« 2018-180M 「ロッキー4 炎の友情」☆☆☆★ | トップページ | 2018-182M 「来る」☆☆☆ »

2018-181M 「女王陛下のお気に入り」☆☆☆★★★

Jooheikanookiniiri 原題:The Favourite
邦題:女王陛下のお気に入り
時間:120分
公開:2019-02
製作年度:2018
製作国:アイルランド・アメリカ・イギリス
配給:20世紀フォックス映画
製作総指揮:
製作:セシ・デンプシー、エド・ギニー、リー・マジデイ、ヨルゴス・ランティモス
監督:ヨルゴス・ランティモス
脚本:デボラ・デイビス、トニー・マクナマラ
原作:
撮影:
音楽:
出演:オリビア・コールマン(アン女王)、エマ・ストーン(アビゲイル)、レイチェル・ワイズ(レディ・サラ)、ニコラス・ホルト、ジョー・アルウィン
「ロブスター」「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」で注目を集めるギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督が、18世紀イングランドの王室を舞台に描いた歴史サスペンス。2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査員グランプリを受賞し、王女アンを演じたオリビア・コールマンも女優賞を受賞した。18世紀初頭、フランスとの戦争下にあるイングランド。女王アンの幼なじみレディ・サラは、病身で気まぐれな女王を動かし絶大な権力を握っていた。そんな中、没落したサラの従妹アビゲイルが召使いとして参内し、レディ・サラもアン女王も彼女の魅力に惹きつけられる。レディ・サラはアビゲイルを支配下に置くが、一方でアビゲイルは再び貴族の地位に返り咲く機会を狙っていた。戦争をめぐる政治的駆け引きが繰り広げられる中、サラとの友情を通してチャンスをつかもうとするアビゲイルだったが……。出演はコールマンのほか、「ラ・ラ・ラ・ンド」のエマ・ストーン、「ナイロビの蜂」のレイチェル・ワイズ、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のニコラス・ホルトほか。
過剰なまでのサウンドとピクチャー。魚眼、超広角、標準、望遠、さまざまなレンズを駆使した映像の情報量の洪水に圧倒される。そして重層的に音を重ね塗りした音圧の凄さ。静寂である状況でさえ大音圧を感じる。それらが鬼才ヨルゴス・ランティモス監督が描く物語の<演出>の一翼を担っている。ランティモス監督が前作「聖なる鹿殺し」で描いた、絶妙なバランスで保たれ安定していた人間関係に対して、異物としての登場人物が加わると、あたかも熱湯を一滴づつ滴り落された砂糖菓子の城郭の崩壊のように<状況>が崩れていく悲劇。本作では18世紀のフランスと泥沼の戦争が続くイングランドが舞台。アン女王(オリビア・コールマン)と側近のレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)によって戦争は継続され議会は疲弊している。そこへサラの従妹と称するアビゲイル(エマ・ストーン)が落ちぶれてサラを頼ってくる。という人間関係で言えば異物がアビゲイルなのだが、彼女が女王を誑し込み、サラを罠に嵌め、遂にはイングランドの未来まで改変しようとしていく怪物ぶりを描くホラー作品。黒板を爪でひっかくような軋む人間関係のドラマをさらに音と映像の厚塗りが禍々しさを増幅していく。豪華絢爛なセットと衣装で繰り広げられる、美しくも腐乱臭が漂うスクリーンに釘付けにされる。三人の女優らの、映画全編で徐々に変貌していく力関係に、表情と佇まいを表現する演技力が光を放ち、圧倒される。今年のベネチア映画祭で審査員グランプリを受賞しているが、オリビア・コールマンも女優賞を受賞。

|

« 2018-180M 「ロッキー4 炎の友情」☆☆☆★ | トップページ | 2018-182M 「来る」☆☆☆ »

映画・テレビ」カテゴリの記事

洋画 さ行」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2018-181M 「女王陛下のお気に入り」☆☆☆★★★:

« 2018-180M 「ロッキー4 炎の友情」☆☆☆★ | トップページ | 2018-182M 「来る」☆☆☆ »