原題:A Complete Unknown
邦題:名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN
時間:142分
公開:2025-02-28
製作年度:2024
製作国:アメリカ
配給:ディズニー
製作総指揮:マイケル・ベダーマン ブライアン・カバナー=ジョーンズ アンドリュー・ローナ
製作:フレッド・バーガー ジェームズ・マンゴールド アレックス・ハインマン ボブ・ブックマン ピーター・ジェイセン アラン・ガスマー ジェフ・ローゼン ティモシー・シャラメ
監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェームズ・マンゴールド ジェイ・コックス
原作:
撮影:フェドン・パパマイケル
音楽:ニック・バクスター
出演:ティモシー・シャラメ、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルック、ダン・フォグラー、ノーバート・レオ・バッツ、スクート・マクネイリー
2016年に歌手として初めてノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの若い日を描いた伝記ドラマ。「デューン 砂の惑星」「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」のティモシー・シャラメが若き日のボブ・ディランを演じ、「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」「フォードvsフェラーリ」などを手がけてきた名匠ジェームズ・マンゴールドがメガホンをとった。
1961年の冬、わずか10ドルだけをポケットにニューヨークへと降り立った青年ボブ・ディラン。恋人のシルヴィや音楽上のパートナーである女性フォーク歌手のジョーン・バエズ、そして彼の才能を認めるウディ・ガスリーやピート・シーガーら先輩ミュージシャンたちと出会ったディランは、時代の変化に呼応するフォークミュージックシーンの中で、次第にその魅了と歌声で世間の注目を集めていく。やがて「フォーク界のプリンス」「若者の代弁者」などと祭り上げられるようになるが、そのことに次第に違和感を抱くようになるディラン。高まる名声に反して自分の進む道に悩む彼は、1965年7月25日、ある決断をする。
ミネソタ出身の無名のミュージシャンだった19歳のボブ・ディランが、時代の寵児としてスターダムを駆け上がり、世界的なセンセーションを巻き起こしていく様子を描いていく。ボブ・ディラン役のティモシー・シャラメのほか、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルックらが共演。
原作がイライジャ・ウォルドの著書『Dylan Goes Electric』である。故に、ニューポートフェスでエレキバンドをバックにトリをとって物議をかもしたシーンをクライマックスとしている。というわけで本作は、アコースティック時代のボブ・ディランを描いた作品だ。ディラン役のティモシー・シャラメが製作にも入っての渾身の演技。そして歌唱シーンは多くのシンガー映画と違い、シャラメ自身が歌っている。しかも声も良く、上手い。それだけで、このギター演奏も含めて、ハイレベルに至る鍛錬を想像すると、大きな賞を与えたくなる気分は理解できる。2時間半ちかい長尺だが、この手の音楽伝記では『楽曲をきちんと聞かせる』必要がある結果で、大筋だけなら100分もあればいいだろう。だが、クオリティの高いボブ・ディランやジョーン・バエズらの歌唱シーンも十分に満足できるので、長尺も気にならない。フォークシンガー(アコースティック)時代のディランの1962年から1965年頃までの物語なので、おそらく団塊の世代の諸氏には刺さる作品だろう。応援上映的なイベント性を持たせても面白い興行になるかもしれない。