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祖国へ

「祖国へ」The long way home 鑑賞 1998/10/17
【監  督】
【特  筆】第70回アカデミー賞ドキュメンタリー部門賞

NHKで放送していたのをビデオに録画して放っておいた作品。台風で何もする事がないんで「どんなものかな」って軽い気持ちで鑑賞。だって、やっぱり第二次大戦下のユダヤ人の悲劇って欧米の人たちに比べれば日本人は馴染みがないものね。歴史上の知識として知っていたり、アンネの日記も中学生の頃読んだりしたけど、でも判らない。祖国を失った民族が艱難辛苦のうえ取り戻す物語は(密入移民船)エクソダス号の英雄物語として誇らしげに語られているし、どうやら映画にもなっているらしい。そんなことはどうでもいいの。私たちが例えばベトナム戦争を題材にした映画に共感できなかったり、病んでいるアメリカを描いた映画に「や~な気分」になったりするのと同じような違和感をこの作品でも感じる。ドキュメンタリーとして成立させる多分最後のチャンスだったろうけど(そうよね、戦後53年もたっていて、その歴史に翻弄された人はもういなくなりつつあるものね)でもそれはユダヤ系の人々の記録でしかない。アカデミー賞というブランドが必要である意味を感じない。日本人がかつて朝鮮半島や中国大陸で現地の人たちに悲惨な状況をしいた事もある歴史を、真実を真実で認識しておけばいいわけだし、その事実を別の意味での政治的プロパガンダで道具として使っていこうというのは大嫌い。だから、ユダヤ人が歴史的に苦労して、ホロコーストを生き残って国家を設立したことは感動的だけど、あくまで歴史の記述にしかすぎないはず。ドキュメント映像の<今が語る最後のチャンス>という迫力や構成の素晴らしさは感じるけど、でもAyaringには芸術性は感じない。それは芸術性=作為だから。ドキュメンタリーには作為はあっちゃいけないと思う。だから、アカデミー賞受賞という一点だけに納得できないな。

【結論】無冠であることに意味があるならば、この作品は無冠であるべきだったと思う。

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