エレニの旅 2005,5,27

邦題:エレニの旅
時間:170分
公開:2005
製作年度:2004
製作国:フランス/ギリシャ/イタリア
配給:
製作総指揮:
製作:
監督:テオ・アンゲロプロス
脚本:テオ・アンゲロプロス 、トニーノ・グエッラ 、ペトロス・マルカリス 、ジョルジオ・シルヴァーニ
原作:
音楽:エレニ・カラインドロウ
出演:アレクサンドラ・アイディニ 、ニコス・プルサディニス 、ヴァシリス・コロヴォス 、ヨルゴス・アルメニス 、エヴァ・コタマニドゥ
今年の洋画のベスト3に入る傑作。3時間ちかくあるし、ワンカットはやたら長いし、本当なら5分で退場っていうタイプになるはずなのに、3時間見せきってしまう。6年ぶりの作品っていうし、撮影に2年かけたっていうし、もうスケールが違うの。最初のカットから圧倒されて、あとは座席に釘付け。エレニがソビエトからの難民と一緒に引き上げる長々とした集団シーン。一分の隙もない人間配置と画面構成。そして成長したエレニが川を船にのって村へ帰って来るシーン。ワンカットで上陸から家へ向かう数分が語られる。往来を行く人々や学校の子供たちの動き、歩くエレニとすれ違う村人たちの全てが位置や動きやスピードが計算されて尽くして統制のとれた舞踏のような指示で自然な寒村の風景を表現している。全てのカットに細かな映像計算がされていて、物語とともに次の映像を待ち望むの。ああ、この気持ちをどう表現したらいいのかしら。「映画」の凄さを映像作品であるという点で思い知らされてしまう作品なのね。語られる物語で思い知らされたのが「ミリオン・ダラー・ベイビー」なら、こちらは映像美。エレニという一人の女性の一代記が軸になっていて、それはそれは悲劇的な終焉となるけど、まさにギリシアが培った「悲劇」なの。一人ぼっちで登場して、最後に再び一人ぼっちになり慟哭するエレニ。最後の慟哭は一人でなかった幸せを知ってしまったことによる、最初の一人ぼっちとは比べ物にならない孤独感。何も判らない幼女時代の一人ぼっちじゃなく、人を愛し、育み、といった人生を過ぎ超えた末の「人間」としての究極の悲しさをエレニが背負っていく。そんな悲劇が緊張感あふれる映像で描かれていくのを眺める映画好きには「至福」の3時間。絶対、知って欲しい。これが映画なの。
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