2018-194M 「あなたはまだ帰ってこない」☆☆☆★★

邦題:あなたはまだ帰ってこない
時間:127分
公開:2018-02-22
製作年度:2017
製作国:フランス・ベルギー・スイス
配給:ハーク
製作総指揮:
製作:イエール・フォジール、レティシア・ゴンザレス、ミヒェル・メルクト
監督:エマニュエル・フィンケル
脚本:エマニュエル・フィンケル
原作:マルグリット・デュラス
撮影:アレクシ・カビルシーヌ
音楽:
出演:メラニー・ティエリー、ブノワ・マジメル、バンジャマン・ビオレ、グレゴワール・ルプランス=ランゲ、エマニュエル・ブルデュー
「愛人 ラマン」などで知られる作家マルグリット・デュラスが1985年に発表した自伝的小説「苦悩」を映画化。1944年、ナチス占領下のフランス。若き作家マルグリットは夫ロベール・アンテルムとレジスタンス運動に身を投じていた。ある日、夫がゲシュタポに逮捕されてしまう。マルグリットは愛する夫を取り戻すため、ゲシュタポの手先であるラビエと危うい関係を築き、情報を得る。しかしパリ解放後も夫の不在は続き、マルグリットは心身ともにぼろぼろになりながら彼の帰りを待つが……。マルグリットを「海の上のピアニスト」のメラニー・ティエリー、彼女に近づくゲシュタポの手先ラビエを「ピアニスト」のブノワ・マジメル、マルグリットを支えるレジスタンス運動の仲間ディオニスをミュージシャンのバンジャマン・ビオレがそれぞれ演じる。
現代によみがえるヌーベルヴァーグである。そんな連想をしてしまう映画表現の手法。林光や武満徹を思わせる不協和音で構成された劇音楽と唐突な現場音。ゴダールやキエシロフスキの助監督をしていたというフィンケル監督。大島渚にも影響うけてるのでは、とも想像してしまう。ともあれ、マルグリット・デュラスを主人公にしているわけで、彼女のキーワードともなる「かくも長き不在」「二十四時間の情事」「五月革命」等々の未来を、本作の若きデュラスが予感させていく。パリ解放後にドイツから帰還する夫(すでに愛していないかもしれない)を待ち続ける妻の姿の統合失調ぶりは「かくも長き不在」に接続し、待つ相手は映画の台詞では「夫」であるものの、朗読される日記(原作)では「男」となっている残酷なる相反性にデュラスの<苦悩>の本質を見る。
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