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ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ ☆☆☆★★

Vijonwife 邦題:ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~
時間:114分
公開:2009-10-10
製作年度:2009
製作国:日本
配給:東宝、フジテレビ
製作総指揮:
製作:前田久閑、木幡久美、菊地美世志
監督:根岸吉太郎
原作:太宰治
脚本:田中陽造
撮影:柴主高秀
音楽:吉松隆
出演:松たか子(佐知)、浅野忠信(大谷)、室井滋(巳代)、伊武雅刀(吉蔵)、広末涼子(秋子)、妻夫木聡(岡田)、堤真一(辻)

根岸吉太郎監督がしっかりと丁寧に作り上げた「文芸もの」。昨今は「文芸もの」というジャンルが少なく、(といっても「携帯小説の実写化」というパチもの 文芸映画はあるが)そのあたりが日本の映画観客にどう伝わるか、ビジネス的には大博打かな。太宰原作ってことで、生誕100年の話題もあっての映画化企画 ということだろう。俳優もきちんと選んでいるようだが、作品になってみると妻夫木聡は残念ながらミスキャストだと思う。松たかこは頑張ってるけど、「夫が 心中」と警察から聞かされたときのリアクションがちょっと妙。もう少しショックを出してほしい。とはいえ、登場する男たちに愛され、言い寄られるという役 柄。本人はそういう「男を誘引するフェロモン」の自覚がないあっけらかんとした刹那的にものごとに対応するだけの白痴的な女。生きる、というより「生き ちゃってる」という受動的な「生」。男性(太宰)目線のジェルソミーナ・コンプレックスと言わせてもらおう。そんな女、いるわきゃないのにね。ところで、 そんなジェルソミーナ佐知も、クライマクッスでは「生きちゃってる」のではなく「生きる」ことを選択し、静かに檄していく。ある意味では太宰が求めて止ま ない女性像なのかもしれない。ところで、この映画も広末が重要な役回りで出演しているけど、彼女の使い方としては根岸監督の勝ち。出番は少ないけど、ふと 印象的に見せる表情や動きに役柄がよく出ていた。正面から顔を写していないし、眼鏡かけさせて茫洋さを逃がしているし。こちらの広末は良い。

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