中国女
「中国女」 原題:La Chinoise 1967フランス 鑑賞 1999/02/16
【監 督】 ジャン・リュック・ゴダール
【キャスト】アンヌ・ヴィアゼムスキー/ジャン=ピエール・レオー/ミシェル・セメニアコ/レックス・デ・ブルイン/ジュリエット・ベルト
「赤」が印象的。残念ながら、時代はママの高校生の頃の話だしね。文化大革命に翻弄された京劇の俳優を主人公にした「さらば、わが愛」に超感動したこともあって、その当時の生の映画が見たいと思っていた。で、ビデオを借りてきたんだけど、なんか全然わからない。理解されることを拒絶するような映画。多分、ソ連も元気良くて、冷戦の時代。ベトナムでは東西の代理戦争をしていて、中国は文化大革命。毛沢東が、その後、四人組の傀儡になっていたんなてことを露とも知らないで盲信していたフランスの若者。だから、今みると、悲しいくらいに一生懸命に革命を信じている。もちろん、登場人物じゃなくて、多分、ゴダール監督自身が。そういうメッセージを送る手段として映画という手法をとっているんだろうと思う。これはもう、想像するしかない。だって、全てが、多分、共産主義という思想そのものが全否定されてしまった今、そういうものを信じていた人が沢山いた、ということが、もう、想像を超えている世界なんだもの。でも、この映画に出てきている俳優たちが演じている大学生(しかも夏休み)たちは、多分、この時代の大学生のある部分を象徴しているのだろうし、ここまで、政治というものに関わったり、真剣になったりしているという事が過去にはあったんだというところに驚きがある。だって、彼らだって、映画を見たり、スキーをしたり、海水浴したり、女の子や男の子を好きになったりという、あたりまえのこともしてたはず。それなのに、まだ政治を語る、というか、テロリズムを真剣に検討しているという日常が、もう信じられない。こんな時代にママやパパは学生してたんだってビックリ。映画そのものは全く、メッセージをただ叫んでいるだけに見えるし、脈絡やストーリーも追えないし、というよりストーリーがあるのかさえ判らないので、理解は全然できなかったけど、存在の背景を感じることは出来た。その後、落ちた偶像になったとはいえ、当時の毛沢東は、革命の象徴としてはすっごく偉大だったんだろうしね。不遜にも、オウム真理教を感じてしまった。思想は宗教と同じ精神活動って感じがした。ときおり、挿入されるチャプターの文字やアジテーションの文字は、印象的。あと、画面が「赤」をキーに構成されているのも印象的。奇麗。ジャン・ピエール・レオという俳優も繊細な感じで素敵。デカプリオよりいいかも。でも、多分、当時は、もっと、別の意味を持っていたんだろうなぁ。今はただ、ポップなだけにしか見えないけど。
【結論】一生懸命になれる対象が<政治>なのは嫌。
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