グッバイ、レーニン! 2004,9,9
原題:GOOD BYE LENIN!
邦題:グッバイ、レーニン!
時間:121分
公開:2004
製作年度:2003
製作国:ドイツ
配給:GAGA
監督:ヴォルフガング・ベッカー
脚本:ヴォルフガング・ベッカー 、ベルント・リヒテンベルグ
原作:
音楽:ヤン・ティルセン
製作:
出演:ダニエル・ブリュール 、カトリーン・ザース 、マリア・シモン 、チュルパン・ハマートヴァ 、フロリアン・ルーカス
見逃したんでわざわざ飯田橋ギンレイという名画座へ。名画座って久しぶりだったけど、こんなに混むのね。満席。2本立てでお得だもの。出るときも劇場前は長蛇の列だったし、びっくり。それはさておき、映画は想像以上に面白かった。っていうより、ラストに映画が実はものすごくシニカルに逆説をプロパガンダしてるって正体が明らかにされて、感動させられてしまった。本当は別の、もっと母息子のベタな感動ものかと思ったのに。世界は何が幸せだったのかっていう壮大なテーマ。東ドイツってなんだたんだろう。1960年代の東西ドイツはスパイ映画の定番舞台だったけど、多分そのころの映画は西側からの「悪の枢軸・東ドイツ」というステレオタイプな冷血殺人鬼イメージしか自由圏では与えられていなかったって思うし、ってそんな時代はリアルタイムじゃ知らないけど。でもこの映画が描いている社会主義国ドイツは、どこにでもある普通の世界。そして、その世界が崩壊することが「西側の勝利」であったか、っていう回答は間違っているかもしれないっていうカーテンの裏側の模様を、この映画は見せてくれたと思う。そういう意味ではもっと慎重に語られるべき映画かもしれないし、たんなる青春コメディファミリー感動映画っていう単純なカテゴリに入れるべきじゃないと思う。この映画は十分政治的だし、人間が生きる価値観の多様性と、幸福のベクトルの多様性を考えさせる挑発をするプロパガンダ映画とも言えるわ。崩壊した東ドイツがまだ存在していると母親に思わせるためのすったもんだが、そのうち理想とする国家が、自分が母親に見せている虚構の「西ドイツが崩壊して東ドイツに統合される」パラレルワールドへ変貌していく過程が「狂っているのは檻の向こう側かこっち側か」っていう眩暈をおこさせる「まぼろしの市街戦」と同様にメビウスの輪のようなパラドックスにはめていく。
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