマ(作品と現実のシンクロ)とを発想すれば、「作品」は「いままさに、書かれ続けている小説」になるのは自明だろう。本作は映画向けの作品コンテストの準グランプリが原作という。映画的なアプローチならばマンガとのシンクロは当然な帰結なのだろう。「鳩」は原作のために映画的に窮屈になり、本作は見事に映画的にドラマが飛翔している。脚本の整理が少々もたつく場面もあるが、それでもラストカットまで謎を秘めて終わらせる仕上がりに満足する。
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